機能改善やレポーティング、充実したサポートが魅力
〜株式会社鎌倉新書のABテスト事例〜

全てのサービスサイトに導入し知見を水平展開!
月に20件弱のABテストで改善を積み重ねて質向上を実現!

終活をテーマに数多くのウェブサイトを運営

生前から死後まで、幅広く手厚いサービスを展開

──御社や御社のサービスについてご紹介ください。

村山:株式会社鎌倉新書は、1984年創業です。初めは仏教書や供養業界の業界誌を発行する出版社でした。2000年頃からインターネット事業に進出し、葬儀やお墓などを探すユーザーと提供する事業者をつなげるマッチングサービスを開始しました。日本の高齢社会が進む中、「終活」をテーマとして、仏壇、相続、生前整理、不動産、保険、介護、おひとりさまのサポート事業などにも拡大し、高齢者の生前から死後まで、さまざまなマッチングサービスを展開しています。現在売上の約9割をインターネット事業が占めています。

──時代にマッチしたビジネスですね。強みはどのようなところでしょうか。

村山:インターネットを介して集客をしていますが、ネットで情報検索をした後、電話で相談したいというお客様のため、コールセンターにも力を入れています。当社を選ばれる方の中には、コールセンターでの対応が手厚いからという方も多くいらっしゃいます。
高齢社会において避けることのできない課題を解決するお手伝いをすることで、豊かな社会づくりに貢献することを会社のミッションとしています。

複数サービスを比較検討、サポートの充実が導入の決め手に

  • ──どのようなことをきっかけにDLPOの導入を検討されましたか。

    村山:2023年9月に、Googleオプティマイズのサービスが終了となったことです。1月にサービス終了がアナウンスされて、代替のサービスを探し始めました。当初は無料ツールを検討していましたが、よいものが見つからず、有料ツールから複数のサービスを候補にして、表をつくって比較検討していきました。

──検討材料はどのようなものでしたか。

村山:Googleオプティマイズから大きく操作性が変わってしまうと、運用する上で負担が大きくなりますから、操作性が近しいものを探しましたね。機能面では、多変量テストができて細かいセグメントが切れること、当社の多岐にわたるサービスの全てに導入するためにドメイン数無制限で使えることも重視しました。
また、マーケティングは事業部ごとに担当者を置いて進めています。それぞれの事業部の担当者が使っているうちに、別の事業部のものに誤ってさわってしまうようなことがないように、グルーピングできることも重要でした。もちろん費用面も大きな要素です。
こうしたことを材料として絞り込んでいきました。

──かなり詳細な検討をされたのですね。決め手はなんだったのでしょうか。

村山:サポート面です。海外のツールは、ベンダーさんを通して伝言ゲームのようになることがリスクだと考え、国内ツールで最終候補を絞りました。その時点でDLPOの担当者さんと直接お話しして、懸念材料や疑問点を相談させていただきましたが、かなり手厚く対応していただいたので、導入後のサポートもしっかりしているのではないかと考えました。
あと、これは余談ですが、2014年頃、DLPOのデジタルマーケティングセミナーのイベント「コンバージョン祭」に参加したことがあって、その頃から一度使ってみたいなと興味は持っていたんですよ。

Slackで迅速に問い合わせができるサポート体制

  • ──実際のところ、導入後のサポートはいかがでしたか。

    村山:導入前にデモ画面で操作し、実際に使う社員からも意見を募って、機能改善要望を出しました。10項目程度、その後追加して15項目程度は出したと思います。ひとつひとつ丁寧に検討してもらえました。すぐに対応できないところに関しても、「こうして使えばその機能の代わりにできるのでは」と、暫定的な解決としてご提案もいただけて、思った以上にサポートが手厚く、選んで正解だったと思っています。

