ABテストとヒートマップツールの連携でWebサイトのCVRをより効果的に改善

ABテストはWebサイトの改善、とくにCVR(コンバージョンレート=成約率)の向上に大きな効果を発揮します。

そして、ABテストをさらに効果的なものにしてくれるのが、今回ご紹介するヒートマップという存在です。ABテストと非常に相性が良く、連携によるメリットも大きいヒートマップとは、どのような分析手法なのでしょうか。

本記事では、ABテストとヒートマップを比較しながら、それぞれの特徴を解説し、両者を組み合わせることによる効果やメリットなどについて、わかりやすく説明します。

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ABテストの特徴は?得意なことと不得意なこと

ABテストとは、ページに複数のバージョン(パターン)を用意して、それぞれのバージョンでのCVRなどを測定し、どのパターンがより効果的かを測定する手法です。
ABテストの特徴について、得意な点だけでなく不得意な点も含めてあらためて確認してみましょう。

少ない予算・少ない工数でCVR向上に効果

複数のバージョンを比較することで、よりパフォーマンスの高いページを導き出せるのがABテストの特徴です。

ほとんどのWebサイトでは、いくら流入数(訪問者数)が増えても、それだけで本来の目的を達成できるわけではありません。
基本的には、そこから購入や登録、資料請求などさまざまなコンバージョンへとつなげる必要があります。

ABテストでは、LP(ランディングページ)から目的となるページへの遷移率が高いのはどのバージョンなのか、どちらのパターンにすればCVRが高くなるのかなどを評価して、実際の改善に役立てます。
対象のページのみを比較するテスト手法なので、比較的少ない予算と工数で実施できるところがメリットといえます。

ユーザー行動の分析など効果が出た「理由」の把握は苦手

ABテストは、よりパフォーマンスの高いページを見つけることは得意ですが、そのページのCVRがなぜ高くなったのか、理由を分析して把握することは苦手です。

もちろん、「この箇所の画像や文言をこう変えたら、このような差異が出た」などのテスト結果から、ページ内におけるユーザーの行動はある程度推測することができます。

しかし、これはあくまで結果からの推測に過ぎず、実際にページ内でユーザーの行動がどう変化したかを詳細に把握できるわけではないのです。

また、ユーザーの詳細行動がわからないということは、ABテストの各パターンで「なぜそうなったのか」という理由を把握しにくいということも意味しています。

ABテストはただやみくもに実行してもあまり意味がなく、本来はページのCVRを上げるための仮説をきちんと立てて、それに沿った検証をABテストの前後で行うのがよいとされています。検証のためには、ユーザー行動の把握が必要であり、その際に活用できるのがヒートマップ分析です。

ヒートマップ分析とは

ヒートマップとは、データの値を色や濃淡などで視覚表現したものです。Web解析においても、ヒートマップを利用した分析手法およびツールがあります。

ユーザーの行動を視覚化して把握できるヒートマップ

Webにおけるヒートマップ分析は、サイトに訪問したユーザーが各ページでどのような行動を取ったかという実際の導線を、サーモグラフィー(熱分布図)のように可視化したものです。

ヒートマップでは一般的に

  • どこをクリック(タップ)したか
  • どこまで読んだか(スクロールしたか)
  • どこを熟読したか
  • どこでページを離脱したか

などの行動情報を詳細に把握することが可能です。

ユーザーが注目している箇所ほど赤く表示され、逆に興味を示さなかった箇所ほど青く表示されるため、ユーザーの行動が一目で把握できるという特徴があります。

なお、多くのヒートマップツールでは、どこに注目しているかはマウスの動きなどから推測しています。マウスの動きとユーザーの視線は高確率で一致しているとされるため、アイトラッキング装置を使わずとも検出できるのです。

ページ単位での詳細な解析が得意

ABテストがユーザー行動に関する詳細な分析を行えないのに対して、ヒートマップはページ単位での解析に優れた手法と言えます。

例えば、LPから他のページに遷移せずに離脱したかどうかは、一般的な解析ツールでも把握できます。
しかし、ヒートマップならばさらに踏み込んだ解析が可能です。ファーストビューだけで離脱したユーザーはどれくらいなのか、中間地点あたりの重要コンテンツがどれくらい読まれているかなど、ページ内でのユーザーの行動をきわめて細かく把握できるのです。

