オーストラリアの電力会社Energy Australiaは、今回の素晴らしい検証を自社のサイトで行いました。 検証の目的は、Energy Australiaの電気・ガスプランへの契約申し込み者の数を増加させることです。 Energy Australiaの検証チームは、多くのユーザーが申し込みプロセスを開始してはいるものの、支払い段階でやめてしまっていることに気がつきました。 さらにデータ分析によって、メールや電話などに加え、IDを尋ねるフィールドのエラー率が最も高いことが明らかになりました。 チームは、契約が中止されてしまうのは、申込者が登録時に適切なIDを手元に用意していないことが原因だと推測しました。 彼らは、ユーザーに前もって申し込みの完了に必要なものを伝えることで、その摩擦を取り除くこと―そして支払いの完了率を向上させること―ができるのではないかと考えました。
チームは、契約プロセスにおいてどんな情報が必要かを明確に伝えることで、支払いの完了率が向上すると考えました。 しかし同時に、テキストを追加することで訪問者に不快な思いをさせたり気が散る原因となり、コンバージョン率を低下させる可能性もあると考えました。 そのため、検証を行うのが最良と判断しました。
検証は24日間にわたって行われました。この期間中に、5,000以上のユニークアクセスが、契約に必要なものを示すテキストがあるバージョンと無いバージョンに振り分けられました。トラフィックは半々に分けられました。 訪問者の半分は契約に必要なものをまとめて示しているバージョン【A】を閲覧しました。このバージョンでは、申込者はID(免許証、メディケアカード、もしくはパスポート)を提示する必要があることを伝えられました。さらに彼らは、プロセスが5分間かかるとも知らされていました。そのウェブページはこのような外観でした:
もう半分の訪問者は契約に必要な書類についてのテキストが追加されていないバージョン【B】を閲覧しました。それは次のような外観でした: 契約完了の件数は両方のバージョンで追跡・記録されました。勝者はバージョン【A】でした。 契約に必要なものを前もって示したバージョン【A】はファネルに大きな影響を与え、支払いの完了率を15.61%も向上させました。この結果は97%の信頼性を獲得しました。 興味深いことに、契約に必要なものを事前に示すことで、申込フォームへのクリック数は少なくなりました。しかし、ファネルに入った申込者はより有望なリードだったため、全体の支払い完了率は高いものとなりました。
サンプルの規模が十分であり(5,000人の訪問者)、トラフィックが半々に分けられ、検証の期間も十分取られ(24日間)、結果が97%の信頼性を獲得したという事実を考えると、この検証は高い妥当性を持っていると考えられます。 しかし、結果の妥当性をより確実に検証するためには、サンプルサイズはもっと大規模であることが理想です。 コンバートしない可能性の方がはるかに高い5,000人のユニークビジターしか検証していないということは、規模の違うサンプルでは違った結果になる可能性があるということを意味しています。また、この検証はオーストラリアの人々を対象としていたことも重要です。この結果は世界の別の地域の人々には当てはまらない可能性もあります。
契約の過程で必要なものを前もってユーザーに伝えるべきなのでしょうか?この検証は、その答えが明確に「イエス」であることを示しています。 与える情報が増えすぎてしまうリスクがあったり、テキストの追加によって気が散ってしまう可能性があってもそうすべきです。 なぜ、契約に必要なものを前もって示すことで、これほどの効果が得られたのでしょうか?いくつかの理由があると考えられます。
前もって必要な書類を示すことによって敬遠してしまう申込者もいたかもしれませんが、事前にその後に起こることを概略することで、 もっとも有望なリードだけがファネルに入っていくようになりました。 そうしたユーザーは、申し込みを完了するためには、自分の時間とエネルギーを投資して書類を集める必要があることを知ったうえで先に進みました。 このプロセスは効果的なセルフスクリーニングとして機能しました。 結果として、オファーに強い興味を持つリードだけが申し込みフォームへと進みました。そして、彼らはそこで得られるものに興味を持ち、 更に既に投資を行っていたので、コンバートする確率が高かったのです。
すでにテキストの多いページにさらなるテキストの追加を行うことで、訪問者の気が散ってしまう可能性もありましたが、 結果としてはその逆の効果が得られました。 申込者にフォームに進む前に準備すべきものを伝えることで、気が散るリスクが少なくなりました。 申込者はコンピュータから離れて、財布を見つけて、それを漁ってIDを見つける必要はなく、その途中に他の事に気が逸れて 作業を中止してしまうことはありませんでした。 指示テキストは、申込者がプロセスを開始する前に、その後に何が起こるかを示していました。そのため、ユーザーは手元にIDを置き、 準備をしたうえでプロセスを開始することができたのです。
申し込みに必要な書類を事前に伝えることは、有望な申込者が申し込みのプロセスについて抱く不安を軽減する効果がありました。 この明確性が信頼を構築する手助けになったのかもしれません。 ユーザーはその後のプロセスについて知っているため、ファネルを進み続けて、申し込みを完了させました。 5分という短い時間のコミットメントを明確に伝えることは、不安を持つ申込者にプロセスが素早く簡単なものだと確信させる効果があったと考えられます。 実際に、Energy Australiaは申込者から、「申し込みは驚くほどシンプルで、本当に5分しかかからなかった」というような感想をもらっています。 同社はそうした感想を信頼性の要素としてサイト上で使用し、彼らの主張をさらに裏付けして、申し込みのコンバージョンを向上させています。
あなたのサイトへの訪問者は、作業を開始する前に何が起こるかを知ることができると、より高い確率でその作業を完了してくれます。 申し込みに必要な書類と時間を明確に伝えることで、作業の完了率が上昇し、訪問者の疑問が解消され、不安と摩擦が軽減されます。それらすべてがコンバージョンを向上させる手助けをしてくれます。 必要書類を事前に伝えることでリード数は減りますが、コンバートする人々はより有望で、質の高い見込み客となる可能性が高くなります。
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