上野:当社は、リゾートウェディング(リゾ婚)のパイオニアとして60万組以上のお客様のお手伝いをしてきました。ハワイ、グアム、沖縄をはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどで100以上のチャペル・挙式会場を取り扱っています。
総合ブライダル企業として、グローバル・ネットワークを活かし、海外&国内挙式からハネムーンまでブライダルに関するあらゆるサービスを多角的に展開しています。
上野:はい。もちろん、結婚情報誌の広告やCMも大きな集客を担っていますが、現在はウェブによる集客の比重を上げているため、特に注力しています。
ウェブサイトでは、リゾートウェディングをお考えのカップルに、相談のため来店いただいたり、ブライダルフェアにご参加いただくための予約や資料請求ができるようになっています。この予約が成立するところをコンバージョンとしています。
上野:当社のウェブサイトには多くの課題があり、2年以上の時間をかけて2017年12月にリニューアルをいたしました。新しいサイトが完成してからは、サイトへの集客に力を入れてきました。
集客に一定の成果が出てきましたので、CVRを上げていくことを次の注力課題として、LPOツールの導入を検討しました。
上野:当社で何かツールを導入する際には、運用体制を重視しています。
なかなかマンパワーをかけられない状態であるため、サポート体制のしっかりしたツールを探していました。DLPOは担当の方からの丁寧なサポートがあり、当社のような少人数の体制でもPDCAを回していけると考えました。
導入コストが低いことも魅力でした。
上野:ABテストの設計やアイディアなど、多くの面で的確なサポートをいただいています。
ABテストアイディアで迷っているときなどは、豊富にある知見から成功例を紹介していただけていますし、ABテストを開始して判断に足る結果が出るまでの期間もシミュレーションいただき、時間のかかるものよりも、まずは早く結果の出るテストを優先するというアドバイスも役立っています。
上野:予約フォームのABテストは印象的でした。
大きく分けて2つの予約フォームがあり、ひとつはブライダルフェアの予約、もうひとつは相談のための来店予約です。まったく同じ見た目で、従来は、同じ時期に同じように改修をしていたのですが、ABテストの結果を見ると志向性がまったく異なっていました。
特典訴求のバナーなど、お客様がお得に感じるお知らせは、どんな場合でも見せておく方がCVRが上がると思っていましたが、どちらの予約フォームであるのかで結果が異なりました。
来店意欲が高いお客様にとっては、キャンペーン情報よりも来店された際のメリットをお伝えする方がCVRが良く、お客様のモチベーションをもっと細かく理解する必要性を痛感するABテストでした。
テストの内容によっては、週末と平日や時間帯などのセグメントによっても、かなりの違いが出ることには驚きもありました。
上野:スマホかPCか、平日か週末か、時間帯は、朝(6-10時)・昼(10-20時)・夜(20-6時)に分け、初回か2回目以降かという訪問回数でも分けています。通勤時間にスマホで何となく見るのと、夜、彼とゆっくりPCで見るのかではモチベーションが異なります。また、来店予約をする際は、彼と予定を合わせる必要があるので、二人で一緒に見られる時間であるという推測もありました。
平日でも曜日によって異なるなど、細かい違いが出ているので、今後もていねいに検証していきたいと考えています。
上野:もともと当社のサービスの知名度が高いこともあり、はじめてのお客様に対して説明が少ないサイトだと感じていました。もう少し説明の充実したサイトとすることを目標に据えつつ、バナーの入れる/入れない、フォントの種類、ボタンの形など、ひとつずつ試しながら、よりお客様の使い使いやすいサイトに変えていければ、と考えて進めています。
アイディアに関しては、チームメンバーの、こんな情報があったらお客様がわかりやすいのでは?や、違う表現にしたらCVRが上がるのでは?という、普段ウェブサイトの管理をしている中で感じたことを出して、DLPOの担当者さんからの意見やアドバイスも参考にしながらテストを設定しています。
上野:悩むときに、まずABテストをしてみよう、という選択肢ができたことは大きいですね。デザインなどは、何がよくて何が悪いのか、明確に立ち戻る場所がないものですが、テストの結果という誰にとってもわかりやすい指標ができました。
上野:はい。数字で可視化できるので、上長への報告もしやすく、他部署からのサイトへの掲載要望や写真変更の要望などに対し、まずはテストをして、数字で結果を見せて説得することができるようになり、スムーズなコミュニケーションを実現できています。
上野:DLPOを導入した際に、サイトの課題発見のため、実際に結婚式場を探している方5名に、当社サイトを訪れて自由に意見を言っていただくユーザーテスト(※)を行い、それに基づいて改善を施したページと従来のページとでABテストを行いました。
※ユーザーテストとは、特定の状況・目的でユーザにサイト・アプリを利用してもらい、 その様子の観察やヒアリングを通じ、ユーザ心理や対象サイト・アプリの課題・機会を見つける手法でABテストのアイデア出しにも有効。
本ユーザーテストでは、リモート形式で豊富な実績をもつポップインサイト社のユーザーテストを採用。
たとえば、先ほど話に出た予約フォームに、挙式したい国・地域について、第一希望、第二希望としてご記入いただいていたのですが、「まだ迷っている段階なのに、順番を決めないといけないのがストレス」というご意見をいただきました。第一・第二という表現をなくし、「希望エリア」という表現に変えたものをテストしたところ、CVRが従来のものに対し153.57%となりました。
また、取り扱っている100以上のチャペルの写真を見ることができるのですが、たくさんありすぎて「どれを選べばよいのかわからない」「気に入ったものを全部覚えられない」というご意見もありました。
そこで、チャペル一覧のページに、「チャペルを紹介してもらう」という来店予約フォームに誘導するバナーを入れてみるテストも行いました。
すると、従来のものに対し、来店フォームへの誘導が220.83%となり、このタイミングでの「サポートしますよ。来店いただいて一緒に決めましょう」というメッセージが有効であることがわかりました。
上野:そう思います。しかし、たった1人、2人の意見で、すべてを改修することはリスクが高すぎてできませんから、ツールを使って、気軽にその意見の妥当性を計った上で改修につなげられて助かっています。ユーザーの意見だけでなく、チーム内、社内でも、ふと「こうしたら?」という意見は出てくるもので、DLPO導入により、そうしたアイディアを検証するフローができたことは、今後のサイトづくりの上で非常に大きいと思います。
上野:当社は、全国に店舗を展開していますので、セグメント分けにエリアも入れたいと考えています。エリアによって競合する相手が異なりますし、お客様の環境も異なります。東京で通勤途中にスマホでチャペルを眺める方と、車通勤で夜や週末しか式場探しをしない方と、モチベーションのあり方も変わってくると思います。エリア別での分析を行うと、これまでとはかなり違う結果が出るのではないかと予想しています。
エリア別に、最適なバナーやデザイン、ヴィジュアルを出し分けできれば、非常に効率的な訴求が可能になります。トップページもエリアによって変えるくらいのことをしてもよいかもしれません。
上野:当社の事業は、ECのようにサイトのみで完結するものではありません。それでもこれだけの成果が出ていますから、どんな業素・業態の企業でも、結果が期待できるのではないかと思います。
導入費用もリーズナブルで、設計も設置も簡単です。効果が見えないABテストについては、早々に取りやめるなど臨機応変でスピーディな運用をしていくことができます。導入当初は私が1人で担当していたのですが、サポートが手厚く、ストレスも滞りもなくPDCAを回していくことができました。
DLPOによって、当社のサイトは、確実にCVRを高めていけると手応えを感じています。
(記事の内容、肩書きなどは2019年2月現在のものです。)