カートのコンバージョンが前年比128%アップ!
〜ブックオフコーポレーションのABテスト事例〜

カートのコンバージョンが前年比128%アップ!
意外なパターンが勝利した購入ボタンのABテストとは?

毎月複数のテストを実施して、スピーディーに改善

幅広い商品を扱う、リユースのリーディングカンパニー

  • ──ブックオフコーポレーション様の事業をご紹介ください。

    西尾:当社は、本や音楽・映像ソフト、ゲームソフトをはじめとしたリユースの小売企業です。多くの方にとって、「本」のイメージが強いと思いますが、アパレル、貴金属、スポーツ用品や楽器など、幅広い分野のリユース品の買い取りと販売を行っています。
    2019年3月末現在、直営店・FC店あわせて794店舗を展開しており、1号店をオープンしてから、2020年で30年を迎えます。

──今回DLPOを導入されたのは、オンライン事業のサイトですね。

西尾:はい。オンライン事業は2007年に開始いたしました。開始以降、最近まで、オンライン事業と店舗事業はそれぞれ独立した形で運営されていましたが、現在は、店舗在庫をオンラインで販売したり、オンラインで注文したものが店舗で受け取れたりと、両者を融合させることに力を入れています。店舗検索や会員証などの機能がメインだったスマートフォンアプリも、アプリ内で買い物ができるものにリニューアルされました。
今当社は「ひとつのBOOKOFF」という大きなミッションを軸に、店舗とネットを融合させた変革の時を迎えています。そんな中で、サイトの改革も考え、実行しています。

同時にまわせるテストが多く、集計がすばやいDLPO

──お客さまに、オンラインと店舗のサービスをシームレスに活用してもらうために、サイトの改善が必要となり、LPOツールを導入されたのでしょうか。

西尾:まずは、お客さまが買いやすい状態にもっとしていきたいと考えました。ただ、LPOツール自体は、以前から導入していました。テスト回数や使いやすさの面で、以前使っていたツールでは力不足だと感じ、よりよいツールを探してDLPOの導入に至りました。

  • ──以前お使いだったツールと比較して、DLPOが勝っていたのはどのような点でしょうか。

    安藤:同時にまわせるテストの数、運用効率のよさです。
    サイト改善では数多くのテストを行わないといけないのですが、以前に使っていたものは、1か月に1つのテストをまわすものでしたので、サイト改修に時間がかかりました。DLPOでは、同時に複数のテストを行えます。さらに、集計が自動で行えることも大きなメリットです。以前は、手動で集計する必要があり、運用が負担になることもありました。DLPOでは、検証結果が自動でスピーディーに判明し、人的リソースもかかりません。

また、途中経過をリアルタイムで見ることができて、クリエイティブの露出バランスを変更するなど、テスト途中でのチューニングができることも、テストの効果をより高められる優れた機能だと思います。

的確なサポートでスピード展開。運用リソースをかけずスムーズに

──運用リソースがかからないところが利点というお話でしたが、運用の体制はどのようになっていますか。

安藤:当社のサイトは、すべて内製しており、テストのためのクリエイティブはデザインチームが用意します。テストの設定は、DLPOにお願いしています。
DLPOの担当者さんとは、週に1回ミーティングを開き、結果報告、テストアイディア出し、テスト内容と今後の方針決定などを行っています。週1回というと、大変そうにも聞こえますが、1時間弱の時間で決めるべきことを決め、他の時間は使わないというペースで進めていますから、本当に負担にならない運用となっています。

──テストの期間や頻度はいかがですか。

安藤:1か月に1回、複数のテストを同時にまわしています。2週間でかなりはっきり結果が見えてくるのでテスト期間は2週間として、最終的に出たデータをもとに、採用するデザインや文言を決め、サイトに実装します。そして、次のテストに進んでいくというサイクルで、毎月数か所のサイト改善が進んでいます。

──かなりスピーディーに改善が進んでいますね。具体的にどのような成果が出ているのでしょうか。

安藤:2019年9月から開始して、3か月ほど経ちました。9月のテスト結果を10月に反映し、10月の結果を11月に反映していますが、コンバージョン率の前年比で、10月は16.69%から19.43%、11月は15.64%から20.08%。それぞれ、2.74%、5.16%の改善を記録しています。

──それは大きな改善となりましたね。導入後すぐに結果が出ていて、効果的なテストを行えたようですが、テストアイディアはどのように考えているのでしょうか。

安藤:私たちで考えているものもありますし、DLPOの担当者さんから提案をいただいくものもあります。私たちだけでは出てこなかったアイディアも多く提供いただけるので、助かっています。

西尾:テストアイディアについては、私たちだけですと「デザインを変えるなら、全体のトーン&マナー調整もしていこう」「あらかじめ分析をしっかり行おう」などと、つい動きが遅くなることを考えるのですが、DLPOのスピード感あるツールのおかげで、「まずやってみて成果を優先して変えていこう」と、指標が「成果」とはっきりした分、チーム全体がスピード感のある発想に転換することができました。
これまで社内リソースのみでABテストを行った際には、リソース不足のときにはテストをしない、あるいは、テストは行っても充分に検証しないなど、しっかりとPDCAをまわすサイクルを生み出すことができていませんでした。実際にやってみて、サポートに頼りながら、素早いサイクルをまわしていけば、スムーズなサイト改善につながると感じました。DLPOから的確なサポートをいただけて本当に助かっています。

