【ABテスト事例】1ステップvs2ステップのフォーム。さて、勝者は?

検証の詳細

金融プランニングに関するソフトウェア(SaaS) プロバイダーであるAdaptive Insightsは、自社のウェブサイトで登録フォームに関する社内実験を行いました。

背景と検証の目的

彼らの目的は、1ステップと2ステップの仕組みのどちらが、ソフトウェアデモへの登録者を増やす際に最適かを判断することでした。
同社の販売チームは詳細な連絡先と企業情報を必要としていたので、フォームの記入欄を短縮することは不可能でした。
しかし、テスト検証チームは1ステップのフォームは長すぎて、人々が敬遠する要因になっていると懸念していました。

仮説

テスト検証チームは1ページの長いフォームを2ステップのプロセスに分割することで、煩わしいという印象が軽減されると考えました。

しかしチームは、2ステップのフォームは余計な作業が増えたと感じさせる可能性もあるため、逆効果になることもあり得ると懸念していました。
ユーザーは同じ量の情報を記入する必要があるだけでなく、後半のフォームを埋めるために2ページ目にクリックをして進むという余計な作業も必要となるからです。

テスト検証の設定

もっとも効果のあるフォームの形式を検証するために、チームはアクセスを半々に分けました。
訪問者の半分は、長い1ステップのフォームを閲覧しました。

残りの半分の訪問者は2ステップのフォームへアクセスし、そこで同じ記入項目が2ステップに分割されたバージョンを閲覧しました。

フォームの記入状況は両バージョンで追跡されました。このテスト検証は23日間行われました。

  • A

    1ステップのフォーム

  • B

    2ステップのフォーム

結果

2ステップの登録ページ【B】は、コンバージョン数を二桁も向上させ、ソフトウェアデモの登録を30%も増加させました。この結果は95%の信頼性を獲得しました。

分析

フォームは簡潔でシンプルな外見にしましょう。

今回のケースで2ステップのフォームがより多くのコンバージョンにつながった理由は、フォームが短く見えたからです。
後からステップ2の追加の記入欄が登場するとはいえ、2ステップの方は、最初は作業が少ない印象を与えます。

そして、ユーザーがステップ2に進んだ時には、彼らはすでに自分の時間を投資し、連絡先を開示してしまっています。そのため、プロセスを完了する動機が生まれます。

ユーザーが、フォームの記入を開始するというコンバージョンへの第一の障害を乗り越えてしまえば、ステップ2の記入は最初の障害よりもはるかに小さいものとなります。さらに、2ステップのフォームにはポジティブなサプライズ(フォームは予想より短いこと)がありますが、1ステップの方にはそれがありませんでした。

1ステップのフォームでは、すべてのカードがテーブルに並べられていました。ユーザーはどの情報が要求されるかを正確に知ることができました。
そのため、彼らは見返り(ソフトウェアデモへの登録)がフォームの記入作業の手間を上回るかを容易に判断することが可能でした。
フォームが長く見えるので、ユーザーの多くがコンバートしなかったのです。

しかし、あらゆる検証において、同様の結果が得られる場合もあれば、反対の結果になる場合もあります。
フォームの記入欄を1ステップで表示する方が、効果が得られる場合もあります。

コンバージョン率最適化代理店、Creative ThirstのCEOボビー・ヒューイット氏は、1ステップと2ステップのフォームはバンドエイドのようなものだと、次のように雄弁に語ります。

「痛みを長引かせてもバンドエイドをゆっくりと剥がすのか、それとも一気に剥がしてしまうのかを決定するのは難しいものです。最初のページですべてのフォームを見せるというのは、バンドエイドを一気に剥がすようなものです。痛みが伴いますが、効果はあります。2ページにフォームを分割することは、期待を裏切り、逆効果になる場合もあります。」
では、何が最善策なのでしょうか?1ステップや2ステップのフォームなのでしょうか?

結局のところ、それはあなたのターゲット次第です。彼らがどんな人物で、何に登録をしようとしていて、あなたのブランドをどの程度知って、どの程度親しみを抱いているか、そしてコンバートへの動機がどの程度あるかが関係します。結論を言えば、常にテスト検証を行うのが最善の策です。

まとめと応用方法

1. 一般的にフォームは短いほど効果的です。

人は誰も忙しいものです。フォームの記入に時間を割きたくはありません。そのため、フォームを可能な限り短く見せましょう。常識と状況の範囲内でそれを行いましょう。

銀行のローンやコース登録のような真剣な申し込みフォームを記入している人々は、もしフォームが短すぎたら懐疑的になるはずです。フォームが適切に感じられる程度の情報は質問しましょう。しかしそれ以上は聞くべきではありません。

2. 動機と報酬をマッチングしましょう。

あなたの見込み客とコンバージョンの間にある最後の障害がフォームの記入です。顧客に不必要な作業をやらせるのは避けましょう。

動機が強いユーザーは長い時間をかけて面倒なフォームでも記入してくれますが、それほど動機づけがなされていないユーザーはおそらくそうはしないでしょう。
フォームの長さと、あなたが見返りに提供するものを一致させるようにしましょう。

3. 多段階のフォームでは重要な項目を先に聞きましょう。

もっとも重要な質問を最初に配置します。仮にユーザーが半分しか記入をしていなくても、彼らをフォローしてさらなる情報を入手するためのデータは手に入ります。

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test
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