顧客が何を求めているのか、いつ求めているのか、どのように提供されることを望んでいるのか。それらを知ることは、成功するテストの仮説を立てるために、最も重要なことです。
メッセージは下記です。定量的なデータの背後にある、「なぜ」が、あなたのコピー文を形作り、訪問客が顧客になるためのスムーズな道筋を提供するのです。
(バイヤーインテリジェンスを通した)見込み顧客と(カスタマーリサーチを経た)顧客のモチベーションを理解することができれば、彼らの感情を、彼らが使う言葉で、表現することができます。こうすることで、顧客はあなたから購入することを自信を持って決断できるのです。
では、その重要な「なぜ」を理解するためには、どうすればよいでしょうか?そして、「なぜ」を最も活かす方法はどのようなものでしょうか?「お客様の声」を調査する理由が、ここにあります。
この記事では、その調査方法を順を追って説明していきます。また、見込み顧客や顧客からの重要なメッセージを把握し、コンバージョンを高めるためにそれらを活かす方法も解説します。
お客様の声(VOC:Voice-of-Customer)の調査とは、定性的な調査と定量的な調査を通じて、顧客のウォンツやニーズを発見するための調査です。当初は、日本の商品開発において、顧客のニーズをパフォーマンスの評価と結びつけるために使われていました。現在では、市場調査の主流に組み込まれています。
Griffin氏とHauser氏による画期的な論文では、「お客様の声」における4つの側面が定義されています。
1.顧客自身の言葉で表現された顧客ニーズ
2.顧客ニーズの階層的なグループ分け
3.ニーズの優先順位
4.ニーズとオーディエンスにより認知されたベネフィットのセグメント
(各側面の詳細については、John Hauser氏のNote on the Voice of the Customerを参照してください)
この記事では、製品やサービスについての顧客(または、見込み顧客)からのフィードバックを活用し、より説得力のあるコピー文を作成する目的で、「お客様の声」の調査について議論していきます。
ターゲットオーディエンスのウォンツ、ニーズ、悩み、ためらいを把握することは、下記の重要なメッセージを特定することに役立ちます。
・それぞれの目的に、より速く、より簡単に顧客が到達できるようにする(例:カスタマージャーニーの改善)
・コンバージョンを増加させる
・リード、売上、収益をより多く発生させる
「お客様の声」を集める手段は複数あります。インタビューやアンケート、フォーラムやサイト上でのレビューなど、見込み客と顧客の心に響くメッセージや言い回しを用い、重要性に応じて順番を特定します。
顧客のインサイトを得るための最も信頼できる方法の1つとして、アンケートが挙げられます(この記事でも取り上げます)。Webサイトで表示するポップアップで集めるアンケートにせよ、購読者のリストにEメールを送付して集めるアンケートにせよ、あなたのWebサイトのコピー文を最適化するために必要な答えを得ることができる質問をすることが重要です。
テストをするに値するコピー文を作成するには、3つの基本的なステップがあります。
1.正しい質問を尋ねる
2.答えを導き出す
3.現在のコピー文とのギャップを分析する
簡単に聞こえるでしょうか?答えはYesでもあり、Noでもあります。ロケットを作成するほど複雑ではありませんが、このプロセスには時間がかかり、思考も必要で、整理しながら進めることが求められます。最初のステップは、調査をまとめることです。
Avinash Kaushik氏は、「顧客が抱える問題を理解するための最速の方法は、彼ら自身に尋ねることである」、と述べています。重要なことは、いつ、どこで尋ねることがベストであるかを知ることです。
見込み顧客や顧客に尋ねる質問は、無数に存在します。しかし、選択肢を絞るための最善の方法は、自身の最終的な目的を理解することです。どのページのコピー文を最適化したいのでしょう?これを効果的に行うために学ぶ必要があるものは何でしょう?
