ABテストを無料で簡単に!Googleアナリティクス&オプティマイズを使った設定と分析の基礎

ABテストとは、AとBという2つのページパターンを用意して、それぞれのエンゲージメント率やCVR率を実際に計測してチャンピオンページを決める方法です。テストパターンは3つ以上になる場合もあります。

WEBサイト改善のためにABテストを始めたいが、テストの作成・実施方法や解析方法がわからず「しくみを理解するためにも、まずは無料ツールで試してから」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ABテストを手軽に行える2つの無料ツール「Googleオプティマイズ」と「Googleアナリティクス」についてとりあげ、両ツールの機能や導入方法、連携の仕方、ABテストの実施の手順や結果の確認方法などを解説します。

DLPOの製品資料や料金表などが必要でしたらお気軽にお申し付けください。

Googleアナリティクスとは

WEBサイト運営における必須ツールであるGoogleアナリティクスについて、まずは簡単に特徴や機能をおさらいしておきましょう。

Googleアナリティクスの特徴

Googleアナリティクスとは、Googleが提供するWEBサイトのアクセス解析ツールです。
ユーザーがどんな行動を取っているのか、アクセス状況はどうなっているかなどを簡単に把握することができます。

Googleアナリティクスでは、主に下記のようなデータを把握・解析することができます。

  • UU(ユニークユーザー)数:サイトに訪問したユーザーの数
  • セッション数:ユーザーがサイトに訪問した回数
  • PV(ページビュー)数:コンテンツが何ページ閲覧されたかの数
  • 滞在時間:ユーザーがサイトに滞在した時間
  • 直帰率:ランディングページから遷移せずに離脱したユーザーの割合
  • CV(コンバージョン)数:問い合わせや申し込みに至った数

また、Googleアナリティクスの最大のメリットは、アクセス状況などのデータを元にして、具体的な改善施策を立てることができます。
データを把握することにより、サイトの良い点だけでなく悪い点も明らかになるため、どう改善すればよいかの道筋も見えてくるでしょう。

例えば、「スマホからの流入が多い」という場合、「スマホ専用サイトを作成する」といった良い点を伸ばす改善を行えます。また、「直帰率が高い」という場合は、「サイトに滞留してもらうための仕組みを考える」といった悪い点の改善を行えます。さらに、施策を立てて実施し、その効果を測定することが可能です。
WEBサイトのPDCAサイクルにおいて、非常に重要な役割を占めているのがGoogleアナリティクスなのです。

では、WEBサイトの解析にGoogleアナリティクスを使用するメリットはあるのでしょうか。
WEBサイトの解析ツールは、Googleアナリティクス以外にも数多くのツールが存在します。

その中でもGoogleアナリティクスを使用する理由としては、「基本的には無料で利用できる」ことでしょう。
無料で使えるツールとはいえ、機能性に劣るわけではありません。むしろ、WEBマーケティングに必要な機能のほとんどが使える、きわめて高機能なツールといえます。

また、Googleアナリティクスで解析できるデータは非常に多いため、アクセス解析の標準ツールと呼ばれていて利用者もたくさんいます。詳しい使い方の説明やトラブルの解決方法など、参考になるさまざまな情報の多さも利用する際の大きなメリットといえるでしょう。

Googleアナリティクスの導入と設定

これからGoogleアナリティクスを利用する場合は、下記の手順に沿って導入を行いましょう。

1:Googleアカウントを作成する
2:Googleアナリティクスのアカウントを作成する
3:解析したい対象サイト(ページ)にトラッキングコードを設置する

Googleアナリティクスが使えるようになったら、まずは基本となる3つの機能を確認してみましょう。

  • オーディエンス:アクセス数やユーザーの属性情報を見る
  • 集客:訪問者がどこからアクセスしたのか、どこを経由して来たのかを把握
  • 行動:サイト内におけるユーザーの“行動”を把握

