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この記事は、CXLのブログに掲載された「5 Critical Factors for Optimizing Luxury Ecommerce Sites」を翻訳したものです。


高級志向のECサイトを最適化するための5つの重要な要素とは?

高級志向のサービスや製品、体験を売るというのは、低価格および中間価格の商品を売るのとは違うものです。

1990年代のこと、Ford Motor Groupは、これを手痛い形で学ぶこととなりました。Fordが 成功してきたマーケティングや運用を活用すればきっと成長させられると考え、 Aston MartinやJaguar、Land Roverといったハイエンドな車のブランドを買収したのです。

そしておよそ20年の間、Fordの高級志向部門は損失を出し続け、そして2007年には売却の憂き目を見ることとなりました。

ここから学ぶべきことは、マスマーケットの製品について有効であるテクニックは、高級な商品やサービスについては有効ではないということです。

私の会社、SplitBase、は、ハイエンドおよび高級志向の市場における最適化に注目した長年の経験から、そうしたECサイト でコンバージョン率に大きく影響を与える重要な5つの要素があることを発見しました。

1. 基本を疎かにしない

画像で『感じ』を伝える。


高級ブランドが、確信的なユーザー体験に全力を尽くすことで『なんとか』ブランドや商品の 価値を伝えようとしているという構図はよく見かけますが、これは誤りです。

高級志向であるかどうかに関わらず、全てのECストアには、少なくとも従うべき基本的 なユーザビリティの原則というものがあります。ナビゲーションは分かりやすく統一感のあるものでなければなりませんし、 顧客の疑問に答えられるようにしなければなりませんし、商品は見つけやすいようでなければいけません。他にも色々とあります。

その中でも最も重要なのが、画像を用いるということです。実際に買い物をするシーンをイメージしてみると、 商品を見ているとき、どういう見た目であるかとか、できれば触れて確かめたいと思うのと同じです。

例えば服なら、ツイードのジャケットの手触りはどんな感じだろうか、ドレスシューズのソフトレザーはどんな 感じだろうか、コートのステッチはどんな見た目だろうかというようなことは、当然気になる点であると言えるでしょう。




(例えば、Farfetchは、その商品について詳細な写真を掲載しており、買い手はジャケットの手触りを確認するべくズームインすることも可能となっている)

宝石類についても、例えばダイアモンドのカットはどのようになっているか、身につけたときのサイズ感はどうなっているかなど、顧客は多くの点を気にしています。



(例えば、Tiffanyはただブレスレットの写真を載せるだけでなく、それを身につけている写真も掲載することで、身につけたときのイメージが分かりやすいように配慮している)

あるいは旅行関連、ホテルや別荘などであれば、ベッドルームにはどんなものがあるのか、リラックスできそうか、 それとも楽しい雰囲気になりそうか、あるいは滞在中に参加できるアクティビティはあるのかなどが気になるところです。



こういったことは、多くの企業が見逃しがちな点でもあります。数千ドルという価格の服をたった1枚の写真を掲載 するだけで販売しようとしているブランドが未だに存在していることには驚くばかりです。

高級な商品や体験とは、つまるところ、その利用者がどのように感じるかということです。 それは質的な要素であり、これが売れる秘密でもあるのです。こうした『感じ』を画像を通じて伝えるというのは とても重要なことであると言えます。また、商品写真のサイズも重要です。

記事の後半では、こうした類いの画像が売上をどのように増加させるかを示す研究を掘り下げてみましょう。

感情を伝えられる商品説明


画像は、買い手が購入を決断する上で情報伝達として重要な役割を担うと共に、感情面でも大きな役目を負っていると言えます。 そして同じことが、商品説明のテキストにも当てはまるのです。

ちょっと時間を取って、高級ブランドのウェブサイトを見てみましょう。その商品説明を見てみると、 技術的な詳細情報しか載っていないことに気付くはずです。これではいけません。

ここでも、画像を選んだときと同じように、商品説明のテキストを書くときには、実店舗で買い物をするとしたら、 その商品を説明するときに店員がどのように言うかということを考えてみましょう。