例えば、分析の結果、チェックアウトページでの離脱率が高いことがわかった場合、購入に至った訪問者へ、サイトを去る前に質問を1つ投げかける、といったことが考えられます。
あるいは、トップページ全体の改修やセールスファネルの再構築が必要になるかもしれません。その場合、見込み顧客や直近の顧客にEメールでアンケートを送付することで、自社製品のベネフィットや顧客の悩みを理解する、最適な機会となり得ます。
ターゲットにしている購入者が考えていることや求めているものを理解するためには、バイヤーインテリジェンスを活用しましょう。
「お客様の声」における4つの優れた質問
①我々が提供するような商品やサービスが必要と感じたのはいつですか?
この質問は、顧客が生活する中で、どのようなイベントが、あなたの提供物を求めるきっかけとなったのかを理解することに役立ちます。
②我々の製品/サービスは、あなたが抱えるどのような問題を軽減/解決するでしょうか?
顧客が抱える問題や課題を探りましょう。あなたが気がついていない問題を解決できることに気がつくかもしれません。
③我々の商品を購入する(我々と共に働くと決める)際、他の製品(他社サービス)を検討しましたか?
顧客がどのような会社をあなたの競争相手と認識しているかを理解することは、非常に重要です。これは、あなたからその商品を買うべき理由を説明する際に役立ちます。
④我々の商品を購入する(我々と共に働くと決める)前に、どのようなことを懸念し、どのようなためらいがありましたか?
コピー文に潜むフリクションに対応することは、非常に重要です。顧客が持つ懸念をどのように解決するかを、しっかりと示すようにするのです。
質問を尋ね、回答を得ることができました。次に、あなたのコピー文に最適なインサイトを与える、フレーズや文章を回答から抜き出しましょう。
アンケートの回答を1つ1つ見ていきます。途中で飛ばしてはいけません。コピー文に活かすことができる、優れた言い回しにいつ出会うことができるかわからないためです。
例えば、以下のようなものを探しましょう。
・回答者のニーズやウォンツを引き出すフレーズ
・回答者が抱える最大の悩みに言及するフレーズ
・購入における懸念やためらいを示すフレーズ
私が作成した、メッセージをマイニングする際のテンプレートを参照してください。もしくは、Googleドキュメントを開き、各カテゴリーにあてはまる回答をコピーし、貼り付けてください。特筆すべきものは、その横にアスタリスクを記載しておきましょう。
コピー文に優れた言い回しを落とし込むことの影響
CopyHackersのJoanna Wiebe氏は、コンバージョンを発生させるコピー文の作成方法を訓練してくれました。リハビリセンターの見出しにメッセージマイニングを活用した彼女の功績は、非常に有名です。彼女は、依存症についての書籍から、直接コピー文を抜き出したのです。
アンケートの回答から抜き出したものではありませんが、前提は同じです。理想のターゲットオーディエンスが聞く必要があるもの、また、それについての彼らの考えを引き出すきっかけとなる言葉を探し出すのです。
Joanna氏は、「あなたの依存はここで終わる」という従来の見出しと、「リハビリが必要と思うのであれば、あなたはリハビリをすべきだ」という新しい見出しの、2つの見出しをテストしました。その結果、新しい見出しでは、コール・トゥ・アクションのクリック数が400%以上増加し、次のページでのフォームの送信数が20%以上増加したのです。
アンケートから得た全ての「お客様の声」のデータを分析しましょう。各項目に目を通し、頻出する項目をメモします。おそらく、何らかのパターンが見られるでしょう。
例えば、「ためらい/不安」という項目で、「自社のビジネスにポジティブな影響を与えるかどうかがわからなかったため購入を見送った」、という意見が何回も出てくるとします。
こうした懸念は、最近の消費者の心理に大きく影響しているため、購入に至らなかった訪問者にとっての共通の懸念であると言えるでしょう。あなたのWebサイトでは、こうした懸念への対応をしっかりとするべきです(この後に紹介するケーススタディに、その例が出てきます)。
各項目の集計を続けましょう。そして、各項目から上位の3つ〜4つを特定し、新しいドキュメントか、私が作成したこのGoogleドキュメントにコピーしましょう。
既存のコピー文とのギャップを探るために、ページで書かれていることと、訪問者が発言していることを比較しましょう。
修正を予定しているページにて、小規模なコピー文の監査を行います。下記の質問に回答する、重要なメッセージを取り出しましょう。
・あなたの製品やサービスは、顧客のどのような課題を解決するか?
