クリエイティブ訴求の表現を変えただけでCVR30%改善を記録!
〜エムアイカードのABテスト事例〜

クリエイティブ訴求の表現を変えただけでCVR30%改善を記録!
DLPOによるパーソナライズとABテストで、会員サイト上の顧客体験を向上

カードを持つことのメリットを感じられるサイト

購買力のある感度の高い会員を多数抱える

  • ──エムアイカード様の事業をご紹介ください。

    加藤:当社は三越伊勢丹グループのクレジットカード会社です。1988年、伊勢丹が発行する「伊勢丹アイカード」の発行からスタートし、2008年からはVisaやアメリカン・エキスプレスの国際ブランドを搭載したクレジットカードを発行しています。
    2019年3月末時点で、会員数は全国で約340万人、購買力の高い百貨店顧客が多いことが特徴です。

──DLPOを導入されているのは、会員向けのサイトですね。

加藤:はい。当社では、お客さま一人ひとりの趣味嗜好に合ったコンテンツの提供に注力しており、そのためには、サイト運営のツール選びが重要になってきます。
三越伊勢丹グループ百貨店外でのカード利用実績も年々増えていますが、さらに、お客さまの生活全般の決済に使っていただきたいという想いがあり、ネット取引にも注力しています。
百貨店を多くご利用されるお客さまに、リアルの世界だけでなく非リアルでも上質でラグジュアリー感のある体験をしていただきたく、当社で開発している会員サイト向けのコンテンツの利用を促進しています。

社内の運用負荷を減らし、テスト期間も大幅に短縮

  • ──2017年5月から利用いただいていますが、当時、LPOツールを新たに導入することになった背景はどのようなものだったのでしょうか。

    鈴木:時代の流れの中で、マスマーケティングからマイクロマーケティングに移行することが大きな課題となり、販売促進担当内でタスクフォースが立ち上がったというのが背景です。

三越伊勢丹グループでは、グループ百貨店のマーチャンダイジングへのデータ利用は古くから根づいていました。しかし、個々のお客さまに合わせたコミュニケーションを行うことはできておらず、会員向けウェブサイトも、毎月の利用明細確認、キャンペーン訴求がメインで、一方的なコミュニケーションとなっておりました。
そこで、チーム内で「お客さまにとって最高の体験とは何か」を話し合った結果、カード利用前からおもてなしを提供できるプラットフォームが必要だと判断し、適切なパーソナライズができるよう、ウェブの分析ツールを新たに入れ換えることになりました。

──もともと、他のツールを利用されていたのですね。

鈴木:はい。よいツールではありましたが、機能がとても複雑で、ひとつの案件の準備からテストまでに2か月ほどかかり、効果分析がわかりにくく、顧客情報との連携にも課題がありました。そうした課題を解決するツールに切り替えることにしたのです。

──DLPO導入の決め手はどのような点だったのでしょうか。

鈴木:第一に、運用面を担っていただけたことです。テストの実装をDLPOの担当者に任せることができますので、当社内での運用負荷を大幅に減らすことができました。月に1回のサイクルで、定例会を開いて当月のテスト結果をもとに次月の戦略を決定、テストは早いものでは1週間から10日程度、長くても1か月で完了できます。

テストの内容についても、DLPOの知見を活かした有用なアドバイスをいただけるので、当社にとっては新たな発見があり、成果にも確実に結びついています。また、定例会以外にもDLPOの企画担当者には直接コンタクトがとりやすく、当社からの細かい要望に対してもいつも丁寧にサポートしていただけるので、絶大な信頼を置いています。
営業担当者も、困った事例を伝えると、「出来ますよ」とすぐに解決策を提案してくださり、とても助かっています。営業担当、企画担当の2人なしでは、当社のDLPOがここまで定着、運用はできなかったのではないかと感じています。

その他、テストを実施する当社の企画担当者が、DLPOのツールならば直感的に使いやすかったこと、テスト結果がひと目で見られてわかりやすく、以前のツールと比較しても安価であったことなども、大きな要素でした。

キャンペーン名や商品名の打ち出しは“企業目線”だった

──1か月周期で戦略を練られているということですが、具体的にどのようなテストを行っていらっしゃるのですか。

鈴木:一般カードからゴールドカードへの切り替えや、新サービスリリースをバナーなどで訴求する際、セグメントを分けてテストを行っています。多いときで月に20件近く、平均10件程度のテストを回しています。訴求するサービスの企画担当者が、テストもそれぞれ担当します。
どのクリエイティブがよいのか、というだけでなく、掲出する場所や、掲出の数、全員への掲出か限定するのか、などもテストしています。

──セグメントはどのように分けていらっしゃいますか。

鈴木:性別、年代、月の利用額などです。適切なパーソナライズがDLPO導入の大きな目的です。すべての施策において細かくセグメントを切って、各層にどのようなものが受け入れられやすいのか、考えながらテストを行っています。

