【ABテスト事例】「ハッピー」な表情と「まじめ」な表情。イメージ画像に最適な表情はどちら?

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test

テストの詳細と背景

コンバージョンにおいて、表情やボディーランゲージは重要となるのでしょうか?

これは、米国ボートオーナー協会(BoatUS.com)がその答えを見つけようとした取り組みです。

年間のメンバーシッププランへのサインアップ数を増加させる方法を考えていたテストチームは、Webサイトに表示される画像に対するユーザーの認識が、年間プランの購入の決断に影響するのでは、と考えました。

仮説

サングラスをかけて腕を組んで立っている、まじめな顔の船長のボディーランゲージは、堅苦しい印象を与える可能性があります。そのため、よりフレンドリーで、よりオープンな印象を与える、「ハッピーな船長」の画像を表示させることが効果的なのでは、とテストチームは考えました。

ハッピーな表情の船長の画像を表示することで、年間のメンバーシッププランへのサインアップをユーザーに促すことができるという考えです。

しかし、画像を変更しても効果がない可能性や、意外な結果をもたらす可能性も考えていました。

そのため、船長のどのような画像が、ユーザーの心に響くのかを検証することにしたのです。

テストの設計

どちらの画像が勝利するかを判断するために、2つの類似したページを作成し、それらを比較することにしました。

トラフィックは50対50で分けられています。

ユーザーの半分が、笑顔が印象的な「ハッピー」な船長の画像を閲覧します。実際の画像は、下記の通りです。

笑顔が印象的な「ハッピー」な船長の画像(Aバージョン)


残りの半分のユーザーは、サングラスをかけた、まじめな表情の船長の画像を閲覧します。実際の画像は下記の通りです。

サングラスをかけた、まじめな表情の船長の画像(Bバージョン)


Eメールのニュースレターのテンプレートは、レイアウトやフォーマットが異なります。しかし、どちらもモバイルに対応しており、ヘッダーとフッターのコンテンツは同一です。

年会費と、水上レッカーサービスの登録数は、どちらのバージョンでも計測されます。

テスト結果

勝者はバージョン【B】でした。まじめな表情の船長の画像が勝利したのです。

仮説とは異なり、まじめな表情の船長の画像は、「ハッピー」な船長の画像と比べ、サインアップのコンバージョンが32.8%上昇しました。

また、バージョン【B】がより多くのサインアップを獲得した結果、訪問者一人当たりの売り上げ(RPV)も5倍となりました。

この調査結果の信頼度は95%です。

この結果はどの程度、信頼できる?

興味深い調査結果となりましたが、その内容には疑問が残ります。

まず、コンバージョンの数値が提供されていません。我々は、「勝利したバージョンが32.8%の上昇を得た結果、RPVが5倍になった」、ということしか知りません。しかし、どちらのバージョンも、実際のコンバージョン数がわからないため、確実な結果と判断することは困難です。

また、テスト期間やサンプルサイズも報告されていません。その結果、十分なテスト期間とサンプルサイズで測定された調査であるかどうかを判断することができません。

一般的なベストプラクティスとして、テスト期間は2~6週間とすべきであり、全体数を代表するにふさわしいサイズのサンプルを用意すべきです。

必要なサンプルサイズは様々であり、多くの要因によって決定されます。しかし、このようなツールを使用することで、テストを実行する前にサンプルサイズを判断することは可能です。

分析

今回の調査結果から、有益な結論を下すことができるとすれば、どういったものになるでしょうか?

いくつかの重要なポイントが挙げられます。

1.画像に対する認識がコンバージョンに影響する

今回の調査結果から、画像に対する認識が、ユーザーのコンバージョンや購入の決定に強く影響することが明らかとなりました。

このケースでは、まじめな表情の船長は、権威と強い信頼性を表現しました。
権威のある人物に信頼感を抱くことで、購入への決断を自信をもって下すことができたのでしょう。ユーザーは、このWebサイトと写真の人物を信頼したのです。

その結果、メンバーシップのサインアップ数が増加し、収益が上昇しました。

2.表情は重要な「タッチポイント」である

目が心の窓であるならば、表情は感情への扉です。

人間として、我々は幼いころから、自身を表情で表現することを学んでいます。 実際、生後6週間ほどで、幸せや感謝を表すしぐさとして「ソーシャルスマイル」を新生児は覚えるとのことです。

著名な精神科医で作家でもあるベッセル・ヴァン・デア・コーク氏は、「我々の感情は、我々が行うことに対し、形と方向を与える。そして、表情を通すことが、その主たるものである」、と述べています。

新生児から大人になるにつれ、我々は感情を読み取ることを覚え、視覚的な手掛かりを得るようになります。 我々の表情は、自身の意図や感情を、相手に伝えるものなのです。

表情が厳しかったり真剣であったりすると、それは権威を伝えることになります。そして、権威性は信頼と信用を高めることにつながります。

信頼はユーザーに安心感を与え、その結果、購買意欲を高めることにつながるのです。

3.表情や直感を信用しない

BoatUSのテストチームは、「ハッピー」な表情の船長はポジティブな感情を生み出し、高いコンバージョンを導くと仮定しました。

しかし、実際は、まじめな表情の船長のバージョンが勝利しました。

今回のテストは、「百聞は一見に如かず」を見事に表しています。我々の直感は、いつも正しいとは限りません。すぐに直感を信じるのではなく、まずは、テストをしましょう。

今回の調査で得られる知見と実施可能なアドバイス

画像に対する認識は、ユーザーのコンバージョンや購入決定に強く影響します。

表情やボディーランゲージには注意を払い、最適な画像を判断するためには、テストを行いましょう。

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