セグメンテーションとは?分類例や活用方法、事例について紹介

マーケティングにおけるセグメンテーションとは、市場を細分化することです。なぜ細分化することが有効なのでしょうか。その背景には消費者ニーズの多様化があります。

また、セグメンテーションとあわせて実施されることが多いターゲティング、ポジショニングとは何か、3つをあわせたSTP分析はどんな方法かについても、理解する必要があります。

今回は、セグメンテーションとセグメント、STP分析などを基本から解説し、活用事例やツールも紹介していきます。

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セグメンテーションとは

セグメンテーションとは何か、なぜ必要なのかをまず解説します。

セグメンテーションは、ターゲットを特定するための手法

セグメンテーションとは何でしょうか。マーケティングにおける「セグメンテーション」は、日本語訳では「市場細分化」と呼ばれ、「セグメント」とは一定の指標に基づき分類されたグループをいいます。分類の基準となるのは年齢、性別、職業などのユーザーの属性、購入履歴などです。

企業は顧客やユーザーを細分化して「どのセグメントにどんな商品/サービスが受け入れられているか」を分析し、マーケティング施策の対象とするユーザー層のセグメントを「ターゲット」として特定します。

セグメンテーションが必要な理由とは

セグメンテーションが現代のマーケティングに必要な理由は以下の3点です。

1.消費者のニーズの多様化

便利なモノをより低価格で大量生産し、マスマーケティングによって広めていく時代が終わり、市場が成熟した現代、消費者のニーズは多様化しています。また、スマートフォンのような個人情報端末やSNSの普及により消費者の購買行動も多様になっています。このため、従来のマスマーケティングに替わり、細分化された顧客ニーズを理解して特定のセグメントへアプローチするセグメンテーションが必要とされています。

2.テクノロジーの進化

インターネット環境が整備され、細分化されたセグメントの嗜好や購買行動についてのデータが取得できるようになりました。これを分析して活用するセグメンテーションが一般化しています。競合他社にコアユーザーを奪われないためにも、最新テクノロジーに基づいたセグメンテーションが不可欠です。

3.売上ではなく利益を重視

顧客となる見込みが高いセグメントに対して集中的にアプローチする方法は、マスマーケティングと比較して低コストで、効率よく利益を上げることができます。セグメンテーションにより、限られた予算で最大限の利益を生み出す「選択と集中」が可能になります。

ターゲティング、ポジショニングとの違い

セグメンテーションと似た言葉としてターゲティング、ポジショニングがあります。それぞれの意味と違いを知っておきましょう。

S:Segmentation セグメンテーション

セグメンテーションとは、消費者を属性や行動履歴によって細分化することです。

T:Targeting ターゲティング

ターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化されたセグメントの中から、自社が狙うべきセグメントを絞り込み、ターゲットとして特定することです。

P:Positioning ポジショニング

ポジショニングとは、ターゲティングによって絞り込まれたグループにおいて、自社の商品やサービスの立ち位置を決めることです。これにより、具体的なマーケティング施策が決まります。

マーケティングの分析は、セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの順に進めていきます。この手法をSTP分析と呼びますが、詳しくは後述します。

セグメンテーションの分類例

セグメンテーションでは、分類する際の基準を何にするかが重要です。以下で、代表的な分類の方法について解説します。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的な属性で分類する方法です。指標には「国」「地域」のほか、「気候」「人口密度」などがあります。
世界市場で販売する商品/サービスの場合は、宗教や風土、文化が異なる「国」という分類が重要です。国内市場で販売する食品の場合なら、細かい味の好みが異なる「関東/関西」という分類が重視されることもあります。
ほかに、「人口密度」によって都市か地方か、「気候」によって寒冷地か温暖な土地か、などを分類する場合もあります。

人口動態変数(デモグラフィック変数)

「年齢」「性別」「職業や就業形態」「所得」「家族構成」「ライフステージ」など、人の属性全般を対象とした分類方法です。
「年齢」の場合は10代、20代のように「年代」で区切ることが一般的です。「職業」や「所得」も消費の傾向に関連が深い項目です。「ライフステージ」は具体的には「大学生」「新社会人」「結婚」「出産」などがあります。さらに、「独身で実家暮らし」「二世帯住宅に住むファミリー」のように細分化された分類もよく使われます。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

