【ABテスト事例】ライブチャットボタンのあるなしは、どちらが良い?

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test

テストの詳細と背景

米国の貸倉庫会社であるExtra Space Storageは、自身のサイトでチャットボタンのテストを行いました。

トップナビゲーションの上部の真ん中にチャットボタンを設置することで、カスタマーサービスとのチャット数が増加するかを判断することが目的です。

さらに、チャット数の増加が貸倉庫の契約数を増加させるかどうかも、知りたいと考えました。

仮説

トップページのヘッダーにチャットボタンを追加することで、カスタマーサービスとチャットできることが容易にわかり、チャットの回数が増加すると、調査チームは想定しました。

さらに、より多くの顧客がカスタマーサービスとチャットし、有益な情報を得ることで、貸倉庫の予約数も増えると期待していました。

しかし、「電話をかける」のボタンは目立たず、チャットボタンが煩わしく感じられ、コンバージョンが低下する可能性も考えていました。

そのため、「ライブチャット」のボタンを表示するか、表示しないか、どちらのパフォーマンスが良いかをテストすることにしたのです。

テストの設計

どちらのパフォーマンスが良いかを判断するため、ABテストの環境が設定されました。

トラフィックは50対50に分けられました。

訪問者の半分には、ページ上部のナビゲーションメニューの領域に「ライブチャット」というボタンが表示されます。「ライブチャット」ボタンをクリックすると、ページの下部にチャットウィジェットが表示されます。また、訪問者が60秒間ページに滞在すると、クリックをしなくても、自動的に表示されます。
「ライブチャット」ボタンが表示されるAバージョンの画面は、下記の通りです。



残りの半分の訪問者にも同様のページが表示されますが、ヘッダー領域に「ライブチャット」ボタンは表示されません。「ライブチャット」ボタンの代わりに、フリーダイヤルの電話番号とともに、黄色の電話のアイコンが表示されます。ナビゲーションの項目も、それに合わせて多少変更されています。
「ライブチャット」ボタンが表示されないBバージョンの画面は、下記の通りです。



「ライブチャット」ボタンが無いページの場合でも、60秒経過すれば、チャット画面が画面の右下に表示されます。

チャットの回数と注文数は、どちらのバージョンでも計測されています。

テスト結果

勝者はAバージョンでした。「ライブチャット」ボタンがあるバージョンが大きく勝利したのです。この結果は、広く伝えたいところです。

ナビゲーションメニューの領域に「ライブチャット」ボタンを含めることで、多くの注意を引きつけ、チャットの回数が44%上昇しました。

より多くの顧客とコミュニケーションを取ることで、電話のアイコンを表示するだけのバージョンと比べ、オーダー数も20.43%上昇しました。

このテストの信頼性は95%です。

この結果はどの程度、信頼できる?

95%の信頼性があることから、この結果は公正であると言えます。

しかし、テスト結果に疑問を投げかける根拠となり得る、サンプルサイズとテスト期間が報告されていないことは、注意すべきです。

分析

「ライブチャット」ボタンがあるバージョンが勝利したのはなぜでしょう?いくつかの理由が考えられます。

1.注意を引きつけ、クリックを促す


60秒経てば、どちらのバージョンでも自動的にチャットボタンが表示されますが、勝利したバージョンのほうが、パフォーマンスが優れていました。

なぜでしょうか?おそらく、ページ上部にある「ライブチャット」ボタンは注意を引きつけるからです。

ユーザーはすぐにそのボタンの存在に気が付きます。

ボタンははっきりとしており、目立ちます。

質問がありつつも電話をかけたくないユーザーの誰もが、カスタマーサービスと連絡を取るための他の方法を探す必要はありません。チャットであれば、連絡を取ることは非常に容易です。

反対に、「ライブチャット」ボタンが無いバージョンの場合、ユーザーは電話をかけるという選択肢しかないように見えます。人と話したくない人にとっては、不運となります。1分以上、ページに滞在したユーザーのみ、チャットウィジェットに気が付くことができます。しかし、この時点ですでにユーザーは興味を失い、ページから去ってしまうかもしれません。

2.ページ上部に連絡先の情報を表示することは、「ベストプラクティス」に適っている


顧客との対話を開始することは、セールスのサイクルの最初のステップとして、価値のあるものです。

チャットであれ、電話であれ、彼らの興味と関心を引きつけることができれば、コンバージョンを促す機会を得ることになります。

ページ上部にチャットボタンや電話番号を表示させることで、顧客が連絡を取る手段を簡単に把握することができます。

問い合わせの情報が明確で、大きく、目立ち、カラフルであれば、顧客はより早く、連絡を取る手段に気が付きます。

価値のあるベストプラクティスとして、ずっとページ上部に表示される「スティッキー」な電話番号やチャットボックス、コール・トゥ・アクションは、多くの手助けとなります。これらは常に表示されるため、顧客は連絡先を探すためにサイト内を検索する必要はありません。同様に、常に表示されるお問い合わせ情報はリマインダーとしても機能し、やがて顧客はあなたに連絡を取ることになるでしょう。

今回の調査で得られる知見と実施可能なアドバイス

「ライブチャット」ボタンをあなたのサイトに追加することは、コンバージョン率増加のための、価値のある手段となりえます。

ページ上部のナビゲーションの領域にチャットやお問い合わせの情報を表示することは、あなたに連絡を取る手段を顧客が簡単に、素早く把握できるようになるベストプラクティスです。彼らがあなたに連絡を取れば、コンバージョンを促す機会を得ることになるのです。

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