「want what you can’t have(人は手に入らないものを欲する)」とは文化的なレトリックですが、それと同時に、何十年間の心理学的調査を土台とした原則でもあります。「希少性」というその原則は、正しく使用されるならば、マーケティング、説得、そして、コンバージョン最適化において、信じられないほど強力です。 しかし、希少性は正しく使用されなければ、まったく意味を持ちません。(むしろ、心理的な反抗を生み、売上に悪影響を与えてしまうかもしれません。)
希少性についての最も有名な研究の一つとして、1975年にステファン・ウォーケルによって行われた調査が挙げられます。彼と彼の同僚は被験者に対し、ビンに入ったクッキーを提供しました。片方のビンには10個のクッキーが、もう片方のビンには2個のクッキーが入っています。 それらのクッキーは同じであったにもかかわらず、被験者は2個のクッキーが入ったビンのクッキーをより好みました。
以後、マーケティングにおいて希少性の効果を支持する研究が多く行われました。例えば、2015年の調査論文では、以下のように書かれています。なぜ、このようなことが起こるのでしょう。それは、欠落への恐怖(FOMO :the fear of missing out )が大きな要因となっています。 FOMOは、「自分がいない間に、他人が有益な体験をしているかもしれないという不安、またその不安に襲われること」と定義されます。また、「他者が行っている何かに常につながっていたいとする欲望」という特徴があります。 下記の例でもわかるとおり、希少性とは、他者がその商品やサービスを欲していること、また、あなたはそれを手に入れるためにすぐに行動を起こすこと、という前提によって成り立っています。 しかし、FOMOの機能は常に単純なわけではありません。どうやら、我々は非対称的なコントロールも恐れているようです。それは、あなたが手に入らないものを欲する理由となっています。 例えば、このような調査があります。女性が潜在的に理想とする男性の写真を見せられます。片方のグループの女性には、この男性が未婚であると伝えます。もう片方のグループの女性には、交際している女性がいると伝えます。 調査結果はこうでした。独身の男性に興味があると答えた女性は59%でした。しかし、他の誰かにすでに取られている(交際している)と伝えられた場合、興味があると答えた女性は90%となりました。 希少であったり、達成することが困難であったりするものを、我々はより欲しいと思うのです。 かのアリストテレスでさえ、珍しいものに対する喜びを以下のように綴っています。何かが希少であれば、それは魅力となります。それが高価な宝石であれ、Action Comics(スーパーマンの原型)の初版本であれ。また、商品を珍しいものと見せることで、それをより魅力的にできることを、心理学者は昔から知っています。
Changingminds.orgも次のように述べています。それが人であれ物であれ、長い間隔でしかやってこないものは喜ばしく、今までのものからの変化であり、さらに、長い間隔でしかやってこないものには希少性という価値があるのだ。
それが本当に最後の1つであること、もしくは、この特別な取引はすぐに無くなってしまうという情報を得た場合、我々はそういった商品を購入しやすくなるという傾向があります。ポイントは、それを失ってしまうと本当に信じている場合、我々はそれを手にするためにより早く行動を起こす、ということです。不足していないものは、それほど求められたり価値があったりしません。めったに褒めることのない教師からの称賛は、頻繁に褒めてくれる教師からの称賛よりも価値があるのです。 希少性とは、一直線のプロセスではありません。何かがより不足したり、もしくは、不足が解消されたとしても、それに対する欲望が比例的に変化することはありません。 あらゆるものが希少であった場合、希少であること自体が価値を失い、人々はその状態に慣れてしまいます。小売店の調査によれば、商品の30%以上に「セール」のシールが貼られると、その効果は減少するとされています。
希少性は常に作用するわけではありません。問題を直ちに解決する特効薬ではないのです。 例えば、研究者は4つの調査で、希少性は下記の条件を満たすとより強力でポジティブな影響を与えることを示しました。 • 説得知識( persuasion knowledge )の顕著性が低い • 希少性の主張に接する頻度が低い • 意思決定の可逆性が高い • 認知的負荷が高い 基本的に、説得の戦略の知識が高く、希少性の主張に接する頻度が多い場合、その商品の希少価値は低くなります。 こちらの調査によれば、「消費者が希少性の主張を営業的な戦略と解釈した場合、その商品の希少性の効果は薄まってしまう」とのことです。 まとめると、希少性の主張が下手で顧客が賢い場合、希少性の戦略は助けになるどころか、悪影響を与えてしまいます。
売上を増やすために活用できる希少性には2種類あります。 1. 量による希少性(例:「この価格の席はあと2つしか残っていません」) 2. 時間による希少性(例:「購入できる最終日です」) 下記に挙げるのは、インターネット上で発見した、希少性を利用した18の優れた事例です。あなた自身で実行するためのインスピレーションを得られるはずです。また、楽しみとして(もしくは警告として)、希少性についての恐ろしい例も挙げてみます。
もちろん、商品には価値がある必要があります。全てがあるべき場所にある必要があります。希少性は、説得をするための唯一の手段と考えるべきではありません。明瞭、心の動揺、不安といったものを気にかける必要があるのです。 ジェミー・スミスはこう述べています。
Peep Laja: 我々はチャルディーニ著の「影響力の武器」を読んでいる(まだ読んでいないのであれば、すぐに読んで欲しい!)。我々はみな希少性の原則(この価格の残席数はあと4つです)の被害者となったことがある。また、我々の多くがそれをキャンペーンに使用し、成功を収めている。 希少性は非常に効果的だ。希少性の理由があからさまに作られたものでない限りは!デジタル商品への月間のアクセスが「売り切れ」であり、年間のアクセスは購入可能?ちょっとまってくれ! こんなことをしてしまったら、あなたの信頼はどうなる?人々はあなたを信用しなくなるだろう。これは重要なことだ。
Jeremy Smith: 第一に、あなたが販売するものは、見込み客にとって価値がある、もしくは、重要でなければなりません。価値は、提供する商品やサービスがもともと備えている特徴によって伝えられることもあります。これは、あなたの商品やサービスの 「ユニーク・セリング・ポジション」に内包されます。「ユニーク・セリング・ポジション」は、あらゆるマーケティングの場面で利用される、宣言やセールスポイントです。しかし、本質的な価値もまた、課題となります。本質的な価値は製品やサービスに課されるものであり、マーケティングの全てとも言えるのです。
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