メインビジュアルの出し分けで、CVR28.9%改善を実現!
〜スタジオマリオのABテスト事例〜

お子様の性別に合わせたメインビジュアルの出し分けで、CVR28.9%改善を実現!
行動履歴から顧客の見たいイメージを掲出し、予約数が大幅にアップ

訪問者に合わせたビジュアルとコンテンツを見せるサイトを目指して

子供達の自然な笑顔を引き出すフォトスタジオ

  • ──まず御社のサービスをご紹介ください。

    松本:株式会社キタムラは、写真プリントやフォトブック、カメラ販売を手がける「カメラのキタムラ」、フォトスタジオの「スタジオマリオ」、Apple製品の修理サービス「アップル製品サービス」等を運営しています。

    今回、お話しするのは「スタジオマリオ」のウェブサイトについてです。「スタジオマリオ」は、記念日の撮影をメインに行っており、お子様のいらっしゃるご家族に多くご利用いただいています。
    芸能プロダクションと提携した研修を受けたスタッフが撮影しており、お子様の自然な笑顔を引き出せると評価されています。
    ウェブサイトでは、撮影内容や衣装、商品を見られる他、店舗検索や予約まで行うことができます。

──どのくらいの年齢のお子様の撮影が多いのですか。

松本:赤ちゃんの撮影、そして七五三の撮影は、特に多いですね。赤ちゃんでは生後1か月くらいで行うお宮参りや1歳の誕生日を撮影されるご家族が多くなっています。
ご予約状況を見ると、お母様が主体となって撮影スタジオを探される場合が大半です。

導入前にも、他社事例やシミュレーションで丁寧なサポート

  • ──DLPOを導入された背景を教えてください。

    松本:お子様の記念日撮影といっても、年齢はさまざまです。性別によっても撮影イメージは変わります。
    ウェブサイトを訪れる方々に同じビジュアルをお見せしているのでは、撮影イメージがわかないのではないか、という課題があり、訪問者に合ったページを出したいという相談を上司としておりました。

    そんな折に、「カメラのキタムラ」のネットショップで実績のあったツールとしてDLPOを紹介されました。

──他社の同様のツールとの比較はされなかったのでしょうか。

そうですね。社内で有用だった実績がありましたので、他社のLPOツールとの比較はしませんでした。DLPOの担当者にお話を聞くと、実際の事例を用いて詳しい説明もいただけました。近い業種として、ウェディング予約サイトの事例は参考になりましたね。「これくらいコンバージョンレートが上がる」というシミュレーションも見せていただけました。おかげで上司に説明する際にもとてもスムーズでした。

会員情報と連携して出し分けができるということで、目的によくあったツールだと納得して導入を決めました。導入前にていねいにサポートしてもらえたことで、信頼することができたと思います。
1点、気になったのは、もともと「スタジオマリオ」サイトで活用していたウェブ接客ツールのことです。必要な場合にポップアップを出して訪問された方とコミュニケーションしていたのですが、DLPOでも少し工夫をすれば同じことができると教えていただき、置き換えることにしました。

──実際に、ウェブ接客ツールをDLPOで置き換えたことで、不都合や困ったことは起きませんでしたか。

松本:はい。何も問題ありませんでした。 担当の方には、イレギュラーな使い方も含めてたくさんの相談をしましたが、結果的に同じことが実現でき、とてもわかりやすく説明していただけました。ウェブ接客ツールとしての活用は、今後さらに充実させていきたいので、引き続きアドバイスをお願いしたいと考えています。

──テストの実施体制はどのようになっていますか。何名くらいで担当されているのでしょうか。

松本:「スタジオマリオ」のウェブ担当は私を含めて2名、もう1名はデザイナーです。もちろん上司に相談することはありますが、ウェブの企画は私1人でやっていますので、テストについても私が実施しています。

──テストを実施するのに1人で困ることはありませんか。

はい。最初は不安もありましたが、DLPOからテスト内容の提案もあり、メールの返信も迅速にもらえますので、少しずつにはなりますが、順調に行えています。

メインビジュアルは、訪問者の印象を大きく変える

──ここからは、テスト結果についていくつかお話しいただこうと思います。テストを開始されたのが2019年9月ですね。半年程度利用されて、特に効果のあったテストの内容や結果などを教えてください。

松本:特に利用の多い、0~1歳のお子様の撮影についてコンバージョンレートを上げていくことを目指しテストをしました。ここでうまくいった施策を、他のカテゴリーにも広げていこうという計画です。
具体的には、お誕生日の撮影は1歳のお子様が特に多いので、「お誕生日撮影(バースデーフォト)」ページで、メインビジュアルを男の子にするのか女の子にするのか、行動履歴をもとにした出し分けの効果を測定しました。

「衣装を見る」のページで男の子/女の子、どちらのボタンを押したかデータを取得し、男の子を選択した人には男の子、女の子を選択した人には女の子のクリエイティブを出しました。それ以外の設定として、衣装ページの訪問がない人と、訪問したが男女選択をしていない人には女の子のクリエイティブ、男の子を選択したけれども女の子のクリエイティブを表示するものも用意しました。

ユーザーの行動履歴として「性別」のボタンクリックを取得

衣装を見るページで「男の子」を選択したユーザー、「女の子」を選択したユーザー向けにメインクリエイティブを出し分け

衣装選択で男の子を選択した人の中で、男の子を表示した場合と女の子を表示した場合とで比較をすると、コンバージョンレートが28.9%改善されました。

──かなりはっきりとした差が出たのですね。

松本:はい。メインビジュアルは、撮影内容を知るページでまず目にするもので、訪問される方の印象が大きく変わることがよくわかりました。
はっきりと結果が出たので、その後はすべて出し分けをするように切り替えましたが、この時期、予約数が前年比85%程度で推移していたところ、200%となり大きな効果を生みました。

