ECサイト向けの最適化サービスを提供するGrowcode社は、彼らのクライアントであるWarsaw Sneaker Storeのために調査を行いました。
現在進行中のテストの一貫として、調査チームはデータドリブンなアプローチを採用し、このサイトの最適化に貢献できると思われる、テストすべき対象をいくつか発見しました。
以前のテストでは、テキストの色の変更(商品の在庫状況を目立たせる変更)によるコンバージョンへの影響を調査しましたが、今回の調査では、チェックアウトのためのコール・トゥ・アクション(CTA : Call To Action)ボタンのテキストの変更が与える影響を調査対象としました。
もともとのテキストは、契約的な言葉である「注文する(Order)」が使われていました。これを、契約的な意味合いが少ない「チェックアウトする(Go to checkout)」にすれば、ユーザーの躊躇を減らし、コンバージョンを改善させるのではと考えたのです。
調査チームは、CTAのテキストを「注文する」からより柔らかい表現の「チェックアウトする」に変更することが、ユーザーの躊躇と懸念を減らしコンバージョンへの抵抗を少なくすると考えました。そうすれば、ユーザーはより多く注文し、チェックアウトのコンバージョン率が上昇すると推測したのです。
しかし調査チームは、契約的な意味合いを薄くすることでユーザーのモチベーションが下がり、コンバージョン率が低下することも危惧していました。
ボタンの変更による影響を判断するため、トラフィックは50対50に分けられました。
訪問者の半分は「注文する」と表示されたCTAボタン(バージョンA)を目にします。下記が実際のページです。
勝者は、「注文する」と表示されたCTAボタンの『バージョンA』でした。驚くべきことに、仮説に反し、より契約的な意味合いを持つ「注文する」という表示のほうが機能したのです。
実際、「注文する」から「チェックアウトする」とCTAボタンの表記を変更したことで、コンバージョン率はなんと14%も減少したのです!
調査チームが事前にテストを行ったことで、大きな減収を防ぐことができたと言えます。
直感に頼るのはよくありません。テストをすることが重要です。小さな変更でもコンバージョンにおいて大きな違いを生むことがあります。(特にCTAボタンでは)
コピー文は、ユーザーによる「コンバージョンへの抵抗」の認知に強く影響します。ユーザーのコンバージョンの意図と抵抗のレベルに合致したものでなければ、適切なコピー文とは言えません。
コンバージョンへの抵抗は、「ユーザーがトランザクションとコンバージョンを行うために克服しなければならない困難のレベル、もしくは障壁の数」と定義することができます。抵抗は大きくもなれば、小さくもなります。
「抵抗が大きい」言葉やCTAは、ユーザーに強いコミットメントを要求します。「注文する」、「今すぐ買う(Buy Now)」、「購入(Purchase)」といった命令口調のフレーズがあてはまります。
反対に、「抵抗が小さい」CTAは穏やかにユーザーを説得し、強いコミットメントを要求しません。抵抗が小さいフレーズは、愛想のよい動詞から始まり、そのアクションが容易で利益があるように思わせます。「無料の情報を得る(Get Free Info)」や「さらに見る(Find Out More)」などが該当します。
コンバージョンを上げるためには、抵抗のレベルを訪問者のコンバージョンの意図のレベルと適切に合致させなければなりません。コンバージョンの意図は、特定のトランザクションに対し、ユーザーがどの程度それを行いたいか、という指標と考えることができます。例えば、買い物客がそのWebサイトでどの程度靴を購入したいと思うか、といった具合です。
コンバージョンの意図が強いユーザーは、サイトを回遊する間に出くわす困難さや障壁を克服しようとします。彼らはその商品(例えば、新しいスタイリッシュなスニーカー)を手に入れようとするモチベーションが高いのです。
反対に、コンバージョンの意図が弱いユーザーは、彼らが出くわす困難を積極的に克服しようとはしません。サイトが高いレベルで最適化されていない限り、コンバージョンすることはないのです。
コンバージョンの意図は、それ自体で、探求する価値のある概念です。
しかし、訪問客がコンバージョン・ファネルのどの位置にいるのか、ということを組み合わせて調査すると、より強力な考えになります。コンバージョン・ファネルとは、ユーザーがWebサイトを回遊し、商品やサービスを購入するまでに辿る道のりを描写する比喩表現です。
コンバージョンの意図の全体像からすると、抵抗の小さいCTAは、例えばトップページのように、ファネルに入ってすぐのユーザーに効果的です。理由として、その段階では、訪問客はすぐにその製品に親近感を持ち利益を見出すことはないからです。穏やかな説得をもって、プロモーションすることが求められます。
契約的な意味合いが強すぎると、押し付けがましくなります。例えるならば、初めてのデートで求婚されるようなものでしょう。アナと雪の女王のアナでない限り、「Yes」と答える気持ちになるほどの準備はできていないはずです。プロポーズは、もっとじっくり行うべきでしょう。
反対に、訪問客がファネルの奥へと進むにつれ、意図は強くなっていきます。出くわした障壁を乗り越え、商品やサービスについての知識も得ています。あなたが提供する商品やサービスを獲得することに積極的です。彼らはトランザクションを行う準備ができているのです。
結果として、抵抗が大きいCTAは、カートページのように、コンバージョン・ファネルの後半で提示したほうが良いでしょう。なぜなら、訪問者はコンバージョンの強い意図をすでに示しているからです。彼らは、最終的なアクションを起こすための強い後押しを求めているのです。
それは、冷たく、深いプールに飛び込むようなものです。彼らは躊躇しているかもしれません。しかし、訴求力の強い「注文する」というメッセージは、彼らが崖から飛び降りる後押しとなりえるのです。
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