ファッションや宝石類であれば、店員はそれをどのように着合わせるのが良いかということ、 どのようにすれば着こなせるかということ、サイズ感についてのアドバイス、 どのような製造法で作られているかということなどについて話すでしょう。

それなのになぜ、ウェブ上の商品説明は技術的情報に終始してしまうのでしょうか。 もちろん技術的情報は重要ですが、それはあくまで、実際の商品テキストの補完の役割を担うものであるはずです。

ウェブサイト自体にも高級感が必要


素晴らしい画像と商品説明は、ハイエンドなECストアにおいては最も重要な『マスト』 であると言えます。しかし、それ以外にも重要な要素はあるのです。



DVFのウェブサイトを見てみると、『まさにDVFブランド』と感じさせる見た目になっています。 その上でもちろん、ユーザビリティが疎かにされていません。

素晴らしいデザインは信用を生み、あなたが販売しているものの価値をより良く伝えることにも繋がり得ます。 つまり、サイト全体に高級感が溢れていることが重要になるのです。

CXLは、サイトに高級感を与える上で重要な要素について調査を行いました。その結果として得られたものは、 最もパフォーマンスの良い高級ブランドのデザイン理念や、私たちの独自研究の結果と合致するものでした。

高級感を演出するには:

・素材写真を使わない
・フォントに留意する
・ポップアップやバナーなど、サイト閲覧の体験を損なうものをできるだけ排除する
・色の数を少なくする
・明るい色を少なくする
・よりホワイトスペースを多く取る
・散らかっている印象を与えない

CXLの研究では、NN Groupの研究者であるAurora Bedfordの言葉が引用され、ハイエンドな演出をしたい場合に 『見た目として整頓されている』ことの重要性を強調しています。

” Aurora Bedford:実世界において、ある店舗の価値をその店構えから判断するというのはよくあることです。 店のフロントウィンドウに多くの商品を並べている店を見ると、価格が安く、クオリティも低いように感じられるのです。 一方、大きな窓に少数の製品というような展示方法だと、エクスクルーシブで高価なブランドという印象になります。 この評価は、人間の欠乏バイアス(Scarcity bias)によるものです。多くのものが一箇所にまとめられていると 手に入りやすいように見えますが、ひとつしかないと限定的なものであるように感じられるのです。

現実世界の実店舗と同じで、商品が散らかったようなウェブページだと、そのブランドが与えられる価値にも 悪影響が及びます。コンテンツが散らかっている、整頓されていないという印象だと、細部に注意を引くことが できなくなってしまい、ハロー効果も手伝って、それがそのブランドの性格を表しているものとまとめて結論されてしまうのです。 ”

もちろん、特別な商品を首尾良く販売しているECのウェブサイトを作成するというのは、 実店舗での体験を確信的なユーザー体験やアニメーションなどで模倣することにあるわけではありません。

重要なのはコミュニケーションです。縮小版の実店舗の店構えをイメージし、商品が輝くような、 高クオリティの写真を使い、そして顧客が購入を決断する際に必要と考えるであろう情報を添えて、 要素を綺麗にまとめ上げることが重要なのです。



私たちは、高級志向の顧客のニーズを理解するために、そして高級なECストアがどうすればより 多くの顧客を得ることができるかということについて、多くのリサーチを行ってきました。その結果として以下のようなことが得られました。

1- 最低限のこととして、ウェブサイトのユーザビリティは他の全ての土台となっている。買い方が分からないサイトでものを買う人は居ない。

2- 商品についての理解も重要である。商品の詳細説明について外部のコピーライターに依頼するのも悪くはない かもしれないが、商品の詳細は非常に細かいものでなければならない。誰がそのコピーを書くにせよ、商品を深く知る者でなければいけない。

3- 企業側は、オーディエンスのことを深く理解していなければならない。これは、ターゲットとなる顧客の理解であるとか、 ブレインストーミングによってペルソナを生み出すとかということではない。知るべきは顧客の暮らしぶりであり、なぜそれを買うのか、といったことである。