──大きな改善となりましたね。今後も別のカテゴリーで出し分けをしていくのでしょうか。

松本:テストはこれからになりますが、やはり需要の多い「七五三撮影」のページで、お子様の年齢・性別に合わせたメインビジュアルにするなどの計画をしています。

もやもやとした疑念が、根拠ある確信に

──他に、大きな差の出たテストはありましたか。

松本:モーダルあり/なしのテストも印象的でした。
「スタジオマリオ」のサイトは2018年に大きなリニューアルをして、トップページに撮影メニューを選ぶモーダルを表示するようにしていました。「この撮影をしたい」という目的を持った訪問が多いサイトだから、はじめにモーダルで撮影カテゴリーを表示させて、目的のページに直接アクセスしてもらう方がよいのではないか、という仮説に基づいたものです。

ウェブ制作会社からの提案で実装したこのモーダルは、PCでもスマホでも画面全体に広がるポップアップを表示させており、社内でも本当に効果があるのか、疑問の声が多くありました。DLPOを入れたのを機会に、このモーダルの効果を検証しました。結果は、PCでもスマホでも「なし」が勝利、特にスマホでの訪問で予約完了までをコンバージョンとしたデータでは、改善率が30.57%となりました。

本当に効果があるのか疑問に思いながらも使っていたものを、数字を根拠に明確に不必要と判断できたことは大きな収穫でした。

──トップページを普通に見たいという方が多かったのでしょうか。

松本:想像の域を出ませんが、トップページを見てゆっくり検討したいという方が多いのかもしれません。撮影メニューの一覧は、トップページでもちょっとスクロールすれば出ていますし、それで充分役割を果たしていたのかもしれません。
また、サイト内でいろいろなページを見てくださった方の方が、コンバージョンする確率が高い、ということもあり得ます。

──社内でも納得の声は大きかったですか。

松本:「やっぱり、そうだよね」という反応でしたね。

予想や仮説が外れても、収穫は得られ知見となる

  • ──予想と外れたテストや効果があまり出なかったテストもありますか。

    松本:「スタジオマリオ」のサイトには、コラムページもあります。お宮参りのマナーや、お子様に関わるお祝い行事についてなど、子育て中の方に役立つコラムを数多く掲載しています。
    お子様の行事について検索されてたどり着く方も多く、「スタジオマリオ」を知っていただくのにも貢献するページです。

お誕生日についてのコラムページに流入された方に、お誕生日撮影のページに遷移していただきたいと、リンクボタンを用意していますが、あまり遷移率がよくありませんでした。そこで、ボタンが目立たないことが原因ではないかと仮説を立てました。
リンクボタンを追従させ、常に画面に表示させるとどうなるか、テキストの文言も4パターン用意してテストを行いました。しかし、追従ボタンがない従来のものが最も遷移率が高いという結果になりました。

──残念ながら仮説が外れてしまった場合も、テストの結果を活かしていくことはできていますか。

松本:もちろんです。リンクボタンが追従しても、いちばん下に表示されていても、見たい人は見るし見ない人は見ない、このことがわかったことは大きな収穫です。
全体としては追従しないリンクボタンが最も遷移率が高くなりましたが、4種類用意したテキストによっても、それぞれ遷移率に差が出ました。比較的優秀だったのが「スタジオマリオのお誕生日撮影プランを今すぐチェック!」「お誕生日撮影フォトギャラリーはこちら」の2つです。この文言をメルマガに設置したボタンに採用するなど、得られた知見として活用しています。
リンクボタンのテキストにはどのようなものがよいのか、これはまた時期を改めてテストして検証したいと考えています。

──今後、どのような施策を行っていきたいとお考えですか。

松本:やはり、当初の目的である、訪問者に合わせた出し分けをもっと進めていきたいですね。テスト結果を反映することで大きな効果が出ていますので、いろいろな撮影メニューにも広げ、会員情報との連携も強化していきたいと考えています。お子様の年齢や性別などさまざまな情報を把握した上で細かい出し分けをしていったら、どれだけの効果が出るか、とても興味があります。ビジュアルだけでなくQ&Aコーナーやコラムなど訪問者に合わせたコンテンツの出し分けもできるとよいですね。結果はどんな形であれ、会社の知見になるでしょう。
また、現在はウェブサイト全体を担当しているものの、ウェブ広告については別の担当に任せている状態です。広告についても勉強して挑戦してみたいなというのは、私個人の希望としてあります。広告とサイトが連動してより大きな効果が出るかもしれません。この仕事がどんな可能性をはらんでいるのか、この先を見てみたいと思います。

──トライすべき施策がたくさんですね。その計画にDLPOが役に立てれば嬉しく思います。最後に、御社のPRをお願いします。

松本:当社では最近、「スタジオマリオ グラン」という新ブランドのスタジオを東京・世田谷の二子玉川に立ち上げました。約20のブースを用意して従来よりもスクリーンの種類を増やしたスタジオでは、手持ちカメラを使った自由なアングルでの撮影が可能です。 毎年撮影してくださるお客様の中からは、「背景が以前と似てしまうので、もっといろいろ選べたらいいな」という感想もいただいており、そのようなお客様にもご満足いただけるスタジオだと思います。
今後も多くのお客様に、生涯にわたってご利用いただけるよう、よい変化を続けていきます。

(記事の内容、肩書きなどは2020年4月現在のものです。)