ラーメン屋におけるLPO技術の応用に向けて【後編】

こんにちは!データアーティストのミックです。

前回に引き続き、数年前に、内定中のインターンF君がまとめてくれた、ラーメンLPOの結果報告となります。
はたして、設置したクリエイティブはラーメン店の認知向上に役立ったのでしょうか。

(1) クリエイティブの効果

さっそく本題から参りたいと思います。用いたデータは麺家かまくら様に提供いただきました「来店人数」の数字となります。
以下のグラフに、1週間を通した来店人数をそれぞれ並べてみました。

ABテストの例

1週間を通した来店人数

青い線がクリエイティブ設置前の1週間、赤線が設置後の1週間です。赤の方が上下に振れていることがお分かりいただけるかと思います。 しかし・・・

・金曜日の激増は、恒例の家系ラーメン300円のサービスデー
・月曜日の減少は、台風18号の影響

という事情もあり、いずれも純粋な広告効果とは言いがたいところがございました。そこで、これらの数値を除外してみました。

ABテストの例

4日間の来店人数

こちらの結果を見る限り、残りの4日間ではわずかながら上昇があったようです。より具体的に、平均すると一日当たり30人前後の差が出たという結果が得られました。

ABテストの例

(計測期間が4日と短く、この30人という数字をクリエイティブだけのおかげと言い張るのは若干心苦しくはありますが、ぜひ目をつぶってくださいませ)

(2) 本当に改善したのかテストしよう

さて、少し説明が遅れてしまいましたが、この企画では店前の通行量をインプレッション、来店者数をコンバージョンととらえております。

そこで次に行うのは、この30人の差がただのマグレではないことの証明を目的とした、CVRの差の検定になります。

ABテストの例

具体的には店の前を通る人々が店に入るかどうか、という一連の事象を二項分布を通してとらえ、それが正規分布に近づくので@○☆△Θ……という基準で改善の確証度を計測いたします。
ちなみにサンプル数につきましては個人的に交通量調査を行い、食事時における店周りの通行者数を1日あたり7740人と推定いたしました。

さてさて細かい統計学的な話は置いておくとして、結果はこのようになりました。

ABテストの例

ひげのようなものは、正規近似する二項分布から導かれる標準偏差2シグマの範囲になります。
正規分布によれば、大体95.44%の確率でこの範囲にCVRが収まると言えそうです。
うーん……まぁオーケイでしょうか?

ちょっと誤差範囲がかぶってしまっているような気もしますが、どうやら見た感じ、CVRは有意に増加したと言えそうです!

(3) まとめ

最後に、今回の企画について簡潔にまとめさせていただきます。
まことに勝手ですが、来訪者全員が家系ラーメンを注文したと仮定して概算いたします。

500円×30杯×4日=60,000円
これが設置したクリエイティブの効果となります。

次に、かかった費用は以下の通りです。
・クリエイティブ諸経費 4,000円
・コルクボード 700円
・後述の提灯 9,500円

計14,200円となりました。

したがいまして、本企画の投資対効果は、 ROI = 60,000/14,200 ×100 ≒ 423%となりました!

(4) おまけ:提灯制作に関するご報告

余談ではありますが、前回の記事で少しふれた提灯についてのご報告です。
上記の費用にあるとおり、今回は予算の7割弱をこの提灯に投入しております。

ABテストの例

しかしここで、とんでもないミスをやらかしてしまいました。
こちらをご覧ください。

ABテストの例

「屋」の字になってしまいました……。つまり、麺『家』かまくらでなければならないところを誤発注してしまったという実情がございます。

ラーメン屋の命ともいえる看板に対して無礼きわまるエピソードなのですが、それでも何とかお願いさせていただきました。
その結果、寛容なお返事をいただき一応吊るしていただけることになりました、ということをここに報告しておこうと思います。

さて、以上をもちまして今回のリアルラーメンLPOチャレンジの幕引きとさせていただきます。
この企画、実はLPOでも何でもなくてただの外装工事ではないか、といウワサがささやかれていたようですが、何とか押し切ることができてほっとしております。

ちなみに今回の経験により、企画・飛び込み営業・制作・効果測定のすべてを期せずして体験することができました。 まだインターンの身ではありますが、一人前のwebマーケターとなるべく今後も精進していく所存です。

それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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