商品をより多く売るために、製品の価格を表示させるべきでしょうか?
それとも、ユーザーの関心を引いておいて、ユーザーがWebサイトの奥までクリックしてから、表示させるべきでしょうか?
これは、英国を拠点とするデジタルマーケティングのエージェンシーであるRedEyeが、彼らのクライアントで英国を拠点とし、教育用品と文具のサプライヤーであるTTSグループが抱える課題の解決として行った、価格についての強力な調査です。
文具の売り上げを増加させるため、価格を表示したEメールクリエイティブと、価格を表示しないEメールクリエイティブと、どちらのほうがコンバージョンが高いかを検討しました。
テストチームは、価格を表示するほうが、売り上げに貢献すると考えました。
文具は頻繁に補充されるものであり、また、ユーザーが定期的に購入するものであるため、コストを事前に把握したいと思うユーザーが多いと考えたのです。
しかし、テストチームは価格を前もって表示させることで、潜在顧客の購入意思をそいでしまう可能性も考えていました。その結果、こうしたユーザーはすぐにメールを閉じてしまい、Webサイトに訪問して買い物を開始することすら行わないかもしれません。
そのため、どちらの方法が最適であるかをテストすることにしたのです。
どちらの価格の表示方法が優れているかを判断するため、テストチームは2つの似たEメールキャンペーンを作成し、互いに競わせることにしました。
この2つのクリエイティブは、TTSの文具の既存顧客へ送信されました。
トラフィックは50対50に分割されています。
メール購読者の半分は、オリジナルのクリエイティブを受け取ります。このクリエイティブには、商品の価格は表示されていません。商品の画像と、簡単な説明が記されているのみです。実際のクリエイティブは、下記となります。
一方、改定版のクリエイティブには、製品の価格が表示されています。また、「今すぐ購入」という小さな緑色のリンクも追加されており、これをクリックするだけで、ユーザーはWebサイトに訪問し、商品を購入することができます。価格が表示されている改定版のクリエイティブは、下記となります。
Eメールのニュースレターのテンプレートはレイアウトやフォーマットが異なりますが、どちらもレスポンシブ対応です。また、ヘッダーとフッターのコンテンツは、どちらのバージョンでも同一です。
このテストは、RedEyeの独自のプラットフォームであるRedEye Contourで行われました。
調査結果は、下記の2つの指標をベースとします。
1.Eメールからの直接の注文数(EメールからWebサイトへの直接のクリック) 2.Eメールの開封後、30日以内の注文数
勝者はバージョン【B】でした。商品を表示したバージョンの注文数は113%増加し、敗れたバージョンよりも2倍以上のコンバージョン率となりました。
しかし、興味深いことに、勝利したバージョンのクリック率は32%も低く、それでもなお、注文数は多い結果となりました。
この調査の信頼度は99%です。
この調査結果は非常に興味深いですが、やや疑わしい部分もあります。
まず、コンバージョン数が開示されていないことです。勝利したバージョンの注文数が113%増加し、敗れたバージョンの2倍以上のコンバージョン率であった、と報告されたのみです。しかし、それぞれのコンバージョン数は知らされていないため、結果か確実であるかを判断することは困難です。
また、テスト期間とサンプルサイズも報告されていません。そのため、この調査が妥当な期間で行われ、十分なサンプル数があったのかどうかは、不明です。
一般的なベストプラクティスとして、テスト期間は2~6週間ほど設けるべきであり、母数全体を代表するにふさわしい大きさのサンプルサイズが必要となります。
必要なサンプル数は状況によって異なり、多くの要素に左右されます。しかし、このようなサンプルサイズの計算機を使用すると、そのテストに必要なサンプルサイズを、テストを実行する前に決定することができます。
最後に、2つのクリエイティブには相違点がいくつか存在します。価格と「今すぐ購入」のリンクに加え、レイアウトや画像も異なります。
そのため、コンバージョン数の差異を生んだ理由が、価格の表示なのか、リンクなのか、レイアウトなのか、それとも複数の要因の組み合わせなのか、それを判断することは困難です。
一般的なベストプラクティスとして、A/Bテストを行う際は、要素の比較は1つのみとすべきです。そうでなければ、どの要素がコンバージョンの差異を生んだのかを判断することは難しくなります。
今回の調査から有効な結論を出すことができるとした場合、「Eメールのクリック率は下がったが、売り上げは増加した」という珍しい現象を、どのように理解すべきでしょうか?
また、価格のベストプラクティスについて、今回の調査結果が示すものとは何なのでしょうか?
敗れたバージョンのCTRが増加した
この調査結果を見る限り、敗者のバージョンにおいては、クリックをすることが、ユーザーがWebサイトにアクセスできるたった1つの方法であったため、ニュースレターからWebサイトへのCTRが増加したと考えられます。
価格を知るため、商品の詳細を見るため、興味のある商品を探すため、購入するため、ユーザーはクリックをする必要があったのです。
勝利したバージョンの売り上げが増加した
一方、勝利したバージョンでは、CTRは減少したものの、注文数は増加しました。
なぜでしょうか?おそらく、クリックのターゲットが明確であったからでしょう。
価格を表示することで、ユーザーの購買意欲を増加させることができたと考えられます。クリックしたユーザーは、より真剣に購入を検討します。単純に価格を知りたいがためにクリックしたのではありません。すでに価格を知っており、商品についてのより詳細な情報を得るため、また、商品を購入するために、クリックしたのです。
こうした高い購入意欲は、ユーザーが商品を購入することが明らかで容易となる、「今すぐ購入」のCTAによって強化されたのです。
今回の調査では、商品の価格はすぐに表示させるべきである、という結果となりましたが、この結果はあらゆる状況で当てはまるものでしょうか?
おそらく、そうではありません。
実際、価格に関する心理学の調査では、商品の価格と表示させる最適なタイミングに影響を与える要素が2つあるとされています。
・商品の価格 ・強調したい製品の品質
オンラインショッピングの利用者の脳のパターンに着目した調査によると、商品を先に表示し、価格を後に表示した場合、ユーザーは価格ではなく、商品の品質をもとに購入を決断することがわかりました。
言い換えると、ユーザーは商品のメリットを最も重要な要素として考えているのです。そして、価格よりも商品のメリットが上回ったと判断した結果、購入に至ります。
反対に、商品の価格をすぐに表示する場合、ユーザーはその商品が価格に見合っているかどうかを検討した結果、購入を決断します。
ペンやその他多くの文具のように、使い捨てではなく実用的な商品の場合、特徴を訴求するのではなく、価格で説得すべきとする調査結果も存在します。なぜなら、価格自体が説得材料となる傾向があるからです。その商品の特徴ではなく、お買い得であるという訴求をするのです。
商品を先に表示し、価格を後から表示する場合、購入の判断は商品の品質をもとに決定されます。
価格が先に表示される場合、ユーザーはコストをもとに、購入を決定します。
こうした強力な価格の原則について、その仕組みと自身の製品の販売強化に適用する方法を知りたい場合は、GuessTheTestのこちらのEブックをご参照ください。
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