ライブチャットからコンバージョンにつなげる方法

この記事は、CXLのブログに掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「How to Make Live Chat Convert

ライブチャットは、ブランドと消費者の両方にとってのカスタマーサポートのチャネルとして、人気が拡大しています。

ライブチャットのサポートを備えていれば、消費者の51%が、そのWebサイトにとどまるか、再び買い物をする可能性が高くなることを示した調査があります。また、消費者人口の20%が、お店への連絡手段として、他のどの方法よりもライブチャットを好むとする調査もあります。

ライブチャットはあなたにとって重要なものでしょうか?ライブチャットのベストプラクティスを見ていきましょう。

企業は、下記のような、マーケターが最も心配する物事を解決する手段として、ライブチャットを使用しています。

カート放棄
多くのトラフィックと高い直帰率
リード生成
ターゲットオーディエンスの明確なイメージの欠落

これらの解決手段として、ライブチャットは役に立つのでしょうか?また、その場合、コンバージョンへとつなげる方法はあるのでしょうか?

ライブチャットとは何か?

ライブチャットは、インスタントなオンラインのカスタマーサポートを提供する手段です。複雑な電話の窓口とは異なり、答えを知りたい時(多くが購入を検討している重要なタイミング)に、顧客は答えを得ることができます。

CXLでは、ライブチャットツールのIntercomを使用して、オーディエンスや顧客と関係を構築しています。ライブチャットには2つの種類があります。

プロアクティブなライブチャットとリアクティブなライブチャット

リアクティブなライブチャットは、「チャットをする」のアイコンがWebページに表示されており、ユーザーがクリックしない限り、休止状態となっています。プロアクティブなライブチャットは、より複雑です。ユーザーの気を引くために、時間の合図、音、アニメーションなどを用います。

多くのライブチャットツールでは、「ユーザーがページの特定の割合までスクロールした際に表示させる」といった設定が可能です。

Charles Schwabはリアクティブなライブチャットを使用している

The Chat Shopが述べている通り、リアクティブなライブチャットは、「お店に行き、商品を見て、販売員がいることに気づきます。彼らはあなたを手助けしてくれることを知っており、あなたは彼らに何かを尋ねることができます。実際に尋ねる人もいますが、何もせずにそのまま店を出ていってしまう人もいます。」といった具合のツールです。

プロアクティブなライブチャットは、販売員が適切なタイミングであなたに近づき、あなたが答えてほしい全ての質問に答えます。一般的に、より戦略的であり、積極的であると言えます。

ライブチャットの何が素晴らしいのか?

全ての人にとってではありませんが、多くの人にライブチャットが好まれているという明確なデータがあります。

J.D. Power社は、オンラインのユーザーにとって、ライブチャットが主要な連絡方法になっていることを発見しています。ユーザーの42%がライブチャットを好んでおり、Eメールの23%、ソーシャルメディアやフォラームの16%という数字と比べ、非常に大きな数字です。

実際、Forrester社の調査によると、「オンラインのユーザーの多くは、オンラインで買い物をしている最中に、リアルな人物からの手助けを必要としている。実際、オンラインのユーザーの44%が、オンラインでの買い物の最中にリアルな人物に質問を回答してもらえることは、Webサイトが提供すべき最も重要な機能の一つであると答えている」、とのことです。

他にも、下記のような調査があります。

Forbesによれば、「ユーザーの50%が、購入を検討している段階でリアルな人物が質問に答えてくれることは、ブランドが提供できる最も重要な機能の一つであると答えている」、とのことです。
Econsultancy社によれば、「ライブチャットはあらゆるサービスチャネルの中で最も高い満足度を提供している。ライブチャットの満足度は73%であり、Eメールは61%、電話対応は44%である」、ことがわかりました。
Harvard Business School Reportによれば、「いくつかのブランドにおいて、ライブチャットはリテンション率を5%、収益を25%〜95%増加させている」、とのことです。
emarketer.comの調査では、「顧客の63%が、ライブチャットを備えるWebサイトに再び訪問する可能性が高い」、とのことです。

ライブチャットの満足度は高く、増加の一途を辿っているようです。一般的に、ライブチャットはレスポンスタイムを増加させるための優れた方法であり、それは、多くの顧客が期待しているものです。

しかし、これらの事実は、ライブチャットによる収益やコンバージョンへの影響を全く語っていません。多くのユーザーが嫌うポップアップでさえ、コンバージョンを増加させることができるというのに。

では、ライブチャットはコンバージョンに影響するのでしょうか?

ライブチャットはコンバージョンを改善する?