4- 感情に注目するというのは、顧客の心の琴線に触れる上で重要である。適切なオーディエンスリサーチや商品に対する理解が望まれる。

5- 商品が全てであり、見込み客と商品の間には何らかの関係性が必要である。企業としての価値と、商品を購入することによる結果が一致していることが重要である。



(高級志向のコンバージョンエンジン・フレームワーク。高級志向のECストアにとって重要な基本的なことが記されている)

2. 価格設定戦術のことは無視する

高級志向の市場における消費者は、割引が行われるような市場における消費者よりも価格に対して敏感ではありません。

例えば格安航空会社を使う人は、できるだけお得にフライトを確保したいと考えているはずです。 一方で高級航空会社のファーストクラスの席を予約するという人は、価格のことは気にしない代わりに、 体験そのものを重視します。1万ドルのフライトチケットについて数百ドルの増減があったからといって、 彼ら・彼女らにとってその差は些細なものなのです。

つまり、日常的に高級な商品を購入している人たち(つまりブランドにとって最も価値のある人たち)にとって、 価格というのは購入の決定に携わるファクターではないということになります。事実、低価格になると限定感も 薄れてしまうことになり、その商品がより手に入りやすいように感じさせてしまうため、『もっと特別な』 ものを求めて顧客は離れていってしまうのです。

とは言え、高級商品について『1年に1度』の顧客を逃すことはできません。これは、 割引されていない商品を買うことはほとんどなく、より価格に対して”うるさい”傾向にありながら、 それでも高級な体験を求めているという人たちです。こうしたセグメントの人たちは、長期的に見るとブランド の売り上げに対しての貢献は小さくなるかもしれませんが、年間を通じて見るとそれなりの売上のま とまりとなって数字に表れてきます。

では、その線引きはどこにするべきなのでしょうか。ブランドや商品の価値を貶めることなく プロモーションを行うにはどうすれば良いのでしょう。

まず何よりも大切なのは、割引を頻繁にしすぎないということです。具体的には、「1年の間に4回よりも多く 『価格をアピールすることによる』プロモーションをしないようにする」ということになります。例えばSSENSEやmr Porter のような高級商品のEC小売店は、年に2回しかセールを行っていません。

年間を通じてセールの回数を少なくすることによるメリットは次の通りです。

まず、年間のセール回数を少なくすることで、顧客に『安くなっているときに買おう』と思われること を避けることができます。かつて、隔週でセールを行っている企業があったのですが、 これが非常に問題となりました。その企業の顧客に対して調査を行ったところ、 およそ半数が、頻繁なセールを期待して購入の機会をセールのときだけに限定していると答えたのです。 つまり、売上のほとんどが割引時のものということになり、利鞘を縮め、全体の収益率にもダメージを与えていたのです。

また、商品について割引をできるだけ行わないようにすることで、ブランドや商品の伝わる価値も 維持することができます。多くの場合、高級商品が高級商品であるのは、その高価格の値札によって その商品の限定感が高まるからです。つまり、割引を行わないようにすることで、マスマーケットの 消費者にとって手の届きにくいものとなり、高級な商品や体験を購入することで、その消費者はそれ を体験することのできる『少数派』であることを感じられるというわけです。その価格を下げてしまうと、 限定感は弱まってしまうことになります。

そして最後に、高級商品やサービスは価格ではなく、体験であることも忘れてはいけません。 割引を行うということは、購入の動機を価格帯に帰属しようとしているに等しいのです。

価格の割引を行うのではなく、付加価値を与える

しかし勘違いしないで頂きたいのは、プロモーションを行うことが悪いというわけではないということです。 むしろ、購入の動機付けとしては優れた方法であると言えます。ポイントは、価格をその動機付けとする プロモーションを減らし、価値に動機を持たせるようなプロモーションを行うことにあるのです。

価値に基づいたプロモーションとは、例えば無料配送、無料の文字刻印やその他個人的なサービス、 無料のギフトラッピング、あるいはホテルなら、無料のマッサージやドリンクなどを予約時に選択できる、といったようなものです。

