最終更新日: 2024年11月19日 これからのマーケティング戦略に必須!パーソナライズのメリットや注意点、活用事例をご紹介

マーケティングは不特定多数へ向けた「マス」から、一人ひとりへ向けた「パーソナル」へ。
今や、ユーザーの好みや関心に合わせて情報を届ける「パーソナライズ」がマーケティング手法として欠かせません。

今回は、パーソナライズを基本から知りたい方向けに、パーソナライズとは何か、Webサイトやアプリにパーソナライズを実装するメリットと注意点、企業がパーソナライズを取り入れて成果を上げた事例などを順に述べ、後半ではパーソナライズを効率よく進めるためのツールについても解説します。

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パーソナライズとは何か

パーソナライズとは何でしょうか。英語のpersonには「他と違う一個人としての人」という意味があります。そしてマーケティングにおけるパーソナライズとは、「属性や好みが違う一人ひとり(person)のユーザーに合わせて、異なる情報やコンテンツを提供する」ということです。

かつて、マーケティングは不特定多数へ向けた一方的な「マスマーケティング」が主流でした。しかし今では、インターネットの高速化とスマートフォンなどの普及によりユーザーが自ら情報を探し、選択や比較ができるようになったこと、また提供者側もユーザーの属性や行動履歴に関するデータを蓄積、分析できるようになったことにより、顧客一人ひとりのニーズに合わせた「パーソナライズド広告」が可能になりました。

パーソナライズの具体例には以下が挙げられます。

  • ECサイトで見た商品と類似の商品がおすすめに表示される
  • 検索、閲覧した内容と類似の情報が、パーソナライズド広告として配信される
  • 過去に見たニュースと関連する情報がお知らせに届く
  • メールマガジン
  • 動画投稿サイトやアプリで、過去に見た動画と似た動画がおすすめに表示される

パーソナライズとカスタマイズの違いについても知っておきましょう。一番の違いは、「誰によって行われるか」です。

  • カスタマイズとは、ユーザーが自ら好みや欲しい情報を設定すること
  • パーソナライズとは、広告や情報の提供者側がユーザーに合わせて最適化すること

個人がよく閲覧するサイトや利用するアプリは非常に多く、全てを自らカスタマイズすることは困難です。一方で提供者側が行うパーソナライズは、顧客志向の観点からより細分化される傾向にあります。ユーザーはほぼ無意識のうちにパーソナライズされた情報を受け取り、「カスタマイズからパーソナライズへ」のシフトが進んでいます。

パーソナライズのメリット

パーソナライズのメリットとして以下4点が挙げられます。

コンバージョン率のアップ

パーソナライズによりコンバージョン(CV)率を上げることができます。コンバージョンとはWebサイトやアプリで獲得できる成果の指標を意味し、例えば「商品の購入数」や「会員登録者数」などあらかじめ設定した目標を達成されることで「成果」となります。コンバージョン率は「CV数÷サイト訪問者数×100」で求められます。

パーソナライズにより、ユーザーが求める内容のページがすばやく表示されるため、離脱することなく目的に到達しやすくなります。ECサイトの場合なら「欲しい商品が見つけやすいため購入した」という成果につながり、CV率が上がります。

潜在的なユーザーの獲得

今や、ユーザー自身が検索して欲しい情報を入手することが可能ですが、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズがある、あるいは最新のブランドやサービスに関する情報を持っていないケースはよくあります。パーソナライズであれば、そういったユーザーがいつものサイトやアプリを訪れたとき、ユーザーのニーズにマッチしそうな情報を新しく提案することができます。
例えば、環境保全やSDGsに関する情報を見ていた人に対して、エシカルファッションの新ブランドを紹介するケースが挙げられます。このように、パーソナライズにより潜在顧客の掘り起こしが可能です。

既存顧客の定着率とロイヤリティの強化

既存顧客に対して、精度の高いパーソナライズを継続することで定着率とロイヤリティ(愛着、信頼)を高めることができます。例えばECサイトであれば、「1年に2回」などの顧客の購入頻度に合わせ、顧客が好みそうな新シーズンのアイテムを厳選し、お得に購入できるキャンペーンをタイムリーに案内するといった方法が挙げられます。
このようなアプローチが顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)を向上させ、ブランドの信頼度と顧客ロイヤリティを高めます。