この点については、相反するデータが存在しています。「影響する」という調査もあれば、「影響しない」という調査もあります。結局の所、Webサイトによって異なるのでしょう。なぜなら、あらゆるWebサイトは特有の文脈を持つからです。しかし、もし適切に使用されれば、ライブチャットはコンバージョンの手助けになると、多くの人が述べるでしょう。また、ライブチャットのツールがより多くの機能を提供するに従って、ライブチャット自体がより良いものになっていくでしょう。

例えば、PureVPNはライブチャットを使用することで、全体的な売上を15%〜20%増加させました

OptinMonste社も、ライブチャットで同様の成功を収めています。

OptinMonster社の共同創立者、また、CEOであるサイド・バルキ氏は、「ライブチャットを実装することが、全体的な売上の増加に貢献しました。ライブチャットで我々と会話したユーザーは、平均的なユーザーよりも、コンバージョンが11倍になっています。」と述べています。

Kissmetrics社のテストでは、ライブチャットがコンバージョン率を減少させています。フォームには多くの入力項目がありますが、コピー文には改良の余地があるようでした。これは、本当の意味での「ベストプラクティス」は存在しないことを表しています。各ビジネスの特徴と実践方法に依存するのです。

私は、ライブチャットの大規模なテストを行った、クレイグ・サリバン氏に話を聞きました。彼は、3つの仮説をもとに、テストを開始したそうです。

1.ライブチャットはコンバージョンを増加させる
2.ライブチャットはサポートコストを減少させる(ライブチャットはより生産的なサポートスタッフである)
3.ライブチャットは、高品質なサポートを提供し、顧客満足度を高める

しかし、テストを実行した後、これらの仮説はいずれも真実ではないことがわかりました。ライブチャットの実装は、コンバージョンへの影響において、取るに足らないものだったのです。サポートスタッフのコストは減少しませんでした。ユーザーは不定期にWebサイトに訪問し、繁忙期と閑散期の波が発生したため、生産性も増加しませんでした。

このケースでは、ライブチャットは顧客満足度を大きく高めることはありませんでした。

しかし、ライブチャットは特定の状況下では有益であるかもしれないと、サリバン氏は述べています。例えば、スタートアップ企業での顧客開発や、購入時の複雑な障壁を取り除く場合などです。

ライブチャットは、即効性のある解決策やハックではありません。また、デザインやコピーの要素でもありません。ライブチャットは、運用における決定事項なのです。よく訓練されたサポートスタッフや明確なチケット発行プロセスがあればコンバージョンがあがる、というわけではありません。同様に、アプリケーションをインストールするだけで、ライブチャットがコンバージョンへ影響を与えるということもありません。また、あなたのオーディエンスや一般的にライブチャットを使用するユーザーについての理解を深める必要もあります。

ライブチャットを使用するのは誰か?

Software Advice社は、人口統計とライブチャットについてのテストを行い、下記の発見を得ました。

・回答者の49%が、オンラインショッピングでの質問をする際にライブチャットを好みますが、お金周りの複雑な質問については74%の回答者が電話を好みます。
・回答者の半数以上(56%)が、企業のWebサイトについての質問への回答を得るために、少なくとも一度はライブチャットを使用した経験があります。
・質問の内容に関わらず、18才〜34才の回答者の56%が電話よりもライブチャットを好むのに対し、35才以上の回答者では27%しかライブチャットを好んでいません。

Software Advice社のサンプルサイズは小さく(オンラインで346人を対象)、母集団の全体を表していない可能性があります。しかし、ライブチャットを好むとする意見を見ることは、非常に興味深いことです。リストの上位に挙がった意見は、利便性と待ち時間の少なさでした。

つまり、若い世代はライブチャットでカスタマーサポートを得ることを好んでいるようです。また、一般的には、重要でない買い物(オンラインショッピング)ではライブチャットによるサポートを好んでおり、複雑で重要な買い物(お金周りの質問)の場合、そうではないようです。

メディアとしてのライブチャットの効果は、業界によって異なります。ライブチャットが一般的に効果を発揮する業界においても、全ては運用方法によります。ライブチャットの体験が悪ければ、顧客を幸せにすることはできません。ライブチャットの導入を検討しているのであれば、その運用方法についても検討すべきでしょう。

ライブチャットは、以下のような、品質の低いカスタマーサービスを補うものではありません。

・役に立たない、過度にテンプレート化された応答
・顧客が満足できるレベルで質問に答える能力が無い

ライブチャットからコンバージョンへと導く、6つの戦略

1.データ収集

最も効果的でありながら、最も過小評価されているライブチャットの用途として、定性調査のための用途が挙げられます。顧客開発を行っているスタートアップであれ、定量的なインサイトを収集している巨大企業であれ、ライブチャットは顧客を知るために使用できる、もう一つのタッチポイントです。