ここで重要なのは、プロモーションが行われているときに購入してもらうために、 商品に対して何らかの価値を付与し、購入を先延ばしにされないようにすることです。

3. 希少性によって限定感を出す

数が少ないことがアピールになるのは間違いありません。そしてそれは、高額商品を販売する場合でも同じなのです。 ここで重要なのは、『数が少ない』ということが常に現実味をもって感じられなければいけないということ (例えば在庫を抱えているのに”あと2つ!”のような売り方をしないこと)、 そしてあくまでクリーンかつプロフェッショナルな印象を崩さないことです。

例えば、赤いバナーやポップアップで購入を促すというようなやり方は売上に貢献はしません。 高級志向のデザインの基本ルールは、ここでも有効なのです。

以下のチャートはThe Luxury Strategyからの引用で、『数の少なさ』や『限定感』は様々な形で演出できることが示されています。 例えば商品を作成する上でどういったものが用いられているかということや、数が少ないことが 示されている場所がどこかということなど、様々な要因が考えられるのです。



高級志向において用いられる、情報や流通に基づく『希少性』の最も一般的な例は、『限定〇〇個のみ販売』というようなメッセージでしょう。

例えばFendiは、以下のようにして『最後の1個』であることを分かりやすく強調しています。



SSENSEもまた同様に、特定のサイズについて在庫が少ないことを示し、早く買わなければ無くなってしまうかもしれないと思わせることに成功しています。



また、商品が完売になった際にそれを示すことで、より『早く買わなければ他のサイズも無くなってしまうかも』というように切迫感を持たせてもいるのです。



高級なファッションアイテムの中には、少量しか生産されておらず、手に入りにくいものもあります。 そうしたものはファッションに熱の強い人たちの間で、誇大広告に近いような扱いを受けることもあるものです。 こういう人たちは、その商品が『たったひとつのもの』であり、そのシーズンに買い逃すと二度と手に入らないもの であることを分かっているのです。このようにして自然に希少性を高めることもできますが、ここで解説されているよう なその他のメソッドを合わせて用いることで、よりその効果を高めることもできるでしょう。

限定感を強調する


”高級ブランドは今や文化規範なのです。それを身につける人がどういう人であるか、どういう人に 見られるかということです”(Tammy Smulders, President of VICE Fashion & Luxury)

確かに希少性も重要ですが、高級ブランドを買う人の購買動機の主な理由のひとつとしては 限定感も忘れてはいけません。これについては『高級ブランドを購入するいくつかの理由』 として以前に記事にまとめたことがありますが、それについて軽く振り返ってみましょう。 元記事

(高額商品を購入する人のタイプ)
・自身と他の人に一線を引くようなリアルな体験を求めて高額商品を購入する人
・独自性や強い個性によって自己表現を行う一環として高額商品を購入する人
・ステータスや権威、社会的ステータスの証として高額商品を購入する人
・限られた人だけが持つ力を誇示することで、その他大勢よりも目立つために高額商品を購入する人

この4つのタイプに共通して見られるのは、『限定感』という要素です。このタイプのどれもが、 自身や他人にとってユニークに感じられるようなものを求めているのです。だからこそ、関係性を構築しながら 商品を販売するような手法や、感情に訴えかけるような手法が、販売の手順の中で重要な要素ともなるのです。

コンバージョン率を高めるために限定感を作り出すというのは、単にウェブサイトや商品ページに変更を 加えるようなものとは違って複雑です。まずは自身のブランドを見直し、それを取り巻く マーケティングについて考えてみる必要があります。

例えば、ブランドの中には、厳選された有名人を招待してのエクスクルーシブなイベントを開催することで、 そのブランドを体験すること自体を特別なことにしようとしているブランドがあります。また、非常に特別な限定品を大勢に広告し、 非常に限られた人しかその商品を購入できないのだということを伝えることでブランドの権威を高めているという場合もあります。

こうした活動により、購入者から見る商品価値は高まることとなります。つまり、特別な商品を持つことのできる、 あるいはその体験を実際に肌で感じられる、数少ない人間の一人であると感じられるようになるのです。