ライフスタイル、個人の趣味嗜好、価値観など、消費者の心理による分類方法です。
個人の消費スタイルはさまざまです。食を例にとると、「外食好き」「食の安心・安全を重視」「デリバリーやテイクアウトを多用」「節約最優先」などのパターンがあります。

サイコグラフィック変数は購買行動にかかわる重要なセグメンテーションですが、ジオグラフィックやデモグラフィックと比較してデータの収集が難しい変数でもあります。顧客へのインタビューやアンケート、ユーザーのWEB閲覧履歴の分析などによりデータを取得します。

行動変数(ビヘイビアル)

既存顧客を購買行動に基づき分類する方法です。「購入商品」「購入金額」「購入目的」「購入頻度」などが指標となります。
たとえば、以下のように顧客を分類します。

  • ロイヤルカスタマー:自社のブランドや商品/サービスへのロイヤルティ(Loyalty)が高い顧客
  • リピーター:リピート購入している顧客
  • トライアラー:新規顧客

ロイヤルカスタマーやリピーターに対してはカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)をより向上させる施策、トライアラーに対してはリピートを促すためのコミュニケーションというように、セグメントごとに適切なマーケティング施策を実行していきます。
ビヘイビアルは既存顧客のロイヤルティを向上させるという点で特に重視されています。BtoCだけでなくBtoBビジネスにおいても有効な変数です。

セグメンテーションの指標4R

セグメンテーションを実施する際には、細分化したセグメントを評価することが大切です。ここでは、評価の指標となる4Rについて解説します。

Rank(優先順位)

セグメンテーションにより見つけた複数のセグメントについて、どれを重視すべきかの優先順位が大切です。

  • 自社の強みを生かせるか
  • 自社のリソースで効率よく施策が実行できるか
  • 事業の目的に合うターゲットか

などが優先順位を決める基準となります。

Realistic(規模の有効性)

特定されたセグメントの市場が、利益を上げるために十分な規模かどうかを確認します。多くの顧客を獲得して投資に見合う収益を上げられる見込みがない場合、そのセグメントをターゲットにすることはできないという判断になることもあります。

Reach(到達可能性)

「Reach」には商品やサービスを顧客のもとへ届けることができるかということと、マーケティング施策により商品やサービスの情報を届けられるかということの、2つの意味があります。前者では物理的な距離、方法が判断材料となります。後者では広告手段や具体的なマーケティング施策の実現可能性を検討します。

Response(測定可能性)

セグメントした顧客層について、施策を実施した結果としての反応を測定可能かどうか、という指標です。広告などの反響の測定は、デジタル技術によりかなり詳細にできるようになりました。たとえばアプリに配信したクーポン、メールマガジンの開封率などにより測定が可能です。マーケティング施策を着実に進めるために、測定可能性は重要な要素です。

セグメンテーションの活用方法

セグメンテーションが生かされる場とは

セグメンテーションはどんな場面で活用されるでしょうか。シーンごとに考えます。

広告・宣伝

セグメントされた顧客層に絞り込んで広告・宣伝を行うことができます。少ない予算で効率よく成果を上げることが期待できます。

商品開発

自社の商品/サービスが受け入れられている特定のセグメントにおいて、近い将来はどんな需要が見込めるかという予測に基づき次の商品開発をすることが有効です。

販売戦略

特定のセグメントにおいて自社の商品/サービスが最も利益を上げられると確認できれば、対象のセグメントに対して販売のリソースを集中させて収益を上げることができます。たとえば、特定の地域、特定の年齢層などに向けた販売戦略をとることが有効です。

顧客ロイヤルティ向上とLTVの最大化

既存顧客のなかで、ロイヤルティの高い顧客またはロイヤルティ向上が期待できる顧客のセグメントを特定できれば、対象セグメントに対して集中的に施策を実行することで、効率よくロイヤルティ向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化を図ることができます。

セグメンテーションからSTP分析活用へ

セグメンテーションの分析結果をさらに活用する手法が「STP分析」です。Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字から名づけられた分析手法です。STP分析は、マーケティング学者フィリップ・コトラーにより、マーケティングの施策を策定する前の戦略的プロセスとして位置づけられた重要なステップです。