──各担当者が迷うような場面はありませんでしたか。

村山:慣れないうちは、「うまく動かない」「プレビュー画面では動いているけれど実際動いているのかどうか……」など、思い通りに使えないことがあり、私のところに質問がくることもありました。
当社ではSlackを使って連絡や情報共有をしていますが、途中からSlack上で担当者がDLPOのサポートに問い合わせて回答してもらえるという体制ができて、とてもやりやすくなりました。おかげで、1年近く経って、前出のような質問はほとんどなくなってきています。
Googleオプティマイズを使っていた頃は、たとえばJSを組んで書き換えが必要な場合に、一つ一つ私が対応することもあったのですが、そうした一手間かかるような作業が必要なときも、各担当者がDLPOに質問して解決できるようになって、楽になりました。

狙いをはっきりさせたテストを数多く積み重ねる

  • ──テストの利用状況について教えてください。

    村山:2023年9月の導入から約1年で200件強、1カ月平均で20件弱のテストを実施しています。
    テストの中身も大事ですが、それ以上に試行回数がポイントだと考えており、流入の多いページでファーストビューを中心にテストを行うなどしてPDCAサイクルを高速で回すようにしています。ファーストビューの変更はやはり改善率が大きく上がるポイントです。
    ファーストビューの改善が進んできたら、ユーザーがサイト内でどのような導線をたどるのかを考えて、必ず見るであろう部分でテストを行うなど、範囲を広げています。また、当社のサイトでは、一覧ページから詳細ページに入って資料請求や見積もりのフォームという導線が一般的です。これらのページを連動させたテストも行っています。

──「試行数がポイント」と考えていらっしゃるのはなぜでしょうか。

村山:単純に数が多ければよいということではなく、このようにすれば改善できるだろうと、明確に狙いを持ったテストを行うことが肝心です。Googleオプティマイズを使っている時から、その点は徹底しています。
ユーザーの行動や使いやすさを考えて、理由のある変更を行う。テストの結果が狙い通りではなかったら、そこからさらにその理由を考えてそれまで気づかなかったユーザーの行動が見えてくる。こうしたことをひたすら積み重ねていくことが大切だと考えています。試行数が増えればそれだけその積み重ねが増えていくわけです。
テストパターンは、ユーザーのことを真剣に考えて新たにつくったものですから、テストで引き分けであれば「勝ち」とみなしています。

──テストで勝ち負けを決めるだけではなく、そこに至る思考や仮説立てを大切にしているのですね。皆さんの議論も盛んになっているのではないですか。

村山:そうですね。Slackで、ウェブマーケティングに関わる人が参加するABテスト共有チャンネルをつくり、各担当者がスレッドを立てて、対象ページや変更点、配信割合、期間など、テストのあらましを掲載します。後日その結果もスレッドで報告しますから、他の部署でもその知見を応用して使えるのです。スレッドで質問もできて、部署横断的に情報共有や議論が盛んになっています。
当社の多くのサービスでは、一覧ページから詳細ページに、そして問い合わせフォームや電話でのコンバージョンという共通の形があり、改善できるポイントがわかってくると水平展開が非常に効果を持つのですね。こうした事例報告とその積み重ねが、それぞれの担当者が仮説を立てる上でも役立っていると思います。
また、チャンネルは全社に開かれていますから、マーケティングに関わっていない人も見ることができます。それによって生まれる相乗効果にも今後は期待しています。

──コールセンターによるサポートの手厚さが強みというお話でしたが、ネットを見て電話で問い合わせてくる方の行動はどのように把握していますか。

村山:たとえば、葬祭関連のサービスはお急ぎの方が多く、9割以上が電話での問い合わせです。そのため葬祭の場合は、コンバージョン地点をスマホの電話タップとしています。最近は、アクセスに占めるスマホの割合が7割を超えるほどになっていますので、スマホの電話タップをゴールとしたテストでも、きちんと実態を反映できています。