”夢を作るには、高級ブランドは実際のターゲットよりも多くとコミュニケーションを取らなければならない。 ブランド、その商品、その価格は、限られた人しか購入できない場合であっても、多くの人に知られていなけれ ばならないのである”(Jean-Noel Kapferer: "Kapferer on Luxury")

限定感を高めるために、競争率の高い商品を販売しているECストアの中には、 商品の販売前にウェイトリストをオンライン上に作成するケースも見られます。例えば、 End. Cothingは、特別限定のスニーカーを購入するチャンスを得るために登録を促すということ を行っています。



特別感を演出する上での鍵は、販売されている商品が万人向けのものではないということを明らかにすることです。 これを実現するための方法としては、ブランドとしてどのようなインフルエンサーを選ぶか、商品の価格をどうするか、 あるいは限定版のコレクションやウェイトリストを用いることによって商品自体を手に入りにくく するというような方法があるでしょう。

4- 何を売っているのかでなく、顧客が何を得ているのかに注目する

ここまでで、画像や商品説明を駆使することで感情に訴えかけることが重要であることについて は既に触れましたが、これについてもう少し掘り下げてみましょう。

コピーライターのRyan Schwartzに、よりコンバージョン率を高めるための商品説明の書き方について伺ったことがあります (該当記事)。 その際Ryanは、その商品の特長ではなく、その商品が消費者にどのように感じさせるかということに基づいて商品を売ること が重要なのだと語ってくれました。

”Ryan Schwartz:「コンバージョン率を最も高めるスペシャリストならば、一対一の会話の中であればコンバージョン率を50%程度 まで高めることができます。例えば宝石の販売員などはそうで、適切な見込み客とカウンター越しに応対することができれば、 時計なり指輪なり、何なりと購入してもらうことができる可能性が高まるのです。

こうした人々は、顧客との会話を頭の中で想定し、それを維持したまま、本当に顧客の心に響くような刺激を与える ようにしているのです。これこそ商品説明の在り方であり、ECにおけるウェブサイトが模倣するべき姿でもあります。

Ryanの言っていることを実現するためのベストな方法は、例えば顧客にインタビューする、 ウェブサイトなどで顧客調査を行うといったような質的なリサーチを行うことです。あるいはウェブサイト以外に 実店舗を持つなら、顧客と一対一でやり取りをする店員に話を聞いてみるというのも良いでしょう。

例えば私たちがKiehl’sの商品ページについて協力した際には、私たちはブティックを訪れ、 現地の店員から毎月話を聞くということをしていました。



こうしたことを通じて、顧客が抱えている最も大きな疑問である、『あなたから購入する理由』について 理解していくことができるでしょう。顧客について、彼ら・彼女らの言い分について、そしてその生活 スタイルがどういうものか、あるいは何を欲されているのかについて理解できたなら、 その情報を元にウェブサイトのコピーや商品説明、あるいは画像などを、より顧客にとって 関連性のあるものとして作り出していくことができるようになります。

これにより、ある高級スキンケアブランドのカートへの追加率が191%増加した例もあります。 (該当記事)

特長を並べるのではなく、『伝える』


高級志向のECストアであるMr. Porterは、メッセージを『伝える』ことに長けています。 例えば、あるブーツの商品説明欄を見てみましょう。



「滑らかなスエード」、「更に実用的な質感」、「水を弾く、裏面全域のラバーソール」、 「短めのパンツや、裾を折り返したジーンズなどと合わせて」といったフレーズが確認できます。

お分かりの通り、ただ『スエードでできている』と言うのではなく、それが『滑らかである』ということも伝えています。 それだけでこのブーツに用いられている素材の質感をイメージし、疑似体験することができるのです。

「更に実用的な質感」というのも、この商品のアイデンティティとなっています。いかにも心躍るフレーズで、 その商品を身につけた自分を想像させますし、どんな風に組み合わせられるかということを想像もさせてくれるのです。

