Shopifyのエージェンシーの中でも世界最大、且つ最速で成長しているBrand Value Accelerator社は、オンライン衣料品販売会社のIvory Ella社に対して、ショッピングセレクターのテストを行いました。
このテストの目的は、「すぐに購入する」の機能をユーザーが見た際、直ちに理解できるものなのか、それとも、より多くの情報が必要であるのかを判断することです。
テストチームとしての考えは、この機能を説明するオーバーレイのボックスを設置した方が、ユーザーがすぐに機能を理解でき、その結果購入数が増加する、というものでした。
しかし、具体的な説明を必要とせずに「すぐに購入する」をクリックする準備ができているユーザーを妨げてしまう可能性があることも理解していました。また、今回のテストがモバイルユーザーを対象としているため、スクリーン内の貴重な領域を占めてしまうというリスクも意識していました。
そのため、チームはどちらのフォーマットが最適であるかをテストすることにしたのです。
「すぐに購入する」機能の説明を表示するボックスは、売り上げの増加に貢献するのか、それとも妨げるものになってしまうのかを明確にテストするため、A/Bテストが設計されました。
テスト期間は2週間です。この期間、ユーザーは説明文のボックスが表示されるバージョンと表示されないバージョンに振り分けられます。トラフィックは50対50に分けられました。
訪問者の半分は、説明文のボックスが表示されるバージョン【A】を閲覧します。このボックスは、訪問者がページにアクセスした際、情報モーダルとして表示されました。また、このボックスは、「すぐに購入する」の機能を簡単に説明するものであり、「理解しました(GOT IT)」のボタンを押すことで、「すぐに購入する」をクリックすることができるようになります。説明のボックスが表示されるバージョンは下記となります。
買い物客の残りの半分は、説明ボックスが表示されないバージョン【B】を閲覧します。これらの訪問客には、画像サムネイルの上にテキストと小さなバスケットのアイコンが配置されている、「すぐに購入する」の機能が表示されます。情報モーダル(説明ボックス)が表示されないバージョンは下記となります。
訪問者あたりの収益は、どちらのバージョンでも計測されます。
勝者はバージョン【A】でした。説明ボックスのあるバージョンが大きく勝利したのです。
説明ボックスのないバージョンと比較し、訪問者あたりの収益(RPV:Revenue Per Visitor)は0.69%増加しました。この増加幅は僅かなものに思えるかもしれませんが、会社の収益を向上させる要因となりました。このテスト結果の信頼性は90%です。
このテストにおけるサンプルサイズは明らかになっていないため、統計的に有意であったかどうかを判断することは難しいです。それゆえ、説明ボックスを表示させることがコンバージョンの増加に寄与したとする考えの、補足的な証拠として見るべきでしょう。
モバイルの小さなデバイスの領域の多くを占めてしまうにもかかわらず、説明ボックスが表示されるバージョンが勝利した理由はなんでしょうか?いくつかの理由が考えられます。
説明ボックスを追加することで、曖昧さを排除することに成功しました。買い物客は、「すぐに購入する」の機能の意味を考える必要がなく、このボタンを押すことで何が起きるかを推測する必要もありません。説明ボックス内のテキストは、明確で簡潔にこの機能を説明しています。「このアイコンをタップすれば、すぐにこの商品を買い物カゴに追加することができます」というメッセージが、買い物客に伝わります。また、そのアイコンも表示されているのです。
このプロセスは完璧でした。
「理解しました」のボタンをクリックしなければ、このモーダルを閉じることができないため、ほとんどのユーザーはこの説明文を読み(少なくとも、サッと目を通し)ました。
こうすることで、ユーザーは次のステップをよく理解することができ、安心して商品を購入することができます。こうした感覚はファネル全体に反映され、その結果、購入数の増加につながりました。
このケーススタディの結果は、少なくとも、洋服の購入のような感情的で低コストの商品の購入の際、「すぐに購入する」の機能がコンバージョンの増加に寄与するという考えを裏付けています。
「すぐに購入する」の機能におけるリスクは、ユーザーがコンバージョンファネル内で期待するステップを省略してしまうことにあります。多くのユーザーは、商品の概要ページから詳細ページに遷移し、いくつかの画像や商品の説明を見た後、サイズや色を選択し、最終的に買い物カゴに入れる、ということを条件としており、したがって、それらを期待しています。
「すぐに購入する」の機能は、商品の詳細ページを省略しているためコンバージョンファネル内のステップの数を減らしますが、商品の購入を決定する際に十全な情報を必要としないユーザーにとっては、歓迎すべき機能であるように思われます。
今回のテストは、「すぐに購入する」の機能が、コンバージョンにとって有益であるという考えを裏付けるものです。
また、「すぐに購入する」の機能を単純に追加するだけでは不十分である、ということも、今回のテストで得られた知見です。オンラインでの買い物における時間と労力を削減するため、「すぐに購入する」の機能を簡潔に説明したボックスと組み合わせることで、その効果が最も得られる可能性があります。
この知見は、ユーザーにとってのプロセスを明確にしつつ、ファネル内のステップを省略することで、買い物のプロセスを最適化したいと考えているECサイトにとっては、特に価値のあるものです。
もちろん、顧客や商品によって、事情は変わります。そのため、常にテストすることが求められるのです。
「すぐに購入する」の機能は、商品詳細ページを削除することで、買い物におけるプロセスを省略し、コンバージョンファネル内のステップを減らします。
しかし、この機能を最大限活かすためには、この機能を簡潔に説明するモーダルを追加することが、最適である可能性があります。
こうすることで、買い物客の信頼感が高まり、ファネル内全体で、安心して買い物ができるようになります。
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