テストの結果、ページによって文言が異なるなど、通常では見られないようなデザインになったところもあります。初期には、デザインチームから疑問の声もありましたが、数字で明確に結果が出ますので、まずはどんどんテストをやってみようという姿勢です。今後は、ページ間の表現を統一したり、トーン&マナーを見直したりといったことも課題となるでしょう。その調整にもDLPOを活用する予定です。

自分たちの経験・発想からは思いつかなかった案が勝利

──具体的には、どのようなテストを行ったのでしょうか。

安藤:まずは、買い物の主導線を改善していくという方針があり、テストの順番としては、その中でも改善幅が大きいと考えられる特に露出が多い部分を優先的に行っています。たとえば、サイトの中でも表示回数の多い商品詳細の「カートに入れる」購入ボタンの色、形、表示の場所などです。「カートに入れる」も、「カートに保存」「買い物カゴに追加」など、文言をいくつかテストしました。

──特に印象的な結果が出たものはありますか。

安藤:カートボタンの形のテストには驚きました。以前は、一般的な長方形のボタンを使っていましたが、テストを行ったところ、丸型が勝利しました。私はECに携わって18年ほどになりますが、正円のカートボタンというのは、ECサイトでは見たことのないものです。半信半疑ながらテストパターンに入れてみたところ、この案が他のボタンの形と比較して大幅にスコアが良く勝利しました。
丸形ボタンはEC以外の業種の事例をDLPOから紹介していただいたもので、私たちだけでは思いつかなかったでしょう。もちろんボタンの形だけの影響ではありませんが、先述しましたように、はっきりとコンバージョンが上がっています。

カートボタンの形のテスト

──他にも意外な結果が出たものはありましたか。

安藤:商品検索を行った後の一覧表示に、どんな要素を表示するのがよいのか、今まで表示していたものを表示しないテストを行いました。たとえば「著者やアーティスト名」「定価との比較」「発売年」「タグ(新品・中古・書籍等商品属性)」など。1つずつ削るテストをしましたが、最もコンバージョン率が高いのが、タグなしのパターンでした。
なるべく画面をシンプルにしようと、コンバージョンに影響を与えない要素であれば表示を減らそうという発想で行ったテストでしたが、もともとはどの要素も必要だと考えて設置しているものです。意外に感じる結果もありますが、お客さまがそのページにアクセスしたタイミングに、何を必要としているのかが見えてきました。この結果は、このままサイトに実装するわけではなく、次の段階として、削る要素の組み合わせをテストしていく予定です。

要素の表示のテスト

行動や属性ごとのテストで最適なコミュニケーションを探っていく

  • ──今後、DLPOを使っての計画にはどのようなものがありますか。

    西尾:アプリが新しくなりましたので、アプリでのテストも積極的に行っていきます。
    また、ブックオフオンラインは、1500円以上の購入で送料が無料になるので、ほとんどのお客さまがサイトを回遊して商品を探し、合計1500円以上にされてから購入されます。その分、1500円に満たないお客さまの離脱も多く、離脱の手前でどんなコミュニケーションをすることが購入につながるのか、たとえば「店舗受け取りで送料が無料になる」というメッセージを出すなどがありますが、そうしたお客さまの行動に合わせたテストをしたいという希望もあります。

このように、個々のお客さまにどんな情報を届けることが効果的なのか、セグメントを切り分けたテストにより、行動や属性によってふさわしいコミュニケーションをABテストを通じて探っていきたいと考えています。

──LPOに限らない、御社事業全体ではどのような計画があるでしょうか。

西尾:事業の主である実店舗がより盛り上がるように、アプリやネット、倉庫を活用した世界を作るのは当然ですが、POSデータなどを含めた情報基盤の統合/整理も行っていきたいです。我々の扱っている商材は、ベビー用品から、家電、ハイブランドなど幅広いです。お子さんからご年配まで、本を入口として一生涯通じて利用いただけるようなお店になるべく、ライフタイムに合わせた商品提案が店舗/ネット両方でお届けできるようになりたいです。
また、特色ある店舗や商材の幅広さなど現在アピール不足である点をもっと打ち出していきたいと考えています。SDGsが注目される中、リユース業態は持続可能な社会を築く上で大きなカギを握ります。より多くのお客さまに、当社の特徴を知っていただけるよう、オンライン、実店舗の両輪で努力していきます。

──最後に、LPOツールの導入を考えている方にメッセージをお願いします。

安藤:DLPOは長年の実績があり、貴重なノウハウがたくさん蓄積しています。そうした経験から、私たちには思いつかないような提案をいただけてとても助かっています。

西尾:DLPOは結果がわかりやすく見えて、サポートが手厚く、スピードある改善を可能にしてくれました。入れないで迷うよりも入れてみるほうが早い。そんなツールだと思います。

(記事の内容、肩書きなどは2019年12月現在のものです。)