また、コミュニケーションを密にすることで、レビューや要望のフィードバックをより多く受け取り、商品やサービス開発に活かすことが可能です。

マーケティングの効率化

一人ひとりのニーズに合う情報を届けることと同じくらい、興味のない情報を届けないことが大切です。例えば、既婚者に婚活サイトの情報を表示したり、お酒を飲まない人にビールの広告を表示したりしても効果はないばかりか、ユーザーは不要な情報が表示されるサイトやアプリに対してネガティブな印象を持ち、訪問しなくなるかもしれません。パーソナライズにより、誰にいつ情報を届けるかというターゲットを絞った効率の良いマーケティングを行えます。

また、パーソナライズを継続していくことで個々のユーザーの情報を蓄積し、より精度が高く効率のいいマーケティングが可能になります。

パーソナライズの注意点

パーソナライズは有効な手法ですが、以下のような注意点もあります。

情報のかたより過ぎに注意

パーソナライズによってユーザーのデータが蓄積されてくると、ユーザーの好みやニーズに合わせて絞り込んだコンテンツのみが提供されます。ユーザーの立場に立つと、日常的に欲しい情報がすぐに得られるメリットがありますが、それ以外の情報を探そうとしたとき見つけにくいことがデメリットとなります。

また、届く情報が制御されている、あるいは画一化された印象を与えてしまい、信頼を失ったり顧客離れにつながったりする恐れがあります。パーソナライズされた情報以外のコンテンツもバランスよく取り入れる必要があります。

ユーザーのニーズの変化に対応できない可能性

ユーザーの状況は変化し、ニーズも変わります。それを踏まえずに同じ情報を提供し続けることがないよう、注意が必要です。例えば、ゴルフを始めたユーザーにゴルフ関連の情報を届けていても、一定の期間が経ってそのユーザーはゴルフへの興味をなくし、ダイビングを習い始めているといった例はよくあることです。パーソナライズに頼りすぎず、常にユーザーの最新のニーズを捉えてマーケティングを実施することが大切です。

SEO対策とのバランスに注意

集客したいWebサイトは検索時に上位表示されるよう、検索ワードに対応するコンテンツの用意が必須です。しかし、こうしたSEO対策に基づくコンテンツは、上位キーワードを意識しすぎたコンテンツ内容となるため、パーソナライズによって提供すべきコンテンツとは必ずしも一致しませんし、ユーザーのニーズから離れてしまう可能性があります。
SEO対策と既存顧客が求める情報のバランスを考えてコンテンツを構成する必要があります。

パーソナライズの活用事例

パーソナライズで成果を上げた具体例を、DLPO導入事例よりピックアップしてご紹介します。

参考:LPOツール「DLPO」導入事例

写真館ではメインビジュアルのパーソナライズでCVRを改善!

キタムラ/スタジオマリオの事例

キタムラのサービスはカメラ販売やプリントサービス、写真館「スタジオマリオ」など多岐にわたります。多様な目的を持ったユーザーがWebサイトを訪れるので、ユーザーの意図に合わせた情報の出し分けを重視しています。過去の閲覧履歴などに基づくパーソナライズにより、ユーザーがスムーズに欲しい情報に到達できるよう誘導しています。
スタジオマリオは七五三など子どもの記念日フォトを手掛けています。衣装を選ぶページでユーザーが「男の子」と「女の子」のどちらのボタンを押したかに合わせて、メインビジュアルに男の子と女の子どちらを表示させるかという、画像表示の出し分けを実装しました。
衣装選択で「男の子」を選んだユーザーの場合、メインビジュアルが「男の子」の場合と「女の子」の場合のABテストでは、CVRが28.9%改善され、効果があることが実証されました。
事例の詳細はこちら

ヘビーユーザーとライトユーザーで提供する情報を切り分けてサイトを改善

モバオク!の事例

「モバオク!」は国内を代表するインターネットオークションサービスです。会員制でコアなユーザーに支えられていますが、一方で新規ユーザーの取り込みを図ることも重要です。そこで「コアなユーザー」「新規のライトなユーザー」などモチベーションの異なるユーザーに対して、それぞれが求める情報を提供できるよう切り分け、表示内容や動線を改善しています。将来的には、さらに制度の高いパーソナライズ化を目指しています。
事例の詳細はこちら

