ボタン、メインビジュアル、利用イメージの多変量解析でCVR119%改善!
〜auフィナンシャルサービスのABテスト事例〜

情報量の多いLPで、多変量テストを実現しCVRを大幅改善
ステップを踏んだテスト計画と優れたレポーティングで手厚くサポート

認知の広がりを受け、幅広い人に向けたLPに

「信用を通じ、人々の生活に資する」を理念として

──御社と御社のサービスについてご紹介をお願いします。

草野:当社は、auじぶん銀行とともに、auフィナンシャルグループの中核を担う2社のうちのひとつです。
今回DLPOを導入した取り組みは、クレジットカードのランディングページ(LP)ですが、当社の事業としては、それ以外にも、ローン事業や決済代行事業などもあり、クレジットカード事業に限定した企業ではありません。「信用を通じ、人々の生活に資する」という企業理念のもと、お客さまの生活に資するサービスを提供していくことが使命です。
クレジットカードについて説明しますと、KDDIグループとしてauをご利用のお客さまの利益を最大化するという目的で2014年に「au WALLET クレジットカード」を発行し、現在は「au PAY カード」「au PAY ゴールドカード」と姿を変えました。携帯電話を契約されるお客さまに、一緒に持っていただき通信料をお支払いいただくとポイントが付与される仕組みで、auをご利用のお客さまがおトクに使えるカードとして親しまれてきました。2019年からはKDDIグループとして、auをご利用でないお客さまにも、auIDが使えるようになり、2020年から、クレジットカードも、auユーザー以外のお客さまにもご利用いただけるようになっています。

ウェブ上での顧客獲得強化のため、LPの最適化が課題に

──DLPOの導入の背景を教えてください。導入を考えるのには、どのような課題があったでしょうか。

疋田:草野から説明しましたように、auをご利用のお客さまはもちろんのこと、ご利用ではないお客さまにもau PAY カードのメリットを伝える目的で、2020年夏頃から2021年2月にかけて、au PAY カードのテレビCMが、放映されました。もともとはauショップ店頭で、携帯電話を契約されるお客さまへの販売促進が中心だったところ、テレビCMで認知が広がることによりウェブでの顧客獲得も重要になってまいりました。そのため、お客さまに最適なLPを表示させる必要があり、LPO施策を実施することを決めました。

──DLPOの導入を決めたのは、どのようなところを評価したからですか。

井上:当社ではau PAY スマートローンでDLPOを導入しておりまして、そこで成果が出ているということが大きかったと思います。当社の内情や、LPの制作、運用の流れも知っている企業の方がやりやすいということもあります。

──社内の他部署が導入したところ成果が出ていて、御社の内情にも理解があること、この2点が決め手になったのですね。

井上:導入するだけで終わりとならないように、ということは導入時点でもかなり考えました。ローンの部署で成果が出ている中で、特に注目したのはレポーティングです。実際のレポートを共有してもらいましたが、とてもクオリティが高いと感じました。

疋田:当社は、社員数は100名程度と多くはありません。スピーディで小回りが利きますが、一施策にそれほど多くのリソースをかけられない事情もあります。その点で、実際のレポートを見て、これだけしっかりと検証され、わかりやすくまとめてもらえるのであれば、サポート体制も心強いと判断できました。

ABテストから、多変量テストへ。CVR向上に貢献

  • ──テスト内容などはDLPOからの提案で行ったのでしょうか。

    疋田:はい。テスト内容やスケジュールなどをご提案いただき、週に1回、もしくは隔週で定例の会議を開いて、しっかり相談にのっていただきました。

    ──実際に行ったテスト内容について教えてください。

    井上:まずコンバージョンボタンの色・形のABテストを行いました。次に、申し込みボタンに入れる「お申し込みはこちら」などのテキストのテスト、さらにメインビジュアルのテストを行いました。レギュラーカードとゴールドカードと分けて行っています。
    その次の段階として、その中の勝ちパターンを採用しつつ、申し込みボタンに付随するクレジットカード画像のサイズ、コンテンツの表示順、使える店舗のロゴの有無など、多くの組み合わせを検証する多変量テストを行いました。

ボタンの検証では、レギュラーとゴールド共にポイント訴求をするテキストがあることが最も効果がありました。お客さまが最後に迷うとき、カードの入会にどんな利点があるか、示すことが重要だとわかったことは大きかったですね。

多変量テストで特に印象的だったのは、au PAY (コード支払い)(QRコードやバーコードを読み取る決済サービス)の「利用できる店舗のロゴ」を入れた場合のコンバージョンレート(CVR)が高かったことです。具体的に店舗を提示するなど、ユーザーの利用シーンをイメージさせることで意欲が高まることがよくわかりました。
おかげさまでCVRも大きく改善しています。

──予想と違って驚いたところなどはありましたか?