The Conversion Scientist社は、「ライブチャットのサポートシステムは、顧客の興味やニーズを簡単に理解することに役立ちます。なぜなら、顧客を悩ませることについてのログを手にすることができ、それらをデータマイニングすればよいからです」、と述べています。

LawnStarter社は、顧客の声を反映したコピー文の作成のために、ライブチャット(電話でのインタビューも)を活用しました。ライブチャットには、顧客のみならず、見込み客も含まれているため、既存顧客に電話をかけること以上に、ユーザーが求めているものを知ることができるのです。

もちろん、売り込むことも重要ですが、良い質問をすることも重要なのです。例えば、下記のような質問です。

・本日はどのような要件で弊社のWebサイトに訪問したのですか?
・どのようにして弊社のことを知りましたか?
・あなたが困っていることは何ですか?
・いつから、〇〇(商品)を探していますか?
・現在、〇〇(商品)を使用していますか?

あなたが得ているのは、ターゲットを絞ったフォーカスグループです。彼らの問題や彼らが求めているものを説明するために使用している、実際の言葉に耳を傾けましょう。

ライブチャットのソフトウェアは、全てのトランスクリプトを記録し、その多くが、Zendeskのようなチケットシステムと連携することができます。そのため、あなたの価値を提案する文章を作成する際、ライブチャットのデータを分析することで、追加のインサイトを得ることができるでしょう。

2.エージェント毎にチャットを制限する

ライブチャットは、背後に存在するエージェントが優れている場合に、優れたツールとなります。エージェントがよく訓練されていなかったり、疲れていたり、働きすぎていたりすると、品質は全体的に低下してしまうでしょう。

下記は、Zendeskによるレポートです。個々のエージェントの負荷が高くなるにつれ、チャットの品質が低下していくことが示されています。

作業負荷が大きくなると、ライブチャットの他の要素にも影響します。特に影響するのは、下記の2つです。

・迅速な応答
・個々の顧客へ、より多くのメッセージの送信

ライブチャットには多くの利点がありますが、作業負荷が大きくなると、それらの利点は減少してしまいます。バランスが大事です。

上記2つの戦略が重要である理由は後ほど説明しますが、エージェントが大量のチャットに忙殺されてしまうと、迅速に対応することが難しくなり、長く、品質の高い会話が阻害されてしまうでしょう。

3.迅速な対応

チャットの品質を高めることで対応時間の長さを緩和させることはできますが、返信が早いことで怒る顧客はいないでしょう。

下記はZendeskのレポートからの引用です。

顧客に30秒以内で返信ができていないのであれば、おそらく、処理しているチャットの数が多すぎるはずです。このような状況において、新人のエージェントの場合チャット数を4から1に、経験のあるエージェントの場合チャット数を6〜7から2〜3に、熟練したエージェントの場合チャット数を10〜12から4に減らしました。エージェントが処理できるインタラクションの数を適正な数にすることは、我々にとって興味深いプロセスでした。

4.より多くのメッセージの送信

前述の通り、対応時間の長さは品質の高いチャットによって緩和することができます。Zendeskのレポートによると、顧客満足度と強い相関があるのは、チャットごとのメッセージ数でした。

あくまで、相関関係ではありますが、多くの理由が考えられます。しかし、このことから「ベストプラクティス」を導くのであれば、「完全、かつ、徹底した回答を提供すること」になるでしょう(また、そうしている間に、顧客のデータを集めることも重要です)。

5.ライブチャットをもう一つのタッチポイントとして活用する

トラフィックやコンバージョンの計画を立てることに加え、ロイヤリティの計画も立てるべきです。顧客ペルソナをしっかりと把握した後、そのレベルで顧客と関わるようにしましょう。つまり、下記を実行することです。

・共通の価値観を表現する
・偽りのない、実際の感情を使用する(偽の感情を使用しない
・顧客が使用する言葉と同じ言葉を使用する(参照:Words That Work

Zapposは、顧客を喜ばすためにはなんでもするブランドです。そのため、10時間というカスタマーサービス(電話)の記録を打ち立てたことは、驚きではありません。あなたの会社が象徴するものは何でしょうか?ライブチャットで、それをどのように表現することができるでしょうか?