STP分析は、セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの順序で進めます。

セグメンテーション

市場を細分化し、各セグメントが自社の商品/サービスにフィットするかについて分析する

ターゲティング

自社の商品/サービスを売り込むセグメントをターゲットとして特定する

ポジショニング

特定したセグメント内で競合他社の状況を調査し、自社が差別化すべきポイントを定める

STP分析により得られることは以下です。

顧客ニーズの整理

市場の顧客ニーズを整理することができます。セグメントごとの市場規模を計測することにより、自社の商品/サービスが目指す市場シェアや売上も明確になります。

他社との差別化

ターゲットを定めてポジショニングを確認する段階においては、顧客に支持される自社の強みを明確にして、差別化ポイントを打ち出していく必要があります。

自社のプロモーション戦略の明確化

効果的なプロモーションのためにはターゲティング・ポジショニングが不可欠です。どんなユーザーに自社の商品/サービスをどのように伝えるかといったプロモーション戦略がSTP分析により明確になります。

セグメンテーションの精度を上げるツールとは?

MAとは

MAはマーケティングオートメーションの略です。MAは見込み客を集客し、そのデータについてセグメンテーションを行い、各セグメントのパフォーマンスを計測することができます。セグメントのなかでターゲットに特定した見込み客に対しては、メール配信等のマーケティング施策を実施し、中長期的にコミュニケーション履歴を蓄積して効果を測定することが可能です。

DLPOでできること

ランディングページを最適化できるツール「DLPO」は、ABテストの結果をセグメント別に分析できます。分析結果をもとにセグメント別のコンテンツ表示やマーケティング施策の実行ができ、セグメンテーション分析を素早く自社のランディングページに反映させることが可能です。
またDLPOはCDPやDMPなどのデジタルマーケティングツールと連携することもできます。

セグメンテーションを活用した事例

セグメンテーションで成果を上げた具体例を、DLPO導入事例よりピックアップして紹介します。

顧客のセグメントごとにWEBページを改善

ワタベウェディング株式会社様の事例

総合ブライダル企業であるワタベウェディングは、海外リゾートウェディング提供でも業界のパイオニアです。サイトを訪問するお客様の購買行動には大きく分けて「ブライダルフェアの予約」「相談のための来店予約」があります。ユーザーのアクセスを「スマホかPCか」「平日か週末か」「朝・昼・夜のうちどの時間帯か」などでセグメントしたところ、行動に違いがあることがわかり、それぞれのセグメントに対して最適なコミュニケーションを図ることで成果を上げています。
事例の詳細はこちら

定期的なセグメント配信によりユーザーとのコミュニケーションを最適化

パーソルマーケティング株式会社様の事例

企業のマーケティング活動支援をするパーソルマーケティングの求人サイトでは、「地域」「性別」「曜日」「時間帯」などで分類し、セグメント配信を実施しています。一人ひとりに最適化した情報を提供することで効果を上げています。今後は年代別の配信も行い、さらにCVR向上を目指していく方針です。
事例の詳細はこちら

セグメントごとにふさわしいクリエイティブを出すことが有効

株式会社レアジョブ様の事例

フィリピンと日本を結び、個人だけでなく企業や学校にも幅広くオンライン英会話レッスンを提供するレアジョブでは、会員のすそ野を広げるためのマーケティングに注力しています。セグメント分析においては訪問時間帯やユーザーの属性にもとづくユーザー行動を細かく分析します。そのうえで、それぞれにふさわしいクリエイティブを表示させることが有効ととらえ、力を入れています。
事例の詳細はこちら

そのほかの導入事例を以下で紹介しているので参考にしてください。
DLPO ユーザーインタビュー

まとめ

セグメンテーションとは、日本語で市場細分化のことです。年齢、性別、職業、家族構成などの属性や購入履歴などにより顧客を細分化して、「どのセグメントに自社の商品が売れているか」を分析します。そこで見つけ出したセグメントを「ターゲット」に特定し、マーケティング施策に活用します。

セグメンテーションの分類例には、「地理的変数」「人口動態変数」「心理的変数)」「行動変数」があります。

セグメンテーションとその後に行うターゲティング、ポジショニングをあわせて「STP分析」といいます。セグメンテーションの精度や生産性を向上させるツールの例として、MAがあります。「DLPO」ツールではセグメント別のABテストやコンテンツの出し分けができ、効率よくセグメンテーションを進めることができます。