「水を弾く、裏面全域のラバーソール」は、このブーツが単なるファッションではなく、機能的であることを示しています。 これにより、ブーツを購入する論理的な正当性も得られるのです。こうした、『感情による購入を正当化するためのロジック』を、 私たちは『アリバイ』と呼んでいます。これについては後でもう少し触れましょう。

「短めのパンツや、裾を折り返したジーンズなどと合わせて」というフレーズは、この商品説明の中で最も重要な一文です。 この商品を見ただけでどのように身につければ良いのか分からない人もいるでしょう。もしもこれが実店舗なら、 店員がやってきてアドバイスやアイデアを出してくれるはずです。こうして顧客は、その商品を身につけて自分 のものにしている自分自身を想像することができるのです。

決してお飾りではない、商品を購入するとどうなるかといったことの詳細説明


以下は、高級サイトレンタル会社、Luxury Retreatsの、一泊2,000ドルもするロサンゼルスの別荘に関する説明です。 その建物の特長を押さえながら、どんな体験が期待できるかを理解させると同時に、自分がそこに居るようなイメージをさせることに成功しています。





どちらの例も、強烈な『視覚的イメージ』を与えるのに一役買っています。これは、次にご紹介する研究でも支持されています。

触れたいと思うような画像、あるいはそれを所有している自分を想像させるような画像により、 より強く価値を感じさせながら、その商品を所有することを勧めることができる

これについて、UCLAのJoann PeckとSuzanne B. Shuは、”The Effect of Mere Touch on Perceived Ownership (僅かな接触が持つ所有感の感じられ方における効果) という研究を発表しています。この研究の始まりは、ある興味深い仮説でした。そして研究により、画像を通じて商品を所有している 自分自身を思い描くとき、より購入意欲が高まることが示されたのです。

”実際に触れることができない場合でも、手に入れることを促すような心的イメージで、その個人にその対象を所有したい と思わせることができる。しかし実際に触れることができる場合には、そうしたイメージに効果は無い ”

もちろん、心的イメージを生み出す上では、Mr Porterの例に見られるように、詳細な商品説明だけがその手段ではありません。

加えて、その研究で実験参加者に投げかけられている質問は、商品説明を書くときや画像選択をする際に参考になるでしょう。

”所有に関する心的イメージが整っている参加者に対し、一分にタイマーをセットしてもらい、”商品を家に持って帰った ところを想像してください。どこにそれを保存しますか? それで何をしますか?”といったことを想像してもらった”

結果として、商品を所有している自分をイメージした人たちは、商品の価値をより高く感じるようになり、そしてより購入する確率も高いことが分かりました。

”加えて、所有の感じられ方や対象に対する価値の感じ方のどちらも、所有している心的イメージを抱かせることによって向上した。これが特に有効だったのは、 実際に商品に触れることができない状況の場合で、画像の有無で所有の感じられ方や対象の価値の感じられ方は大きく異なっていた”


研究により確かめられたこと


Jean Noel KapfererとVincent Bastienは、高額商品とは詰まるところその商品と消費者との感情的な関係性であるとしています。 言い換えれば、消費者は、自身がその購入するかも知れない商品を着たり所有したり、あるいは購入したりしている自分を想像できなければいけないのです。

こうした発見やUCLAの研究から、服や宝石類、個人に向けた商品などを販売するECストアの場合、 そうした商品の写真はモデル入りのものとモデルなしのものを両方用意するのが良いということが言えるでしょう。 そのサイズ感を伝えるために商品を着ているモデルの写真を用いる一方、商品だけの写真を掲載することで、 自分自身がその商品を所有して身につけているところを想像する余地を残すことが大切だからです。

5. 価格には天井がある

Luxury DailyのLuxury FirstLook 2018のイベントで、6,000ドル以上するブレザーが販売されることも珍しくない、超高級ブランドを 扱う高級服飾店チェーンのMitchells、その会長であるJac Mitchellsが次のように言ったことがあります。曰く、 高級商品やそのような体験の価格には、限界があるのだと。