──特に印象に残ったテスト結果にはどのようなものがありますか。

鈴木:毎月の利用明細書の郵送をやめて、ウェブで明細をご確認いただくサービスがあります。このサービスの登録数が伸び悩んでおり、「ウェブ明細というネーミングでの訴求がお客さまにとってはわかりづらい」という仮説を立てました。そこで「紙の明細ストップ」というクリエイティブをつくり、ABテストを実施したところ、コンバージョンレートが全体で約30%向上しました。

クリエイティブ訴求の表現テスト

──かなり大きな変化ですね。

鈴木:はい。この記録は他の施策でも破られていません。とても効果の高いABテストでした。テストアイディアはDLPOの担当者にアドバイスをいただいたものです。
私たちは、キャンペーン名や商品名を謳いがちですが、もっと内容をくだいた表現にすることで、お客さまに響くことがあると気づかされました。「ウェブ明細」は企業目線の表現だったのです。ABテストを続けていくなかで、「バナーの中に文字をたくさん入れては見づらい」「キーワードだけを大きく謳うと反応が大きい」など、毎月新しい発見をしています。

──新しいサービスがリリースされた際にテストを行うということですが、たとえば、どのようなサービスがあるのでしょうか。

鈴木:たとえば、当社のウェブページのリンクから、楽天市場、Amazonなどのショッピングサイトを訪れていただくと、ポイントが増える「ポイントワールド」や、旅行サイトや飲食店のネット注文サービスとのコラボレーションで、ポイントが増えるものなどがあります。
新しいサービスは、いち早くお客さまにお見せしたいですし、少しでも反応を見たいものですから、テストをすることが多くなります。

加藤:余談にはなりますが、ポイントの倍率という面だけではなく、弊社カードで決済いただくことで、どれだけメリットを感じて、どれだけ生活を楽しくしていただけるのか、ということを私たちは重視しています。それを実現するために、DLPOを活用して、よりよい訴求を練っているところです。

DLPO導入で議論が活発になり、企画担当者のモチベーションも向上

──テストの結果を踏まえてサイトをつくりかえることで、議論が起きることはありませんか。

鈴木:もちろん、つねに議論はあります。
数字はリアルな実績ですので、数字を見せれば、納得してもらえる場合は多いです。しかし、かといって、数字だけで判断していいのかということも考えなければなりません。数字を根拠にしつつ、企画者の思いも汲んでいく、そういった議論は以前と比べて格段に増えていますね。

──DLPO導入により、チーム内のコミュニケーションや議論が活発になってきたといえるでしょうか。

鈴木:そう思います。以前は、掲出バナーをつくることは「作業」という捉え方もあったのですが、掲出方法を変えればコンバージョンレートが変わることが周知されて、担当者は、企画をつくると同時に、お客さまへの見せ方も考えるようになってきています。「見せる」大切さを理解して、いろいろな企業の訴求方法の事例を学ぶ担当者も増えています。
掲出して数字が上がるというところは一目瞭然ですから、企画担当者のモチベーションの向上にも役立っています。現在では、DLPOを活用した際の流入数、コンバージョンの数が可視化されたことで、担当者同士でABテスト実施の取り合いになっています。

──現在のようにDLPOが定着するまでには、活用してもらうのに苦労することもあったのではないかと思いますが、どのような働きかけをされたのでしょうか。

鈴木:企画担当者に対しては「ただ載せるだけではなく、ABテストをすることでこのように効果が変わる」ということを根気強く伝えるようにしました。上長を説得するのには、DLPOからのメルマガが役に立ちました。ABテストでどのような効果が出るのか、事例を交えてわかりやすく説明ができます。

多変量テストも活用し、よりよい顧客体験ができるサイトに

  • ──今後、DLPOを使ってやっていきたいことは?

    鈴木:ABテストはかなりの数を行いましたが、多変量テストはまだ実施したことがありません。今後活用していきたいので、ぜひ効果的な使い方をサポートしていただきたく、期待しています。

    加藤:メインの取引先である百貨店カードをはじめ、提携カードも年々増えています。
      カードブランドによる、サービスや情報の掲出方法の変化に取り組んでいく機会も今後増えますので、DLPOを使ってよい取り組みにしていきたいと思います。

──最後に、御社のPRを含め、読者にメッセージを。

鈴木:エムアイカードは、国内外の旅行で便利な機能を持ちつつ、日常使いでも百貨店をはじめとしてさまざまなサービス特典を用意しております。一定条件を満たすと年会費が無料になるカードから、ゴールドカードまで幅広く取り揃えております。ぜひ一度サイトをご覧ください。

加藤:適切に掲出効果を見られるようになったという意味で、DLPOが根づいたことは、この2年半ほどの取り組みのなかで特に有用なものだったと思っています。今後も、お客さまの生活をよりよくするために、どんな情報をどのように届けるのか、私たちのいちばんのミッションを続けていきます。

(記事の内容、肩書きなどは2019年12月現在のものです。)