【ABテスト事例】アプリをより多くダウンロードさせるサムネイルとは?

検証の詳細

Darby SmartはDIYファッションとホームデザイナーを消費者とつなげるオンラインプラットフォームです。
Darby Smartはアプリをダウンロードするユーザーの数を増やしたいと考え、アプリ最適化代理店であるSplitMetrics に支援を要請しました。

背景と検証の目的

アプリのテスト検証ならびに開発の実績が豊富なSplitMetricsは、アプリのサムネイル画像を適切なものにすることで、コンバージョンに大きな影響があることを理解していました。
Darby Smartのケースでは、チームはブランドロゴをサムネイルに使うか、もしくは人物の画像を使うことで、Darbyのアプリのダウンロードページで最高の効果が得られると考えました。

仮説

テスト検証チームはDarbyのロゴのサムネイルがもっともコンバージョンを向上させると考えました。ユーザーはブランドを認識し、アプリが製品により関連したものになるからです。
それとは対照的に、チームは人物の画像はありきたりで印象が薄いものになると予測しました。しかし、視線を追跡した研究によって人の写真がもっとも注意を引きやすいという結果が出ていることを認識していたので、チームは検証を行うことが最善だと判断しました。

検証の設定

どのサムネイルが最大のアプリダウンロード数につながるかを判断するために、四つの異なる画像のテスト検証が行われました。

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A:Darbyのブランドロゴを白のテキストで強調した、カラフルな背景の画像
B:カラフルな背景に「再生」ボタンのイメージを重ね、テキスト無し
C:カラフルな「再生」ボタンのイメージが描かれた携帯電話で女性が自撮りをしている画像
D:ティールカラーの背景に、白い「再生」ボタンのイメージ、白い文字でDarbyのロゴ

結果

カラフルな背景にDarbyのロゴを載せたサムネイル(バージョンA)は、他の検証バージョンと比べて、ほぼ二倍のダウンロード数を生み出しました。

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もっとも結果の悪かったバージョンC(女性が自撮りをしている写真)と比較すると、驚くべきことにダウンロード数は233.3%も増加し、この結果は99.9%の信頼性を達成しました。

分析

人々は表紙で本を判断すべきではないと言いますが、実際にはそうしています。

私たちは常に物事を見た目で判断します。私たちは見た目を根拠に食品、メディア、(ある程度は)恋人さえも選んでいます。

だからといって、私たちが浅はかというわけではなく、それは人間の特性なのです。

生理学的に、私たちの脳は映像を処理することにもっとも優れています。CopyBloggerの記事によると、脳が受け取る情報の90%は視覚的なものです。そして、私たちの脳は、テキスト情報と比べた場合、視覚的な情報を6万倍の速度で処理することができるのです!

マーケティング心理学の観点からすると、私たちは、そのイメージが何を伝えているかという判断に基づいて、そのイメージに反応します。

私たちの知覚は、細かなディテールとわずかな違いに影響されます。例えば、人間の知覚を扱った、画像に関する心理学研究では、表情や姿勢のわずかな変化が、対象の親しみやすさ、親切さ、魅力といった印象に影響を与えることが明らかになりました。

こうした要素はアプリを選ぶ際にも変わりません。サムネイル画像のわずかな変化が、アプリへの評価と、それをダウンロードするかの判断に大きく影響します。

そして、私たちはそれを意識していないものの、おそらくはたった1000分の数秒の間に判断を行っています。
Psychological Scienceに掲載された前述の研究によれば、ある画像に対する私たちの最終的な結論は、わずか0.04秒で導かれていることが分かりました。

これは訪問者の注意を引くには十分に長い時間ではありません。そのため、あなたの画像は閲覧者がそれを見た瞬間に彼らの心を強力に捉える必要があります。

だからこそ、適切な画像の検証と選択がコンバージョンにとって絶対的に重要になってくるのです。

Nielsen Norman Groupが行った視覚追跡の研究では、ある種の画像が特定の状況において最高の結果を出すと明らかになりました。
例えば、実際の人間の写真は、個人のウェブサイトやブログで良い結果をもたらす傾向があります。しかし、コンテンツに関係のない、ストックした写真や見栄えが良いだけの画像は無視される傾向にあります。

今回のアプリ検証では、カラフルなDarbyのロゴは注意を引き、Darbyのブランドを知っている人にとって認識しやすいものでした。

対照的に、女性の写真は何の状況も説明していません。彼女はただの他人に見え、閲覧者がブランドに対して個人的なつながりを感じるきっかけとはなりませんでした。同時に、彼女の顔と目がほとんど電話で隠れているという事実も、彼女に対する閲覧者の信頼を低下させた可能性があります。
Wishpondによる画像に関する心理学のガイドによれば、アイコンタクトをすることで信頼性、フレンドリーさ、オープンさが増すとされています。それは説得の第一歩でもあります。
コンバージョンにとってはそれら全てが重要です。

興味深いことに、Wishpondのガイドでは、人間の画像を使うことは、コンバージョン率を最適化する際にもっとも効果的な戦略の一つだとされています。しかし、今回の検証では、その内容が常に正しいというわけではないことが証明されました。

適切な人物の適切な画像はコンバージョン率を向上させるかもしれません。しかし、製品に関係のない他人の写真では、信頼性が感じられず、上手くコンバートしないこともあります。

アプリのダウンロードに関して言えば、最適なサムネイル画像はクリックされやすくダウンロード率が高い一方で、最適でないものはユーザーの目に留まらず素通りされてしまうということです。
したがって、あなたのアプリのサムネイル画像を検証しましょう!

そして、この文章の情報量が多すぎるというのであれば、ここに素晴らしい、ウェブサイト上で信頼を構築するための、視覚的にも楽しい情報グラフィックがあります。(英字)

まとめと応用方法

1. あなたの画像を検証しましょう。

Guess The Testでは、あらゆるものを検証するように提案しています。もしユーザーがコンバージョンの判断を、主に製品を描いたサムネイルを基準に行っているのであれば、画像の検証は特に重要です。

2. 数秒の時間しかないことを心得ましょう。

アプリのダウンロード、動画、ソーシャルメディアの投稿などでは、サムネイルの画像がすぐにユーザーを引き付け、彼らの心をつかまなければ、コンバージョンを失ってしまうことになるでしょう。
研究ではユーザーの心をつかむ時間はわずか0.04秒しかないと明らかになっています。チャンスを逃してはいけません。ユーザーの注意を短時間で引く、もっとも効果的な画像を発見し、検証を行いましょう。

3. 人物画像の使用は状況に応じて行いましょう。

人物の写真が常に最高のコンバージョンを実現するとは限りません。特に、その人物が文脈とは関係なく、信頼ができないと映ってしまう場合はなおさらです。表情のわずかな変化が、人の知覚方法に大きな影響を与えることもあります。したがって、最善の人物画像について検証を行う際には注意しましょう。

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test
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Guess The Testは世界中のABテストの実例を週1回に配信している, CRO(コンバージョンの最適化)やUX戦略を専門とする企業「 Convert Experts」によるサービスです。 ABテストの内容とその結果のみならず、テストに関する仮説と分析が含まれていることは Guess The Testサービスの大きな魅力です。海外のABテスト事例が多めですが、世界中のデジタルマーケターがどのような思想で、 どのようなテストを進めているかをご紹介することで、日本のデジタルマーケターにとって少しでも参考になればと願っております。

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