我々人類のためとなる実験(テスト)

DLPOはユーザ行動やマーケティング理論に基づいて、WEBサイトなどの課題を突き止めます。
そしてその課題の解決となるであろう改善作を作って、本当に良い効果があるかをテストします。
「テスト」というよりは「実験」という言い方が良いかもしれません。

考えてみると「実験」というのは様々な場面で応用されています。
今回はダニエル・ピンク著作の「To Sell Is Human」(人を動かす、新たな3原則)からとった話をご紹介できればと思います。

To Sell Is Human

「実験」によって偶発的な発見が増えるか?

放射線科医の仕事は容易ではありません。考えて見ると非常に大変な仕事です。
多くの放射線科医は一人ぼっちで暗い部屋で毎日毎日多数の患者のレントゲン写真・CT・MRIスキャンイメージを診断しています。
実際の患者さんとの接点が少なく、少し孤独感が漂う職種です。責任も重い。

放射線科医の仕事は非常に重要で価値のあるものですが、仕事のタスクがルーティン化されたり、仕事のモチベーションが落ちたりすることは想像に難くありません。

優秀な放射線科医とそうでない放射線科医の違いはどのようなところに表れるのでしょうか?
それは「偶発的な症状」の発見率に表れます。

例えば、ある放射線科医がある患者の腕の骨折のレントゲン写真を診断していた時、
偶発的にその患者の肩に腫瘍があることを見つけたりとか。

ターナーというイスラエルの放射線科医はその「偶発的な発見」に興味を抱き、ひとつの実験を行うことにしました。

まず、ある放射線科医のグループに患者300人のCTスキャンイメージの診断をさせます。
通常の診断と違う点はひとつだけ:CTスキャンイメージのとなりに患者さんの顔写真を入れていること。

その300のCTスキャンイメージを診断した結果、81件の偶発的な発見がありました。調査を行った3ヶ月後、ターナーはその偶発的な発見があった81件のCTスキャンを同じ放射線科医のグループにふたたび診断してもらいます。
ただし、今回はCTスキャンイメージのとなりに患者さんの顔写真はありません。

その結果

ギョッとさせるような結果になりました。なんと、見つけられたはずの偶発的な発見を80%も見逃してしまったという結果になったのです。
CTスキャンイメージだけですと、「患者を助ける」という意識が薄まって、「患者」は「大切な人間」から「物」に化けてしまうというような仮説です。

課題:放射線科医の診断には見抜きがあります。
実験:顔付きのCTスキャンイメージと顔付きでないCTスキャンイメージによって「偶発的な発見」の差が生じるかどうか。
結果:大きな差が生じています。CTスキャンイメージに患者の顔写真を入れることで「偶発的な発見」が増えます。

ひとつの素晴らしい、人類のためとでもなるような実験をご紹介しました。DLPOもこの話からINSPIRATIONを受け、当社が実施する「実験」のレベルをさらに上げたいと思います。応援をお願いいたします。

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