人は、感じられる価値に基づいて購入を決定します。販売するもの全てに高額な値札を付けるだけでは、 それは高級商品ではないのです。この感じられる価値は、価格と釣り合っていなければいけません。もちろん、 誰でもものに対する価値の感じ方は異なるものですから、これは質的な考え方であることは確かです。ただ、 次のように考えることはできます。



つまり、感じられる価値とは、その商品を購入することによるインパクトからコストを差し引いたものと、 それを購入することに対するリスクの商で表されるのです。

GucciやLouis Vuittonといった長年愛されているブランドは、ブランドの不偏を実現するため、多くの他のブランドよりも値段を高額に設定しています。

そうしたブランドは、人々にとって何らかを表すものとなります。それはイデオロジーかも知れませんし、 スタイルかも知れませんし、自己表現の方法かも知れません。そうしたものが、消費者にとってのその 商品の感じられる価値を高めることに繋がるのです。ブランド商品の中にはロゴが無いものもありますが、 そういった場合でも、特定の人たちには特定の感情を与えることができ、それが購入理由ともなっているのです。

ただ感情に訴えて売ろうとすると摩擦が起こり、購入後に冷めてしまうことがある


ここで重要になってくるのが『アリバイ』、つまり商品を購入したときに自分を納得させることのできる論理的な正当化です。

例えば、より成功を感じたいために、ある人がLouis Vuittonのバッグを購入したとしましょう。 しかしそういう人は、他の人にも、自分自身にさえもそれを認めはしないでしょう。これは全て、 無意識下に行われる処理です。とは言え、私たちは批判的に物事を考えることに慣れているので、 意識的には、その購入を正当化できるような理由を探しがちになるのです。



Louis Vuittonのバッグの場合、職人技に惚れただとか、レザーが最高級であるとか、保証が付いているだとか、 一生ものとして使えるといったようなことがアリバイとなり得ます。

言い換えれば、アリバイによって感情は強まり、購入を決断するだけの理由が与えられるのです。

正しい選択をしていると安心させる


ここでもう一度、Luxury Retreatsの例に戻ってみましょう。一泊2,000ドルの別荘が広告されていますが、その価格はその他多くのものよりも高額で、 その体験が非常に素晴らしいものであることを、感情的に強く訴えかけています。『ぼったくり』の被害に遭っていると感じられるのを避け、 正しい選択としてその別荘を予約しているということを伝える努力が見てとれます。

これを伝えるため、この価格が『利用できる価格の中で最高価格』であることが保証されています。 また、パーソナル・コンシェルジュが付き、建物は事前にしっかりとチェックされるということで、 不安や疑問を可能な限り軽減しているのです。

ここでも、こうした取り組みが消費者にとってはアリバイとなり、感じられる価値を高めることに繋がっています。



最後に

高級な商品や体験は、オンラインでも変わらず販売することができます。しかし、そういったものを売るための戦略は、 これまであなたが用いてきたものと違うものになるでしょう。私たちが長年見てきたように、マスマーケットの 戦略が常に高級商品に応用できるわけではないのです。

以下、ハイエンドなECストアのコンバージョンを高めるためにどういったことができるかのまとめです。

・顧客へのインタビューや、顧客をより深く理解するための調査など、質的なリサーチを行う。
・常に、自身が販売しているものの『良さ』を伝える。感情に訴えかけ、その購入体験がどういったものかをイメージさせる。
・商品説明の中にアリバイ(合理的な購入理由)を入れ、購入を正当化させる。

この記事は、CXLのブログに掲載された「5 Critical Factors for Optimizing Luxury Ecommerce Sites」を翻訳したものです。

ライター紹介
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    ConversionXL

CXLは米国Austinを拠点とするLPOのコンサルティング会社。
また、CXLは「CXL Institute」というLPOやWEB解析に特化した、マーケター向けの教育プログラムの運営も行っています。
欧米のデジタルマーケティング業界ではCXLの創設者Peep Lajaの知名度は非常に高く、Peep Lajaは最も影響力の高いLPOスペシャリストとまで言われています。
CXLのブログは定期的にLPO関連の非常に参考となるブログ記事を配信しています。

https://conversionxl.com/

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