・あなたの製品やサービスの利点はなにか?
・あなたのコピー文は、フリクションの理由となりそうなものを軽減しているか?あなたの製品やサービスによって、あなたが述べていることが実現するだろうと、訪問者が信じるに値する理由を提供しているか(例:テスティモニアル、データ、ソーシャルプルーフ)?
自身のコピー文と、アンケートから得た結果を比較しましょう。多くの見込み顧客や顧客が、あなたのアプリなしでは生活できない理由が、優れたインターフェースと簡単な統合性にあると述べているのに、Webサイトでは価格を強く訴求している場合、コミュニケーションのギャップが発生していると言えます。
こうしたギャップは、コンバージョンの大きな損失につながる可能性があります。
私と同僚であるDustin Drees氏が、「お客様の声」の調査を活用し、Learn Visual Studio (LVS) のWebサイトをどのように最適化したのかを見ていきましょう。
Dustin氏は、私をこのプロジェクトに参加させる前に、2つの調査を行っています。
1.Qualarooを使用してオンサイトの調査を行い、訪問者の自身への認識(初級者、中級者、経験のあるプログラマー)と入会の際の最終的な目標を特定しました。
2.入会を決めた理由、入会前にあった迷い、入会前に回答を得られなかった質問、適切なソリューションを見つけるために最も苦労した点、を尋ねるアンケートを最近の顧客にEメールで送付しました。
Qualarooのアンケートでは200の回答を得ることができました。回答の分類は下記のとおりです。
初級者:59.0%
経験者:15.5%
また、2つ目の質問に回答した69.7%(回答数は119)が、「自身にとって初めての開発の仕事を見つけることに最も興味がある」と回答しています。
Dustin氏はこうした情報を元に、Webサイトで訴求しているバリュー・プロポジションと、LVSがターゲットにしているオーディエンスとの間にギャップがあるかどうかを把握するため、簡単なコピー文のテストを行いました。目標は、Webサイトのエンゲージメントを高め、より多くの適切な人をWebサイトに導くことでした。
コントロールグループに表示されるメッセージは下記です。
この場合、大見出しも小見出しも初級者に直接語りかけるものではなく、彼らが達成したい目標にも一致していません。では、バリエーションのメッセージを見てみましょう。
レッスンは誰のために設計されているのか、受講した結果はどのようなものか、ということをシンプルに伝えるだけで、コースの受講数が9.2%増加しました。プランのページと価格のページの閲覧数は24%増加し、カリキュラムのページの閲覧数は23.9%増加しました(3週間のテストを行い、統計的な優位性も達成)。
アンケートの結果を更に深く掘り下げた場合
私は2つ目の調査の結果に目を通し、コピー文にギャップがある箇所を特定するようにしました。
結論を出す前に、上記で説明した3つのステップを、私も行いました。各カテゴリーに関連する回答を貼り付け、ランク付けをし、ニーズ、ウォンツ、フリクションの優先順位を付けました。
LVSにおける自由形式の回答を重要な順に並べた結果、下記のようになりました。
そして、我々は2つのことを発見しました。
1.訪問者はコースが提供する価値について理解することに苦労している
2.訪問者にとっての最大の懸念に対応できていないため、フリクションが発生している
データを分析した結果、オファーページに到達する前に、決断に必要な情報を十分に与えることで、サインアップ数が増加するという仮説を立てました。
そのため、我々は下記のコピー文を作成しました。
1.バリュー・プロポジションの強化
「C#」と「.NET」を含めるよう、大見出しを調整することで、我々はコースの独自性を強調しました。小見出しには、顧客が何度も口にする言葉(「実践的な演習」や「段階的なロードマップ」など)を含めるようにしました。
2.メリットを強調しながらも、不安への対応も行う
我々は、ビロー・ザ・フォールドに表示されるコピー文において、2つの方法でこれを実現しました。まず、我々が提供するコースと他社が提供するコースとの差別化を図るため、顧客が持つ不安感を利用しました。