カード利用者だけでなく潜在顧客にも“おもてなし”を提供

エムアイカードの事例

三越伊勢丹グループのクレジットカードであるエムアイカードでは、顧客一人ひとりの趣味や好みに合ったコンテンツの提供に注力しています。「お客さまにとって最高の体験とは何か」を話し合った結果、カード利用前からおもてなしを提供できるよう、適切なパーソナライズを推進しています。性別、年代、月の利用額などで分類した各層に対してどのようなコンテンツが受け入れられやすいかについては、ABテストを実施しながら決定しています。
事例の詳細はこちら

パーソナライズにはツール活用がおすすめ

パーソナライズでツールを活用するメリット

パーソナライズの実践にあたっては、5W1Hを踏まえて施策を構築します。

  • Who~誰に向けてパーソナライズするか?
  • Why~なぜパーソナライズするのか?
  • What~何をパーソナライズするのか?(属性、好み、行動履歴など)
  • Where~どこをパーソナライズするか?(サイトのページ、アプリのお知らせなど)
  • When~いつパーソナライズするか?(配信のタイミング)
  • How~どのようにパーソナライズを実施するか?(具体的なコンテンツ)

5W1Hに照らして施策の方針を決め、それぞれのユーザーに合わせて「Webページ表示」「メール配信」「Web広告」などのコンテンツの出し分けを実施します。パーソナライズの精度はデータの蓄積によって上がります。実行した施策の結果を集計、分析して、より精度高くパーソナライズを進めていくためには、ツールの活用が不可欠です。

パーソナライズ専用ツールを活用するメリットは、「誰に」「いつ」「どこで」などパーソナライズの詳細を簡単に設定でき、判定のためのデータ収集も容易になるということです。

パーソナライズにおすすめのツールとは

パーソナライズを行うためのツールとして、以下があります。

レコメンドエンジン

ECサイトやコンテンツ提供サービスにおいて、過去の履歴をもとに各ユーザーに適したおすすめ商品やコンテンツを表示できるツールです。最適化されたレコメンド(おすすめ)表示は、ユーザーにとっても好みの商品やコンテンツが見つけやすいというメリットがあります。

LPOツール

LPOとはランディングページ(LP)を最適化することです。LPOツールではユーザーの情報を収集、計測、分析してその結果をもとにWebページの改善を行います。ABテストでCVRを上げたり、ユーザーの行動履歴をもとにWebページに表示させる情報を出し分けしたりすることができます。

ABテストツール

ABテストとは、WebページなどのビジュアルやテキストのパターンAとパターンBを実際に表示させ、どちらが効果的かを計測するテストです。ABテストツールを活用すれば効果的なパーソナライズに向けたテストの設定や実行、検証がスピーディーで、効率よくパーソナライズを実装できます。

ターゲティングツール

Web接客とは、サイトに表示されるポップアップやチャットボットにより、あたかもリアルな接客のようなユーザーとの双方コミュニケーションを図ることです。Web接客ツールとは、ポップアップやチャットボットを提供できるツールで、パーソナライズされた接客を設定することができます。

Web接客ツール

LPOとはランディングページ(LP)を最適化することです。LPOツールではユーザーの情報を収集、計測、分析してその結果をもとにWebページの改善を行います。ABテストでCVRを上げたり、ユーザーの行動履歴をもとにWebページに表示させる情報を出し分けしたりすることができます。

以上のように、パーソナライズの効率化に役立つツールが各種提供されています。自社のパーソナライズは具体的にどう進めるか、先ほど紹介した5W1Hで明確化した方針に合うツールを選びましょう。

DLPOのLPOツールは、ABテストとパーソナライゼーションとの併用が可能です。属性や好みによって分類したユーザー/顧客に対して、配信するコンテンツを出し分けできます。パーソナライゼーションを裏付けるためのABテストを効率よく実施できるので、着実にCVR向上を図ることができます。

参考:DLPOのパーソナライズ配信機能

まとめ

パーソナライズとは、ユーザーの好みや属性に合わせて情報を届けることで、現代マーケティングに必須の手法です。
パーソナライズのメリットとして、コンバージョン率の向上、潜在ユーザーの獲得、既存顧客のロイヤリティ向上、マーケティングの効率化が挙げられます。一方、注意点としては情報のかたよりと画一化、変化するユーザーのニーズに対応できない可能性、SEO対策との不整合などがあります。
注意点をクリアしつつ精度の高いパーソナライズを実装するためには、ツールの活用がおすすめです。DLPOのLPOツールは、AIを活用したABテスト×パーソナライゼーションの自動化により、効率的にLPを最適化できます。