理想的なLPの要件とは

勘違いLPが増えている?

最近・・・LPというモノが正しく理解されていないのでは?と感じる機会が増えている。
具体的に言うと、目的に対してダイレクトでないLP、情報が不必要に多いLP、分岐やリンク付きのLPが増えているように思われてならない。

無論企業側には伝えたいことが沢山あり、それらを盛り込みたくなる気持ちは理解できる。しかしそれはLPでなく、他のツールやメディアの役割なのだ。また情報量の多さを、自分達の善意や誠意、ユーザーの行動に対する手助けと考えているなら、それもとんでもない勘違いだ。

迷路

LP誕生の切掛けは2003年の『VTR>CTR』事件

何故前述のようなLPが悪いのか?・・・という読者の疑問は、そもそも何故LPが誕生したのか・・・を知れば解消されるはずだ。

さて、CTRの説明は今更不要なはずだがVTR(View Through Rate=広告を見て30日以内にクリックする割合)については、ご存知無い方が増えているのかも知れない。最近話題に上がるのはピケティの『r>g』ばかりだが、2003年の『VTR>CTR』は、当時の私達にとって、衝撃的な事件だった。

VTR>CTR IMG

ダイレクト且つインタラクティブな「究極のメディア」として登場したインターネット上において、広告に対するCTRは、今では信じ難いことかもしれないが2003年の第1四半期までは、何とVTRを上回っていたのだ。しかし同年第2四半期に初めてVTRに抜かれると、その後その差は開く一方で、いつの間にか比較されることもなくなった。

VTRが伸びたのは、勿論ウィンドウズ95以降のPCの爆発的普及と、それに伴って到来したネット社会のせいで、2003年とは、それまで特殊な人々の特殊なメディアだったインターネットが、テレビや新聞と同様に一般大衆のモノになった記念すべき年と言い換えることもできる。

変化は、まずメインサイトから

  • まず最初の変化はメインサイト側に起こった・・・と言うのも95年頃までは、まだ今日の狭義で言うところのLPの概念は確立されておらず、メインサイトがLPを兼ねている場合が多かったからで、言い換えれば、それ以前のユーザーは皆粒揃い。
    目的が明確でモチベーションもリテラシーも高い層ばかりだったので、ある意味どんな構造のサイトでも機能し、高いCTRが得られていたのだ。

    しかし95年以降の来訪者の爆発的増加に伴い、メインサイトは様々な要求(機能的には、会社案内・製品カタログ・投資家情報・求人情報・Q&A・ユーザーボイス・eコマース・キャンペーン告知・問い合わせ・他。レベル的には、モチベーションやリテラシーが高い層ばかりでなく、低い層を含む全てのユーザーに対する対応)に晒されることになり、幸か不幸か他のメディアのようなスペースの制限が無かったために、どんどん複雑化と高度化を遂げ、結果的に肥大化することになった。

LP(狭義のLanding Page)の誕生は2003年前後・・・?

  • 肥大化とは言え、要は今日のメインサイトの姿に近付いていただけなのだが、当時のユーザーの実感からすると、折角着地したサイト(当時はメインサイトがLPを兼ねている場合が多かった)は、欲しい情報を見つけるために、彼らに更に多大な忍耐と努力を求める広大で不親切なサイトになり続けていた訳で、そのせいでCTRは下はり続けることになった・・・
    これが2003年に起こった『VTR>CTR』事件の真相であり、この解決(CTRの改善)のために考え出されたのアイデアが、今日の狭義で言うところのLPという訳だ。

LPの役割、ターゲットと目的

ターゲット

LPのユーザーは、主にディスプレイ広告やリスティング広告により集客された層で、無料サンプルや資料の請求、見積依頼、参加や登録の申し込み等、明確な目的を持った(CVする気満々な?)層であり、社名や製品名検索で漠然とメインサイトに辿り着いただけの層とは異なる。
従ってLPが果たすべき役割とは、ユーザーが欲する情報を確実に提供することで、折角やって来てくれた貴重な見込み客?を取り零すことなく、『即断即決のCV』へと導くことだ。

「即断を迫ることは、CVを減らすのでは?」と心配する人がいるが、実際には増やすことの方が多い。なぜなら即断を求められなかった場合の「非CV層」には「結論先送り層」がかなりの割合で含まれているからで、即断を迫ることで、彼らを炙り出すことができるからだ。

理想的(本来的)なLPの要件

  • そもそもLPのユーザーはCVする気満々な層・・・となれば、そのトップ部分にはユーザーの目的に合致した情報、例えばa『無料サンプルの請求はこちら!』とかが据えられているべきで、当然その流入元のディスプレイ広告やリスティング広告と連動したコピーやビジュアルであるべきだ。
    また、ユーザーに対しては、彼らが望む情報、例えばaに対する「Yes or No?」だけを問うべきで、逆に例えばb『製品が半額で買える!』を加えることは、「a -」「- b」「a b」「- -」の実質4択の比較検討を求めることになるので、結果的に『即断即決のCV!』は得られ辛くなる。

また、ユーザー側もbがあるなら「cは?」「dは?」「eは?」と、迷い始め、結論先送りとなる可能性が高まる。同様にaに絞った場合も過剰な情報提供は、ユーザーにそれを理解するための負荷を与え、比較検討を迫ることになるので、やはり『即断即決のCV!』を遠ざけてしまう。
また、情報の整理や補足のために分岐やリンクを設けることは、例え親切心からとしても、実質的には離脱を促すことになるのでやはりCVを減らすことになる

つまり、LPに本来の役割=より多くのCVを期待するのなら、来訪者が欲する必要最小限の情報を、ダイレクト且つシンプルに、しかもユーザーが直感的に理解できるように伝え『即断即決、1分以内のCV!』迫るべきだ。 あらゆる出会いは一期一会なので、その刹那に決着を付ける覚悟のないヌルイLP(結論先送りを促進したり許容するようなLP)では駄目だ。

前回の記事:AIDAで考え、LPで売る!(シリーズ・その2)

  • ライター紹介
    後藤 一喜
    (ごとう かずよし)
    株式会社B2B2C代表取締役社長

金融機関・商事会社・出版社勤務を経て入社した通販会社・カタログハウス社にて同社創業社長・斎藤駿氏の薫陶を受けダイレクト・マーケティングの基礎を学ぶ。
その後、日本初のダイレクト・マーケティング専門広告代理店・電通ワンダーマンダイレクト社に移り、通信や金融、不動産や自動車、産業機械等様々なクライアントに対するサービスの経験を重ね2001年に同社執行役員、その後、電通及びKDDIの合弁会社・ユビキタス・コア社にてメディア・マーケティング部長、電通eM1社(現・電通デジタル)ディレクター室・室長を経て2008年に独立。
“売りたい魂”を持ったマーケッターであることを標榜。著書に『費用対効果が見える広告』(翔泳社)と『マーケッターとデータサイエンティストが語る 売れるロジックの見つけ方 』(宣伝会議)があり、後者はデータアーティスト代表取締役CEO・山本 覚氏との共著。

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