LawnStarter社のライアン・ファーレイ氏は会話を始める際、「やあ、僕の名前はライアンだ。何か手伝えることはあるかな?(そう。私は実在する人物なのだ!)」のように、少しくだけた表現が最高であると述べています。

6.リードの促進

ライブチャットは、リード生成にとって優れたツールです。下記の2つの方法が考えられます。

1.定性ツールとして、リアクティブなライブチャットを使用する
2.サインアップやチェックアウトを通じて見込み客を引き込むために、プロアクティブなライブチャットを使用する。それが難しい場合、Eメールアドレスや電話番号を収集し、フォローアップを行う

LawnStarter社におけるライブチャットの目標は、電話番号を獲得することです。こうすることで、彼らは個人と個人のフォローアップを行うことができ、見込み客を顧客へと変えることができるのです。それゆえ、プロアクティブなライブチャットでは、顧客のエデュケーションに注力し、フォローアップのための電話番号の獲得を目指します。

Hubspotも、ライブチャットをうまく活用しているブランドの一つです。ライブチャットのクリエイティブな使用法についてのブログ記事を読んでいると、ライブチャットのポップアップが表示され、マーケティングを改善したいかどうかを尋ねるメッセージが表示されました。

メッセージ内の「Start here」をクリックすると、マーケティングの特訓コースを案内するページに遷移されます。このコースは完全に無料であり、見込み客に対し、すぐに価値を提供できます。

他の検討事項

ライブチャットはコストを抑える

The Conversion Scientistが言及している通り、ライブチャットの導入はコストの削減につながります。エージェントが一度に複数の会話を処理することができるため、カスタマーサポートのアウトプットを倍増することができるのです。

ここでは、間違いなく、運用方法が重要となります。しかし、運用の無駄を削減することができれば、より重要なことに注力することができるでしょう。

ライブチャットとモバイル

モバイルは画面サイズが小さいため、常に注意が必要です。モバイルのトラフィックは増加傾向にあるため、検討すべき問題と言えます。

モバイルはデスクトップと別々にテストすることをお勧めします。モバイルでは、異なるものが機能します。ユーザーは、モバイルで閲覧する際、考え方や感じ方がデスクトップと異なります。人気が高まっているとはいえ、モバイルのECサイトは、デスクトップよりも、コンバージョン率が低いです

MarketingSherpa社のケーススタディでは、Total Gym Fitness社のライブチャットの戦略を紹介しています。モバイルではライブチャットのサイズを変更しただけでなく、プロンプトも変更し、短い文章で対応するようエージェントを訓練しています。

リアクティブなライブチャットの使用、異なるプロンプト、異なるスクリプト、全くライブチャットを使用しない、などのテストを行うことができます。その中で、一番効果のあるものを選びましょう。

Lawnstarter社は、モバイルでは、リアクティブなライブチャットに変更しました。これは、モバイルの小さな画面では、コンテンツが散り散りになってしまうからでしょう。

CXLでは、Intercomというライブチャットのツールを使用しています。モバイルで閲覧する際、ユーザーが右下の赤いチャットボタンをクリックすると、サポートや質問に関するオプションが表示されます。このままサポートを続けるか、閲覧を続行するかの選択肢を提供しています。

ビデオライブチャット、共同ブラウジングなど

ライブチャットの初期の頃、ビデオライブチャットがライブチャットの体験を向上させるのではないか、との考えがありました。

Schuh社ステュアート・マクミラン氏が指摘している通り、ビデオライブチャットと共同ブラウジングは、オンラインのカスタマーサポートのトレンドです。AmazonのMayday機能がリリースされると、Kindleのユーザーは動画でのサポートを期待するようになりましたvee24のレポートによると、Kindleの顧客からのコンタクトの75%がMayday経由とのことです。

適切に行われた場合、動画はコンバージョンを高めることができます。ライブチャットにおいて、動画アシスタントは「店舗での体験」の要素をオンラインの領域に追加し、よりパーソナルな体験を作り上げることが期待されます。

それ以来、いくつかの成功事例は存在しますが、有効性を実証するデータが多く存在しているわけではありません。興味がある場合、自身のWebサイトでテストしてみると良いでしょう。

予想に反してビデオライブチャットが広く普及していない理由として、ライブチャットはオーディエンスに「カメラをオンにすること」を求めることが挙げられます。これは、オーディエンスにとってのフリクションになっているのでしょう。

まとめ

ライブチャットはコンバージョンを増加させるのでしょうか?常に増加させることはなく、運用方法に依存します。ライブチャットは「ハック」や「簡単に効果を生む戦術」、ではありません。

実装することは簡単ですが、運用上での決定が必要であり、よく訓練されたサポートスタッフと戦略が求められます。また業界やビジネスモデルによって異なります。ライブチャットは特効薬ではありませんが、コンバージョンと顧客満足度を高めるために効果的であると、多くの企業が判断しています。

ライブチャットからコンバージョンを生み出すための単一の戦術はなく、Webサイトにウィジェットを取り付けるだけの簡単なものでもありません。この記事で紹介した6つの戦略は、きっと役に立つはずですが、他の戦術と同様、あなた自身のオーディエンスを理解し、異なる戦術をテストすることが重要なのです。

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