【ABテスト事例】1ピクセルのフォントサイズの違いはエンゲージメントに影響する?

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test

テスト詳細

日系のデジタルマーケティング・ファームであるImpact M(旧:Value-Drive)が、コンテンツマーケティングのブログにて、フォントサイズについてのテストを行いました。

背景

自社ブログの直帰率が高いことに気が付いたImpact Mは、フォントサイズの影響を測るテストを行う価値があると考えました。

読者のエンゲージメントを高め、直帰率を下げることが彼らの目標です。

仮説

調査チームはフォントサイズの変更がエンゲージメントに影響しうると考えました。しかし、どのフォントサイズが最善であるかはわかりません。そのため、5つの異なるバージョンをテストすることにしました。

テスト環境

トラフィックを5つのグループに分けました。最初のグループには、オリジナルの13ピクセル(10ポイント)のフォーマットでブログを表示します。実際の表示は下記です。



別のグループは、フォントサイズを12ピクセル(9ポイント)で表示します。テキストの内容は同一です。実際の表示は下記です。



その他3つのグループも、テキストの内容は全くの同一です。しかし、フォントサイズは、14ピクセル(10.5ポイント)、15ピクセル(11ポイント)、16ピクセル(12ポイント)と、変更しています。

読者のエンゲージメントは、5つのグループ全てで測定されます。直帰、もしくは、サイトを去らずにページ内のリンクをクリックすれば、その読者はエンゲージメントを発生させた、と考えます。

ティザーテキストをクリックし、記事の全文を読むためにクリックした訪問者をカウントすることで、記事のビュー数も測定されます。

結果

勝者:バージョンB

エンゲージメントと視聴者の差異は大きなものでした。

オリジナルの13ピクセルのフォントと比較し、より小さい12ピクセルのフォントが、全てのフォントサイズの中で最高のエンゲージメントを計測しました。

12ピクセルのフォントサイズの場合、オリジナルでありパフォーマンスが最低値であった13ピクセルと比べ、エンゲージメントが29.2%アップしました。調査結果の信頼性は97%です。

次にエンゲージメントが高かったのは15ピクセルのバージョンであり、オリジナルのフォントサイズと比べ、19.2%高かったです。他のバージョンは大きな違いを生みませんでした。

興味深いことに、15ピクセルのバージョンが、最もビュー数が高かったです。エンゲージメントは、勝者のバージョンに僅かに及びませんでしたが。15ピクセルのフォントサイズの場合、続きを読む読者数を42%上昇させました。しかし、この調査結果の信頼性は、78%にとどまっています。

分析

最善のフォントサイズの選択は、読者のエンゲージメントに影響しうる、デザイン上の重要な判断となります。

また、読み取りが可能であることは、コンバージョンのための重要なデザイン要素です。しかし、多くの場合、テストはされません。

フォントの場合、大きいサイズが常に良い結果を生むとは限りません。実際に、僅かに小さいフォントサイズが、大きな違いをうみました。フォントを小さくすることで、読み取りがしやすく、少ない時間でより多くの情報が見られるようになったのです。

今回のケースでは、一番小さいフォントサイズ(12ピクセル)が最も高いエンゲージメントを記録しました。おそらく、一番小さいフォントサイズが、ひと目でより多くのコンテンツを表示させるからでしょう。

しかし、最終的には、フォントサイズが大きい場合(15ピクセル)のほうが読者はより多く読んでいました。おそらく、大きいフォントサイズのほうが見やすく、読書にかかる負担が少ないからでしょう。

まとめると、今回のテストで2つのことがわかりました。

1. 読者のエンゲージメントを発生させる読み取りのしやすさと、読者をページにとどまらせることの、最適なバランスを見極めるテストが重要
2. あなたが、あなたのユーザーを知ることが、鍵となる

今回のテストは日本語で行われました。また、オーディエンスも日本人を想定しています。同じテストを北アメリカのサイトで英語で行った場合、結果は異なるかもしれません。

スクリーンのサイズも、テスト結果に影響しうる要素の1つです。日本では、正方形の小さなスクリーンを使用する人が多いです。そのため、より幅の広いスクリーンが常識となっている北アメリカと比較した場合、スクリーンの大きさの重要度は大きく異なります。

小さなスクリーンの場合、小さなフォントサイズが最適です。しかし、北アメリカでは、12ポイントのフォントサイズが、10ポイントや14ポイントよりも速く読めるという理由から、最善であるとする調査もあります。実際、Googleの開発者も16ピクセル(12ポイント)をベースとして使用することを勧めています。

そのため、フォントサイズの選択は、鍵となるコンバージョンの指標のみで決定されるべきではありません。リソース、言語、文化がコンバージョンにどう影響するか、それらを考慮すべきです。

かんたんなアドバイス

1. 最適なフォントサイズとは
最適なフォントサイズは、オーディエンスがすぐ簡単にコンテンツを読み取ることができ、スクリーンを凝視したりズームインを必要とさせず、読者が快適にコンテンツに対するエンゲージメントを発生させるに十分な大きさのサイズとなります。スクリーンの大きさ、言語、文化的な好み、そして、オーディエンスのデモグラフィックなどの要素が、あなたのサイトにとっての最適なフォントサイズを決定します。最適なフォントサイズを確かめることができる唯一の手段は、テストを行うことです。そして、コンバージョンへの影響にもかかわらず、しばしばフォントサイズのテストは軽視されがちなのです。

2. 最適なフォントサイズを判断するために、複数のコンバージョン指標を査定する
直帰率のような、1つのコンバージョン指標のみを測定している場合、全体像の把握に失敗する可能性があります。最適なフォントサイズをテストするには、直帰率、エンゲージメント率、記事の滞在時間、トータルのビュー数など、関連する複数の指標も査定します。可能であれば、ヒートマップの分析データも組み合わせましょう。そのサイトがどの程度スキャン可能か、明らかにしてくれます。

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