【ABテスト事例】トータルの金額と月払いの金額、どちらの表示が効果的？

世界銀行によると、不景気のブラジルにおいて、金の指輪やネックレスなどのような、高価な商品の販売は厳しい状況にあるとのことです。

ブラジルの宝飾品の小売りであるJoias Goldにとっては悪いニュースです。この会社の売り上げを維持するためには、思い切った革新が必要とされていました。

幸運にも、彼らはCorebizの協力を得て、これを達成することができました。CorebizはWebの最適化と顧客体験の提供に特化したデジタルマーケティングのエージェンシーです。

Corebizが顧客体験を強化させた方法の１つが、Joiasの金の販売における、価格戦略についてでした。

Corebizのテストチームは、不景気の状況の中、一括で払うのか月払いで払うのか、顧客はどちらを好んでいるかに注目しました。

これを発見するため、チームはJoiasの金の購入者の購入履歴を10か月分調査しました。その結果、顧客の大部分が、一括払いではなく、月払いを好んでいることがわかりました。

このデータを元に、顧客に対して一括で大金を支払う必要はないと示すことができれば、製品の購入数が増えるのではないかと、チームは考えました。月払いの金額を表示すべきではと思ったのです。

この考えをテストするために、チームは2種類の「カートに追加するページ」を作成しました。

1つ目のバージョン（A）では、トータルの金額が、大きい黒の文字で目立つように表示されています。月払いのオプションは、その下に小さな緑の文字で書かれています。実際の画面は下記の通りです。

勝者はBバージョンでした。月額のバージョンが勝利したのです。

トータルの金額を表示したAバージョンと比べ、月額表示のBバージョンのほうが、あらゆる点において勝ったのです。

• エンゲージメント　1.6%
• 購入ボタンのクリック数　17.6%
• 購入数　57.4%
• トータルの収益　825.7%－タイプミスではありません！

より詳細な結果は下記となります。(英字）

価格の戦略は顧客の認知と購入パターンに深く影響します。

トータルの金額ではなく、月額の支払いを強調することは、高級な商品を安く見せることができます。価格の表示を変更することで、購入への不安が減少され、コンバージョンが増加しました。

価格についての心理学の調査によると、購入の金額を評価する際、顧客は意識的にせよ、潜在的にせよ、「参照価格」を設定します。

参照価格は顧客が想定する、特定の商品に支払う金額の量として定義することができます。参照価格は、過去の類似商品の購入や競合製品の価格などの要素が元となります。顧客があなたの製品の価格を低いと判断するために、類似の競合製品よりも安くなければなりません。

金額を月払いに落とし込むことは、参照価格への共通の対策の１つです。これにより、顧客が想像した価格や競合他社の価格よりも低い金額であると認知されるため、購入数の増加につながるのです。

しかし、このテストでは、コンバージョンに影響した要因は価格の戦略だけではありません。マクロ経済の要素も、価格戦略の効果に影響します。

不景気下のブラジルでは、多くの買い物客が可処分所得を高価な宝飾品の購入に費やそうと考えていません。月払いを選択することで、顧客は支払いを数か月に分割することができ、未払い残高を支払い可能な金額であると思わせることができます。

金銭的な負担が少ない買い物であると思われるため、より多くの顧客がコンバージョンへと至ります。価格戦略は、買い物客の経済事情に沿ったものとなったのです。

このテストは、顧客のマクロレベルの要因と下記の問いを持つことの重要性を示しています。

• 多くの買い物客が住む国の経済事情はどういったものか？その国の経済事情は、購買パターンに影響するか？
• 両方のオプションが提示された場合、顧客は月払いを好むか、一括払いを好むか？その理由は？
• 平均して、我々の顧客はどのくらいの金額を一度に支払うことを好むか？

これらの答えをベースとすれば、月払いのほうが理にかなっていると判断するかもしれません。もしくは、月払いの提案は、悪影響を与えると判断するかもしれません。

最適な戦略とは、あなたが、何を、どこで、誰に販売するかによります。もちろん、テストを行うことが最適であることは、言うまでもありません。

1. 価格の表示は重要

2. 文化と全体的な経済の要素を考慮する