そして、調査結果によって判明した、上位3つのメリットを再度掲載しました。さらに、顧客がよく使う言葉を使用したコピー文も作成しました。
3.ファネル内のよりロジカルな箇所に訪問者を導くため、CTAを変更する
訪問者をプランと価格のページに直接導くのではなく、カリキュラムのページに遷移させ、コースの内容をより深く理解してもらうようにしました。
訪問者にとっての一番のフリクションは、LVSに入会することが彼らのニーズに合致しているかどうか不安な点にありました。
4.動画で全てをカバーする
LVSの一番のセールスポイントは、創業者であり全ての動画コースの教師でもある、Bob Tabor氏でした。Bob氏のスタイルや個性に魅力を感じる顧客が多いことが、調査によってわかっていました。そのため、我々の狙いは、トップページに訪問した際、すぐにBob氏が目に入るようにすることでした。
動画は非常に説得力があるため、Bob氏に「コースの受講者が得られるもの」について語ってもらい、同時に、調査によって判明した最大の懸念についても触れてもらいました。
アバブ・ザ・フォールドのCTAでは、バリエーションがオリジナルよりも66.3%高いパフォーマンスを発揮しました。そして、プランと価格のページよりも、カリキュラムのページを閲覧する人数が格段に増えました。
実際、CTAからのトラフィックを含めなくとも、カリキュラムのページへの訪問者数が増加しました。訪問者はメインのCTAをクリックしなくても、カリキュラムのページへの訪問を選択したのです。
当然のことながら、バリエーションにおけるプランと価格のページの訪問者数は14.6%減少しました。しかし、興味深いことが起こりました。
プランと価格のページへの訪問者数は減少したものの、統計的に有意な数ではありませんが、年間メンバーシップのプランに加入した人数が増えたのです(ライフタイムプランは横ばいでした)。
これは、何を意味するのでしょうか?
我々の「お客様の声」をもとにした調査により、訪問者はより多くの情報を入会する前に求めていることがわかりました。
よりモチベーションの高い訪問者とのエンゲージメントを高め、彼らを正しい道筋に導くことで、(他のセールスファネルを最適化せずとも)よりポジティブな結果を得ることができたのです。
「お客様の声」の調査をきちんと行い、データを組み合わせることで、購入者が購入を決断するために必要なものを仮説立て、テストを行いました。そして、ジャーニーの残りの部分を最適化するための、より良いアイデアを得ることができました。
顧客とのコミュニケーションをとり、「お客様の声」を集める。もちろん、それには労力が必要ですが、その見返りは大きいはずです。
顧客が何を求めているのか、いつ求めているのか、どのような形で求めているのか。それらを把握することができれば、コピー文も自ずと作成できることに、あなたは気がつくことでしょう。
タグー一覧
ABテスト | B2B | CRO | CTA | ECサイト | EFO | LPO | SaaS | UX | アクションボタン | アパレル | アプリ | カスタマージャーニー | カンファレンス | コピー | スポーツ | スマートフォン | ソーシャルプルーフ | チームビルディング | チャット | テキスト | テストアイデア | ナビゲーションメニュー | パーソナライズ | ヒートマップ | ビジュアル | ビジュアル・画像 | フーズ | フォーム | フォントサイズ | フットウェア | プランニング | ヘルスケア | ポップアップ | メッセージ | メディア・ニュース | メルマガ | ランディングページ | リードジェネレーションサイト | リサーチ | 予測 | 事例 | 価格 | 入力フォーム | 商品ページ | 商品一覧ページ | 多変量テスト | 小売り | 教育・学習 | 旅行・観光 | 書体 | 消費者行動 | 統計学 | 美容・健康 | 自動車 | 見出し | 転職サイト | 送料 | 通信・IT | 金融・保険 | 電力 | 顧客の声 | 高級志向