GoogleオプティマイズでABテストを実施する

Googleオプティマイズとはどんなツールか、Googleオプティマイズのメリット、無料でABテストを実施するための準備と実施方法について解説します。

Googleオプティマイズとは

Googleオプティマイズとは、Googleが提供する無料のウェブテストツールです。ほかに高機能の有償版「Googleオプティマイズ360」も提供されています。
かつてはGoogleアナリティクスでABテスト機能が提供されていましたが、2019年8月以降、ABテストを含むウェブテスト機能はGoogleアナリティクスと連携したGoogleオプティマイズへ移行されました。
Googleアナリティクスで取得したデータを元にGoogleオプティマイズでテストを実施したり、Googleオプティマイズのテスト結果をGoogleアナリティクスで確認したりというように活用できます。

Googleオプティマイズは、下記のようなテスト機能を備えています。

  • ABテスト
  • リダイレクトテスト
  • 多変量テスト(MVT)

ほかにも、サイトを手軽に変更できるビジュアルエディタや各種ターゲティング機能などもあり、使い勝手や利便性が向上しています。

Googleオプティマイズのメリットは以下です。

  1. ABテストを簡単に実施できる
    管理画面(ビジュアルエディタ)で簡単にテストを準備・実施可能で、工数を削減できます
     ↓
  2. テスト結果が自動集計される
    Googleオプティマイズはテスト結果が自動集計され、一定期間経過後にレポートで確認できます。テストごとにCV数、CVRなどの重要指標を検証することが容易です。
     ↓
  3. 検索順位や広告スコアに影響を与えない
    テストの実施がSEOの順位や広告スコアに影響を与えないのも、Googleオプティマイズの大きなメリットです。
     ↓

Googleオプティマイズでは多くのテストを無料で実施できますが、同時テスト数やテスト目標数などに制限があります。より大規模なABテストを行いたいときは有償版が必要となります。

Googleオプティマイズをアナリティクスと連携する

Googleオプティマイズで実施するテスト結果の測定には、Googleアナリティクスをプラットフォームとして活用します。そのため、最初にGoogleオプティマイズをアナリティクスとリンクさせる必要があります。
以下の手順に沿って設定を行ってください。

まず、事前準備として、Googleアナリティクス側でアカウントを作成し、解析対象のサイトにトラッキングコードを設置します。
次に、利用ブラウザとしてChromeを導入。Googleオプティマイズのビジュアルエディタでテスト作成を行うのであれば、拡張機能をインストールします。

1:Googleオプティマイズのアカウントとコンテナの作成

事前準備が完了したら、Googleオプティマイズのアカウントとオプティマイズの設定情報がすべて保存される「コンテナ」を作成します。

2:Googleアナリティクスへのリンクを設定

Googleオプティマイズのコンテナの情報パネルに、テストを行うGoogleアナリティクスのプロパティを選択します。
リンクさせることにより、Googleアナリティクスのデータを元にGoogleオプティマイズでテストを行ったり、Googleオプティマイズのテスト結果をGoogleアナリティクスで確認・分析できたりするようになります。

3:対象サイトにGoogleオプティマイズのスニペットタグを設置

スニペットタグとは、オプティマイズを起動させるために必要な埋め込みタグのことです。テストを実施するサイトに「オプティマイズスニペット」を追加します。
オプティマイズスニペットは、既存のGoogleアナリティクストラッキングコードにコード行を追加することで設定できます。
Googleタグマネージャを使用している場合でも、オプティマイズプラグインを設定したアナリティクストラッキングコードを対象ページに直接インストールする方法を推奨しています。

GoogleオプティマイズでABテストを作成する

GoogleアナリティクスとGoogleオプティマイズの準備・設定が完了したら、いよいよABテストの作成と実施です。下記の手順に沿って進めましょう。

1:仮説の立案

まずは、テスト内容とパターンを作成するための仮説を立てます。
「CTAのデザインと配置場所を変えれば、クリック率が改善されるのでは?」など、手持ちのデータを元に何が問題点なのか仮説を立てた上で、実際のテスト作成に進みます。

2:エクスペリエンスの作成

Googleオプティマイズのテストは「エクスペリエンス」を作成して行います。
エクスペリエンスはテストのプロジェクトのようなものであり、

  • テストの名前
  • テスト対象ページのURL
  • テストの種類(ここでABテストを選択)

