【ABテスト事例】「送料無料」になる金額、どちらが効果的?

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test

背景とテストの詳細

送料を無料にするため、ユーザーはより多くのお金を使うのでしょうか?

ECサイトの最適化を行う代理店のBrand Value Accelerator(BVA)は、このような疑問を持ちました。そこで、彼らのクライアントであり、動物を模した人工の毛皮製品を販売するSpiritHoodsにてテストを設計しました。

SpirtHoodsの売上の増加を目指し、調査チームは送料無料のしきい値について調査を行うことにしました。送料を無料にするために、ユーザーにより多くの金額を使ってもらう、という狙いです。

仮説

調査チームは、送料のしきい値が高いほど、買い物客は送料を無料にするため、より多くの商品を購入すると考えました。

しかし、送料を無料にする金額が高すぎると、コンバージョンに至らなくなることも理解していました。そして、しきい値が低すぎれば、売上増加の機会を逸してしまいます。

そのため、しきい値の最適な値を判断するため、テストを行うことにしました。

テストの設計

送料を無料にするためにユーザーが商品を購入する金額の最適値を判断するため、ABテストの環境が設定され、Optimizelyを使用してテストが行われました。調査期間は2週間です。

この期間、約4万人のユーザーが、異なる種類の送料無料のオファーを目にします。トラフィックは均等に分けられました。

バージョンAは、$99で無料になるというバナー(下記)を表示しました。



バージョンBは、$199で無料になるというバナー(下記)を表示しました。


高い金額と低い金額のそれぞれの影響を判断するため、1訪問ごとの収益(RPV:Revenue Per Visitor)と平均注文額(AOV:Average Order Value)が、測定されました。

テスト結果

勝者はバージョンBでした。
$199をしきい値としたバージョンが大きく勝利したのです。

送料を無料にするために、ユーザーにより多くの買い物を必要とさせたほうが、売上に大きく貢献したのです。

金額が高いバージョンBのほうが、金額が低いバージョンAと比べ、RPVが24%増加しました。

また、AOVも、金額が低いバージョンAと比べ、5.6%増加しています。

この調査結果の信頼性は90%です。

今回のテスト結果はどの程度信頼できる?

サンプルサイズが多く(4万人)、標準的な調査期間(2週間)、90%の信頼性。これらから、今回の調査は十分に信頼できると思われます。

しかし、90%の信頼性は、このテスト結果はランダムな選択によるものだという可能性が10%あることを意味します。これは、望まれる状況よりは、高い数字です。理想的には、テスト結果の信頼性は、95%かそれ以上であるべきです。

分析

今回のテスト結果は、送料の無料化について、何を示しているでしょうか?いくつかの分析が可能です。

1.買い物客にとっては、何かを無料にすることが、より多くの金額を支払う理由となる


今回のテストは、送料を無料にするしきい値を高くするか低くするかで、より多くの顧客を引きつける、もしくは、より多くの買い物客をファネルの奥へと進める、ということに着目していません。

その代わり、送料を無料にするしきい値を$99か$199にすることによる影響を、売上と注文金額で測定しています。

今回のテストでは、送料を無料にするしきい値を高く設定すべきという結論がでました。送料無料のオファーを手にするために、買い物客は進んでより多くの買い物をするからです。

この発見は非常に価値があります。また、あなたのECサイトにも適用できるでしょう。買い物客は、送料を無料にするために、より多くの金額を使うのです。

実際、オンラインでの買い物における購入決定への影響の調査では、送料が無料であることが、オンラインで買い物をする最大の理由であると顧客は述べています。また、93%の顧客が、送料を無料にするために、より多くの購入をすることを認めています。

2.送料無料は、無料であるとは限らない


しかし、送料を無料にすることは、コスト増加につながります。

より多くの売上を得ることができますが、送料のコストも負担しなければなりません。これは痛手となりえます。

自分のポケットにお金を取り戻すために、送料のしきい値の最適な値を調べることは、投資に値します。

今回の調査では、送料を無料にするため、買い物客はより多くの買い物をすることがわかりました。

しかし、この方程式には微妙なバランスが求められます。

送料無料のしきい値が高すぎれば、買い物客が購入を避けるかもしれません。送料を無料にするには、金額を使いすぎると思うからです。

一方、送料無料のしきい値が低すぎても、苦しむことになるでしょう。送料無料の権利を得るために、買い物客は僅かな金額しか支払わなくてよいのですから。

そのため、テストを行うことが重要なのです。

あなたのサイトにとっての最適な箇所を発見できれば、継続して送料無料の価格帯を最適化すべきです。

コロナ禍のような期間では、買い物客は可処分所得が少ないと感じているかもしれません。その場合、送料無料のしきい値を下げることが、最善の対応であるかもしれません。

いまSpiritHoodsのサイトを見てみると、送料無料のしきい値を$199から$129に下げています。



送料無料の最適値が高すぎるか、低すぎるか、商品の平均金額にもよるでしょう。また、顧客の需要によっても変化します。

同様に、送料無料の告知をテストする場合、最適な場所やフォーマットも確かめるべきです。

実質的なアドバイスとすぐに行える施策

オンラインの買い物客は、送料を無料にするため、より多くの金額を支払います。

最適な送料無料のしきい値を見定めるため、テストを行うことが重要です。また、経済状況によって消費行動が変化するたびに、継続したテストを行いましょう。

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