あるいは、本来であればクリック(タップ)してもらいたいリンクやバナーがスルーされていたり、逆にリンクが設定されていない画像をバナーと勘違いしてクリックするといった行動もヒートマップ解析から読み取れます。

ページ内の各要素が、具体的にユーザーの行動にどう影響したか。これを把握できるのがヒートマップのメリットなのです。

ユーザーの行動から「心理」や「理由」をつかみやすい

ユーザーの行動とページ内要素の関係を詳細に把握できるということは、その行動の裏にあるユーザーの心理や理由も把握しやすいことを意味します。

例えば、ファーストビューのみでの離脱率が高いケースを考えてみましょう。
この場合、SERPs(検索結果画面)に表示されたタイトルや、リスティング広告・バナー広告のビジュアルなどから期待した内容が、ファーストビューの印象と合致せずに落胆したという「心理」、あるいは不要な情報だと判断したという「理由」などが読み取れるわけです。

他にも、誤クリック(タップ)などが多ければ、「UXが悪くて使いにくい!」という心理状態になっているという推測もできます。

こうした行動心理の把握ができるのも、ヒートマップ分析の大きな特徴です。
ユーザーテストと組み合わせれば、さらに詳細かつ明確な行動心理の把握や行動分析が可能になるでしょう。

ABテストとヒートマップの組み合わせでより効果的に

ABテストとヒートマップを組み合わせることで、より効果的なWebサイト改善が可能になります。

ABテストの結果で差が生じた理由を明らかに

ABテストでは、複数のバージョンの比較を通じて

  • どちらが良かったのかという「結果」
  • どちらを選ぶべきかという「選択」

を導き出せますが、先述した通り、「なぜそうなったのか」という行動の理由や心理状態までは正確にはつかめません。

しかし、ここにヒートマップ分析を組み合わせることで、

  • 具体的にどの要素がユーザーの行動に影響したのか
  • ユーザーはコンテンツの何を見て、どう判断したのか

という「理由」を明確にできるのです。

例えば、あるLPにおいてCTAを目立たせるべく、パターンBで「申し込みページへのボタン」を変更したとします。

この結果として、パターンBの方がCVRが高くなれば、ABテストとしてはパターンBの方が良いという「結果」と「選択」を得られます。

しかし、差異が生じた要因としては、CTAの変更が直接的な改善の理由になっていない可能性もあるのです。

CTAを目立たせたことは間接的な要因に過ぎず、これによりユーザーがその先にある詳細な説明コンテンツを熟読。その情報に満足したことが、最終的なCVR向上の直接的要因だったというケースもあるでしょう。

ABテストとヒートマップを組み合わせることで、「変更した箇所」と「実際のユーザーの行動や心理」が関連付けられ、なぜその結果になったかという理由が明らかになるのです。

ABテストの結果に明確な差異がない場合の分析も

また、ABテストはあくまで結果を見るものであるため、その結果に明確な差異がない場合は、仮にユーザー行動に変化があったとしてもそれを読み取ることは困難です。

しかし、ここにヒートマップ分析を組み合わせれば、CVRなどの数値には明確な差がない場合でも、パターンごとのユーザー行動の変化を詳細に把握できるようになります。

ABテストの仮説構築と検証にヒートマップが有効

ヒートマップ分析から得られる情報は、ABテストにとって非常に有用なフィードバックになります。

ABテストにおいては「仮説の構築」→「テスト内容の考案」→「テストの実施」→「テスト結果の検証」という流れが重要です。

ここにヒートマップ分析を組み合わせることで、ユーザーの行動や心理まで深く検証できるようになり、詳細なフィードバックによりさらに具体的な仮説構築も可能になるのです。

まとめ:ABテストとヒートマップを活用したPDCAを回すために

ヒートマップで補完しながらABテストのPDCAサイクルを回すためには、ABテストとヒートマップをそれぞれ独立して実施するのではなく、両者のツールを連携させることが重要です。

また、ヒートマップ自体は誰でも直感的に把握しやすい解析ツールですが、使いこなすにはやはり専門的な知識や経験も必要です。

例えば、ページ内の要素がどうユーザー行動に影響したかをヒートマップで把握し、それをABテストにフィードバックすることは比較的容易でしょう。
しかし、「ページ内に存在していない要素」はヒートマップ分析の結果に直接的に表れることはありません。こうした要素をどう組み込んでいくかなどについては、不安が残る方も少なくないでしょう。

このような不安をお持ちの方は、ぜひDLPOにご相談ください。
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