【ABテスト事例】CVRを最大化できるのは短いLP?それとも長いLP?

この記事は、海外のABテスト事例配信サイト「Guess The Test」に掲載された記事を翻訳したものです。翻訳元:「Guess The Test

医療保険会社Aetnaの子会社であるHealthSpireは、65歳以上の高齢者にメディケアと健康保険のプランを提供している、630億ドル規模のヘルスケア企業です。

HealthSpireはより多くの健康保険プランを販売しようと考え、まず短くてシンプルなランディングページを立ち上げました。

このページは利用可能な商品と、詳細情報を知るための連絡方法をシンプルにまとめています。訪問者が詳細を求めて電話ができるように意図的に短く作られており、さっと読むことができるようになっています。
HealthSpireのチームは、あまりに多くの情報を提示すると混乱を生むと危惧していました。 特に彼らの顧客が高齢であることを考えればなおさらです。

しかし数ヵ月後、このページがうまくコンバージョンにつながっていないと分かりました。 その理由を明らかにするため、彼らはCRO(LPO)を専門とするMECLABSに依頼して、一連の新しいランディングページを構築し、検証を行ってもらうことにしました。

背景

検証の目的は、高齢で、おそらくはwebページの操作に慣れていないと思われる顧客層がどのようにページを利用したがっているのかを判断し、コールセンターへのコンバージョンを向上させることでした。

MECLABSはランディングページに関するデータの分析を行うことから着手しましたが、彼らはすぐに重大な問題を把握しました。あまりに短く簡潔であるため、ランディングページは信頼と信用を築く機会を十分に提供できていなかったのです。

結果として、潜在的な顧客は詳細を知りたいという動機を持つに至りませんでした。つまり彼らには、HealthSpireのエージェントと話すための動機づけがされていなかったのです。

仮説

MECLABSは、この問題は「信頼のおける助言者」と会話をする価値を強調することで解決可能だと推測しました。信頼できるという感覚を作り出すことによって、連絡を取る行為へのコンバージョンが向上するだろうと考えたのです。

しかし、そうした信頼と信用を構築するためには、ランディングページにコンテンツを追加する必要がありました。

長いランディングページが最高の効果を発揮するかもしれない一方で、コンテンツ量が増えることにより訪問者が戸惑ってしまい、まったくコンバージョンにつながらない可能性もあることは誰もが認めていました。

検証の設定

最良のランディングページのフォーマットを判断するために、二つの異なるランディングページが作成され、元々のバージョンとの比較検証が行われました。

最初のランディングページは「短い形式」のバージョンで、プランの選択肢に関する基礎的な情報のみを載せていました。
そのページは下記の『A』のような外観でした。

もう一方のランディングページは構造、形式、コピーにおいて同様の作りでしたが、最初のものと比較するとかなり長いものでした。新しいセクションが追加され、(「ライセンスを持つ外交員」というよりも)「信頼できる外交員」についての詳細と、彼らがどのように顧客の助けとなるかが明記されました。さらに、本物のコールセンターの外交員たちの写真が掲載されました。
長い方のランディングページは『B』のような外観でした。

(註:黄色いハイライトのセクションは長いバージョンで追加されたコンテンツを表しています。色付けは実験後に、二つのランディングページの中心的な違いを明確に示すために加えられたものです。)

コールセンターに連絡してきたリードの数は、両方のバージョンで追跡・記録されました。

ABテストの例

結果

勝者はバージョンBでした。
信頼と信用を強調した長いランディングページが、驚くべきコンバージョン率の向上を達成しました。

信頼のおける外交員の人物像を紹介するセクションを加えただけで、コールセンターのリードは驚くべきことに638%も増加しました!

これはタイプミスではありません。

得られたリードは、詳細情報を求めてコールセンターに電話をする「有効な」顧客として分類されました。有効な顧客とは、HealthSpireが選定する厳格な基準によって判断されました。

分析

MECLABSのダニエル・バーンシュタイン氏によれば、「人々はデジタルマーケティングで有効なもの、有効でないものについて多くの思い込みを持っています。私たちは、人々は手短な説明を求めているため、長い形式は効果が薄いだろうと思い込んでいます。」
しかし、短くてシンプルなものが常により良い結果を出すとは限りません。特に、潜在的な顧客との間にまず信頼と信用を築き上げる必要がある場合にはなおさらです。

今回の研究は、訪問者の心の準備が出来ていないうちに無理にコンバートさせようとしても成功しない、ということを明らかにしました。したがって、あまりに早い段階で目標を達成しようと焦ってはいけません。あまりに直接的になりすぎると逆効果になりかねません。

躊躇している訪問者をコンバージョンさせるには、彼らとの関係性を育む必要があるかもしれません。

まず最初に彼らの躊躇、好み、願望を理解することから始めることが重要です。彼らの行動を妨げている原因について心当たりがあるのであれば、あなたのブランドや製品が本当に信頼に値するものであるという証拠を示すことで、その心配を軽減することができます。

この事は、訪問者が以前にあなたのブランドに触れたことがない場合には特に当てはまります。

画像やコピーを追加することであなたのページが長くなり、更に要素が散漫になる可能性もあります。しかし、そうすることで重要な文脈も加わります。それによってリードが育まれるのです。

重要なことは視覚的イメージ、コピー、フォーマットを検証して、MECLABSが行ったように信頼性を高めつつ、視覚的な乱雑さを最小限にすることです。

今回彼らは、ほとんどの顧客は気持ちが高まるだけでは外交員、つまりセールスマンに電話を掛けるということはないということを知りました。潜在的な顧客はまず最初に、外交員と会話をすることの価値を理解する必要があるのです。

彼らはこうした価値が、最初に電話をする際の不安に打ち勝つ手助けになる可能性が高いと気がつきました。そして、おそらくは訪問者が自分の時間を使って、健康、金融、保険プランという気の進まないトピックについて会話を始める際の心理面でのハードルを下げる効果がありました。

リードは大切に育まなければなりません。コンテンツと文脈を追加することで、また信頼性を構築する画像とコピーを通じて、この目的は達成されました。それは短い形式のページでは不可能だったでしょう。

まとめと応用方法

短い形式のページが常により良い結果を出すというわけではありません。

長い形式のランディングページは確かにより複雑で、視覚的な乱雑さが増して、要素が散漫になるかもしれません。しかし、そうした長さは、重要な価値を加え、訪問者にコンバートする動機を与える情報や文脈を加えるために必要なものである場合もあります。

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