などを指定します。

3:パターンの追加

次にABテストにおいて比較対象となるパターンを追加します。
オリジナルページに相当するAパターンと、仮説に従って内容を変えたBパターンを作成し、それぞれのパターンがどれくらい表示されるかの比重も設定します。

テストパターンの変更は、事前準備で拡張機能をインストールしていれば、ビジュアルエディタ上で画面を見ながら変更できます。

4:追加したパターンに対する目標やターゲットを設定

パターンを追加したら、それぞれで追うべき目標を設定します(複数設定可)。

  • PV数
  • セッション継続時間数
  • 直帰数
  • AdSenseの広告インプレッション数
  • クリックされた広告数

などのシステム目標が用意されているほか、カスタムで設定することもできます。

また、特定のユーザーだけにテストパターンを表示したい場合は、ターゲティング設定も行いましょう。
地域やユーザー環境、行動(流入元)、Googleアナリティクスのユーザーリストなど、さまざまなターゲットを指定できます。

5:スケジュール登録とテスト期間

最後に、テストを実施するスケジュールを登録します。
テスト期間は、最低でも2週間以上に設定してください。これは、ウェブトラフィックの変動周期が1週間であることを考慮した期間設定になります。

すべての準備が整ったら、実際にABテストを開始しましょう。

ABテストの手順について詳しく解説している以下の記事も参照してください。
※ ABテストの実施のコツや注意点について:【AB テストの方法】テストのメリットと効果的な実施方法まとめ
※ 成果を出す仮説の立て方について:仮説が AB テストの成功を左右する!成果を出す仮説の立て方

GoogleアナリティクスでABテストの結果を分析する

ABテストが終了したら、さっそくテスト結果を確認してみましょう。
ここでは、テスト結果の確認方法および注意点をご紹介します。

オプティマイズのデータをアナリティクスで表示する

Googleオプティマイズで実施したABテストの結果は、Googleアナリティクスで確認することができます。
オプティマイズのレポート画面から「Googleアナリティクスでレポートを表示」をクリックして移動するか、Googleアナリティクスの「行動」—「ウェブテスト」で表示しましょう。
Googleアナリティクスでは、セグメントを使用したABテストのデータ分析も可能です。

また、テスト結果は、Googleオプティマイズでも確認できますが、同じテストでも異なるデータが表示されることがあるので注意してください。

テスト結果のデータに違いが出るのはなぜ?

GoogleオプティマイズとGoogleアナリティクスとでは、同じテストを行っていてもデータに差異が生じることがあります。これはエラーやバグというわけではなく、あくまで仕様の違いです。

Googleアナリティクス

  • 実際のコンバージョン率(CVR)を報告
  • レポート作成が高速

Googleオプティマイズ

  • モデル化されたCVRを報告
  • テスト終了直前のセッションは反映されない

Googleアナリティクスとオプティマイズの差異を理解することに加えて、ABテストの結果を正しく評価するためには統計学の知識や、「検定」「有意差」などについての理解が必要です。以下の記事でくわしく解説しています。
AB テストの結果は正しい?検定や統計学に基づき正しい判断をする方法

データの解析は難しい?ウェブサイトの改善におすすめのABテストツールを紹介

GoogleアナリティクスとGoogleオプティマイズという2つの無料ツールを活用すれば、本格的なABテストを手軽に実施することが可能です。

一方で、無料ツールを使いこなすには知識や経験も必要であり、自分でデータを解析したり、具体的な改善案を考えたりするのが難しいと感じる人も少なくないでしょう。

そうした不安をお持ちの方は、ぜひDLPOにご相談ください。
DLPOが提供する、ABテストも可能なLPOツール「DLPO」では、仮説・実行・検証・行動といったPDCAを可能な限り自動化しています。

さらに、無料ツールにはないサポート体制も万全です。
例えば、「どんな内容でテストを行えばよいのか」「データやテスト結果を元にどんな改善をすれば良いのか」といった相談も、一緒にアイデアを見つけてテスト設計をしたり、ユーザー調査を手配したり、改善案を提案したりと、サポートチームがお客さまのウェブサイトを効率的に改善するお手伝いをします。

DLPO お問合わせ

DLPOの製品資料や料金表などが必要でしたらお気軽にお申し付けください。