井上:過去に、ボタンの検証をしたときには、テキストの少ない簡素なものが勝っていました。そのため、実はボタン内やボタン付近に文字を入れ込むのは当社の意見としては反対だったんです。でも、文字が入っているものが勝ちました。時間が経つと効果的なデザインも変わるんだなというのが新しい発見となりました。

──導入前から、これくらいの結果は出ると予想されていましたか。

井上:正直に申しますと、そこまでは予想していませんでした。というのは、ローン事業はリリースしてそれほど年数が経っていないから結果が出るけれど、クレジットカード事業は、数年かけて形をつくってきたため、ローン事業と同じような成果は出にくいだろうと思ってました。まだまだ改善の余地がありました。

社内メンバーによる判断を容易にするレポーティング

──レポーティングを導入前から評価していたというお話でしたが、実際にはいかがでしたか。

疋田:はい。レポーティングには特に満足しています。レポートは大雑把すぎても、当社の知見では正しい判断ができない恐れがありますし、細かすぎてもどこを判断基準にしてよいのかわからないことがあります。その点、DLPOのレポーティングでは、グラフ化されてポイントがわかりやすく、「統計的に有意かどうか」ということの説明もあって、その検証結果から当社としてどう判断したらよいのか、わかりやすいところがよかったですね。

井上:「このテストは、このぐらいのサンプル数があって、このように統計的に有意な結果が出ています」と説明できると、担当者としても社内の答申が通しやすく、とても助かっています。

──社内でレポートをそのまま使えますか。

井上:上席者へ報告する場合は、要約して結論を伝えることが大切なので、いただいたレポートをもとに、当社のフォーマットでつくり直します。ポイントがまとまっているので、その作業もやりやすいですよ。担当者ベースで話す場合は、相当細かく数字を見ながら話すべきだと思いますし、そこがきっちり書かれているのがいいですね。テスト結果が出たところについて、改修するのか否かという話し合いもしやすいレポートです。
また、担当者が変わると、それまでの知見がたまっていかないことはよくあることだと思いますが、このようにわかりやすいレポートが残っていれば、今のLPがなぜこうなっているのか理解でき、知見が埋もれてしまうことも防げます。

タグの変更のみの気楽さと、ステップを踏んで進む気持ちよさ

  • ──レポーティング以外の点で、評価できるのは?

    疋田:テストアイディアも面白いですね。たとえば、ボタンの色・形のテストでは、正円のボタンというアイディアもあって、これは必要ないだろうと思ったんです。でも、チームメンバーから「やるなら徹底的にやりましょう」と意見が出て、やってみました。やはりこれが勝つことはなかったのですが、徹底的にやって、数値としてはっきり結果が出たことに価値があると思います。提案の中に普通は思いつかなさそうな選択肢が入ってくるところにDLPOの特徴があると思います。

    井上:タグマネジメントだけで対応ができるのはありがたいです。HTMLを書き換えての作業ですと、管理に負荷がかかる上、変更したLPがそのままになって、キャンペーンが終わった後に表示されてしまうなどの事故にも繋がりやすいのですが、その点、安心できます。

疋田:これまでにもLPの分析はいろいろやってきましたが、ここまでの多変量の組み合わせは、なかなかやるチャンスがありませんでした。当社のLPは要素がかなり多いので、いろいろなパターンの組み合わせの結果をしっかり見られたのがよかったですね。
特に、組み合わせの多い・少ないの問題ではなく、ステップを切って順に進んでいけることがいいと思います。まずは申し込みボタンの色・形、そして、テキストの有無と内容で、どれがいいのか判明させ、自信を持って要素を絞れる環境をつくったところで、次にイメージを検証し、多変量の組み合わせをしていく。順番にステップを進んでいくとても気持ちがいい感覚がありましたね。担当者のハンドリングが素晴らしいと思います。
無料のツールでも多変量の分析が可能なものはありますが、レポーティングをここまでしっかり出してはもらえませんし、ステップを踏んで次のスケジュールを示してくれる点は、DLPOを長く使いたいと思わせるポイントなんじゃないかと考えています。

既存のお客さまにより喜んでもらうためにもDLPOを活用したい

──今後、どんなことをやっていきたいか、教えてください。

疋田:どれだけ買い物をすると、どれだけポイントがたまり、おトクになるかの具体例を伝えたいですね。我々のLPではこの欄が盛りだくさんになっていまして、これまでのテストでは、あまり結果が出なかったところですので、また視点を変えて検証していきたいです。

井上:どこからLPに入ってきたのか、導線別のテストではあまり差がなかったのですが、au PAY アプリ経由のものだけは少し違っていました。この辺りはもう少し深掘りをしていきたいですね。アプリと一口にいっても、チャージをする面なのか、お金の管理画面なのか、いろいろな断面がありますから、やり出すと際限がなくなるかもしれません。

疋田:ここもDLPOの腕の見せ所ですね(笑)。
既存のお客さまに向けたキャンペーンページや、全体のUXにも関わるような、大胆な見栄えの改革などに使いたい希望もあります。クレジットカードは、お客さまの暮らしに寄り添うサービスです。入会して終わりではなく、カードを使って喜んでいただくことを追求していくべきですから、そのために、LPやサイトのデザインの変更で生じる数%の違いもどんどん拾っていきたいと思うのです。経営理念にもあるように、お客さまの生活に資する形で我々も研鑽を続けていきます。

──やりたいことは尽きませんね。それでは最後に、DLPOへの期待、要望をお願いします。

疋田:要望は、いつもその都度丁寧に応えていただいていますよ。むしろこちらがどんどん要望を出すところを、めげずに対応していただいて助かっています。

草野:ユーザーが広がり、多くの方にメリットをどう訴求していくか、大変重要な課題です。疋田と井上からお話しさせていただいたように、メンバーはとても積極的に前向きに業務に取り組んで、改善が進んでいます。DLPOさんには、よいページをつくり、エンゲージメントの高いお客さまにご入会いただく取り組みをサポートしていただいて、とてもありがたく思っております。新規獲得だけでなく、お客さまには入会後はメインカードとしてご利用いただいて、多くのメリットを感じていただけるように、引き続き幅広くサポートをいただけるよう期待しています。

(記事の内容、肩書きなどは2021年5月現在のものです。)