ひとくちにABテストと言っても、実施方法によっていくつかの種類に分類されます。ここではDLPOの事例を踏まえ、ABテストの種類を紹介します。
ABテストは実施期間によって「逐次テスト」と「並行テスト」という2つのパターンに分けられます。
逐次テスト
逐次テストは、AパターンとBパターンを別々の期間で比較する方法です。この手法では、LPOツールなどの特別なシステムを必要とせず、簡単に実施できます。しかし、時期や外部要因により結果が左右されるため、信頼性が低い点がデメリットです。たとえば、キャンペーンや季節的な需要の変化が影響する場合には正確な比較が難しくなるでしょう。
並行テスト
並行テストは、同時期に異なるパターンをユーザーごとに振り分ける方法です。同条件で比較が可能であり、結果の信頼性が高い点がメリットです。この方法を用いる際は、曜日や時間帯によるユーザー行動の違いを考慮し、最低1週間、できれば2~3週間のテスト期間を設けることが推奨されます。ただし、1カ月以上の期間をかけると大きな変化は望みにくいため、テストの終了タイミングには注意が必要です。
ABテストは、テストパターンの範囲や作成方法によって、次の4つに分類できます。
- ABテスト(同一URLテスト)
- リダイレクトテスト
- 複数ページテスト
- 多変量テスト
ABテスト(同一URLテスト)
ABテストの基本形で、1つのページにおいて、同一のコンテンツブロックの要素を比較する手法です。同一のページに対し、メインビジュアル、キャッチコピー、CTAボタンの色や形など、細かな違いを持たせた複数のテストパターンを作成し、CVR(コンバージョン率)や離脱率の変化を測定します。一度にテストする要素は1つに絞るのが基本です。
【特徴】
- ABテストの基本形
- 1つのページ内の1要素のみを変数として、テストパターンを作成
エムアイカードのABテスト事例|顧客目線に立ったクリエイティブでCVRを30%改善
クレジットカード会社の事例です。毎月の利用明細書について、WEBで確認するサービスの登録数が伸び悩んでいたため、「WEB明細サービス」というネーミングがわかりにくいという仮説を立てました。「紙の明細書STOP!!」というクリエイティブを新たに作りABテストを実施したところ、CVRが大きく向上しました。
詳細:クリエイティブ訴求の表現を変えただけでCVR30%改善を記録!〜エムアイカードのABテスト事例〜
リダイレクトテスト
リダイレクトテストは、テスト対象ページにアクセスした際、別のURLにリダイレクトして比較を行う方法です。この手法ではAパターンとBパターンが異なるURLで構成されるため、大幅なUI改修やレイアウト変更を伴うテストに適しています。
【特徴】
- 自由度が高く、大規模な変更も可能
- Google Analyticsなどを活用した正確なデータ分析が容易
- 多様なツールが対応している
ワタベウェディングのABテスト事例|ファーストビューのリダイレクトテストでCVR大幅アップ
リゾートウエディングの見積もりを受付するLPで、ファーストビューのキャッチコピーの組み合わせをリダイレクトテストで検証しました。メインコピー2種(ハワイウェディングorリゾートウエディング)とサブコピー2種(意外とリーズナブル!¥148,000〜 or人気のチャペルが!¥148,000〜)をテストしたところ、具体的な場所とユーザーニーズを強くアピールしたコピーがチャンピオンページとして選ばれました。
この他にも、ユーザーの声をもとに予約フォームの項目数を絞る、全て自分で選ぶのではなくチャペル紹介サポートなどのバナーテストを実施しました。その結果、CVRは154%の向上、来店フォームへの誘導は220%の増加を達成することができました。これらの施策により、ユーザーニーズを的確に捉えた改善が、ビジネス成果に直結することを実証しました。
詳細:フォーム誘導220%、来店予約154%の改善を達成!〜ワタベウェディングのABテスト事例〜 - DLPO株式会社
複数ページテスト
比較要素が複数ページにわたる場合のABテストで、CVまでの導線設計を検証する場合に使われます。たとえば、ECサイトの購入画面や、サービスの申し込みページなど、起点となるページ内に設置したリンク先へと遷移しながらCVに導く場合に活用される手法です。
複数ページテストを実施する際は、導線がシンプルに設定されていると、検証結果がわかりやすくなります。仮説をしっかり作り込んだうえで複数ページテストを実施することで、1ページ単位のテストでは見えていなかった結果を判定できる可能性があります。
スタジオマリオのABテスト事例|訪問者の属性に合わせた画像を表示することで、CVRを28.9%改善
お宮参りや1歳の誕生日記念、七五三など子ども向けの撮影が多いフォトスタジオでの事例です。「お誕生日撮影(バースデーフォト)」のページで、ユーザーが入力した属性に基づき、性別や年齢に合わせた撮影例をメインビジュアルに表示させた結果、CVRが28.9%改善されました。
詳細:メインビジュアルの出し分けで、CVR28.9%改善を実現!〜スタジオマリオのABテスト事例〜
多変量テスト
多変量テストは、複数の要素を同時に組み合わせて最適なパターンを検証する手法です。この手法では、各ページの要素を組み合わせたテストパターンを用意し、ユーザー行動やCVRの変化を比較します。一度にさまざまな要素の効果を検証できるためスピーディーに成果を出せる可能性がある一方で、有意義な多変量テストを実施するには仮説をしっかり設計する必要があります。
【特徴】
- 一度に多くの要素を検証するため、成果に素早く辿り着きやすい
- 仮説をしっかり設計しないと、結果が解釈しにくい
関連記事:ABテストではなく、多変量テストを使用すべき場合とは?
auファイナンシャルサービスのABテスト事例|複数の要素を多変量解析した結果、CVRを119%改善
クレジットカード事業ほか、ローン事業、決済代行事業を手がける企業の事例です。クレジットカードの顧客獲得強化のため、LPのABテストを実施しました。CVボタンの色、形のテスト、テキストのテスト、メインビジュアルのテストを行い、次の段階として、多くの組み合わせを検証する多変量テストを行っています。具体的には、ABテストの勝ちパターンを参考に、カードの画像サイズ、コンテンツの表示順、カードが使える店舗ロゴのあるなしなど、さまざまな組み合わせパターンを検証し、CVRの改善につなげました。
詳細:ボタン、メインビジュアル、利用イメージの多変量解析でCVR119%改善!〜auフィナンシャルサービスのABテスト事例〜
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