わかりやすく共有も簡単なレポートが役立つ

  • ──Googleオプティマイズを使っていた時と比べて、よくなった点はありますか。

    村山:レポーティングが充実していて見やすいことがいいですね。Googleオプティマイズの時は、出てきた結果に対して統計的に有意差があるかどうか、各担当者が自分で計算をしていたんです。エクセルで計算式を入れたものを作ったり、オンラインツールを利用したりしていました。DLPOでは「改善信頼度」としてレポートで出してもらえるので、とても楽になりました。
    部内や社内での共有も、レポート画面をキャプチャして渡せばよくなって、誰にでもわかりやすく見てもらえます。改善パターンとオリジナルの比較が一目でできるものもあり、便利に使わせてもらっています。

──逆にこの辺りは課題だというところはあるでしょうか。

村山:Googleオプティマイズを使い倒していましたから、そのサービスがなくなり、データに基づいた改善をしていく文化がなくなる可能性もあったと思いますが、変わらず文化を継承できているので、基本的には良い活用ができていると思います。
そんな中で、当社の課題としては、「Standardキャンペーン*」をもっと使いこなしたいというのはあります。現在は機能の3割程度しか使えていないのではないかと思います。詳細ページに進んだ後にどう見せるのか、など、もっと細かい設定でテストをしていけば改善の可能性は広がっていくでしょう。
そういう意味では、作成したキャンペーンがかなり増えているので、その整理がしやすくなると今後より使いやすくなりますね。たとえば、過去のキャンペーンを活かして似たものがあればそれを見つけ出したり、少し設定を変えるだけで新しいテストを行ったり、といったことができるようになればいいなと思います。長くDLPOを使っている人なら経験から見つけ出せますが、新しく入った人には難しいのが現状です。

*DLPOでは、設定したテスト・その内容を「キャンペーン」と呼び、「Standardキャンペーン」は、多変量テストなどより詳細なテストを作成できるメニュー

──より詳細なテストが簡単に設定できれば、効率よく改善できますね。

村山:はい。また、当社は全社のサービスで使っているので、処理が重くならないかというところにも少し不安をもっています。DLPOで相当頑張っていただいているとは思いますが、なるべく処理が軽くできるように、不要になったタグを簡単に消せるようなこともできるとよいのかなということも考えています。

デジタル以外での接点づくりを課題にサービスを向上していく

──DLPOに限らず、今後、デジタルマーケティングでやっていきたいことを教えてください。

村山:デジタルマーケティングに関しては、やることはあまり変わらないと思います。
お客様をどう集めて、どう誘導して、どうサービス利用につなげていくか。成約まで至れば、次には当社の他のサービスも使っていただき、長く「鎌倉新書」としてのお客様になっていただく。それを繰り返してより質を上げていくことが基本なので、特別なことをするつもりはありません。
デジタル外のマーケティング全般では、お客様と出会うチャネルが少ないことは課題だと感じています。葬儀やお墓といった分野は、ユーザーの側も日頃から準備をしている人は少なく、課題が顕在化したその時に急いで検索する人が大半です。現在のところ、ユーザーとの接点がそこに限られる状況で、今後はリアルを含めていかにチャネルを広げていくか、各サービスをどうブランディングしていくのか、という観点が重要になると考えています。

──最後に、御社のPRもお願いします。

村山:鎌倉新書は、お墓、仏壇では業界トップ、葬儀でもトップクラスのサイトを運営しています。相続、介護関連のサイトは育ち盛り、今後トップを狙っていくサービスです。現在それらのウェブマーケティングに携わるメンバーを募集しています。これまでお話ししたように、DLPOを活用し、各担当者が自らの仮説を立て自分で考えながらサイトの改善を行っているほか、サイト運営に関わるあらゆる領域を担って事業成長に貢献するポジションです。非常にやりがいのある仕事ですし、終活という独自性のある業界で、トップクラスの事業や成長途上の事業に関わることは、よい経験になると思います。ウェブサイトを自分の手で成長させたいと考える人は、ぜひ入社を検討してほしいと思います。

──ありがとうございました。

(記事の内容、肩書きなどは2024年8月現在のものです。)